米国カリフォルニア州は、2020年から新築する住宅への太陽光パネル設置を義務付けることを決定した。
対象は新築住宅と、既存の住宅のなかでも増築もしくは改築される住宅で、これにより、新築住宅におけるエネルギー使用を50パーセント以上削減できるようになる。
カリフォルニア州は、2020年までに温室効果ガスを1990年ごろと同レベルまでに削減する目標を定めるなど、環境への取り組みをこれまで積極的に行ってきた。そして、同州は2008年にエネルギー使用削減目標を定め、2020年までにはすべての新築住宅を、2030年には商業用建物をゼロ・エネルギー・ハウスにすることを採択したのだ。
ゼロ・エネルギー・ハウスとは、日本経済産業省によると、「建築物における一次エネルギー消費量を、建築物・設備の省エネ性能の向上、エネルギーの面的利用、オンサイトでの再生可能エネルギーの活用等により削減し、年間での一時エネルギー消費量が正味(ネット)でゼロ又は概ねゼロとなる建築物」のことである。
2020年1月1日からカリフォルニア州で施行される新しい建築基準の重点は以下の4つだ。
- 居住用建物の太陽電池システム
- 最新の熱性能基準(内部から外部、もしくは外部から内部への熱伝達防止)
- 居住用および非居住用建物の換気
- 非居住建物の照明
これらが改善されることにより、新しい基準で建設される住宅は、現在の基準で建設された住宅よりエネルギー消費が53%も少なくなるという。これは3年間で、温室効果ガスの排出が70万トン削減されることを意味しており、115,000台の化石燃料車分に相当する。また、非居住用建物のエネルギー消費は照明設備改善などにより、約30パーセント削減されるようだ。
しかしながら、これからマイホーム建設を考えるときに気になるのは、やはりコストだ。新基準では、現在より新築住宅建設コストが約9,500米ドル(約104万円)増えるが、住宅ローンを組む30年間で考えると、エネルギーと維持費において19,000ドル(約208万円)節約できるという。毎月平均約40米ドル(約4,400円)ローンを多く支払うことになるが、結果的には80米ドル(約8,800円)光熱費を節約できるのだ。
カリフォルニア建築業協会CEOのDan Dunmoyer氏は「この基準の採用によって、建設費の高額化を抑え、温室効果ガスの排出を削減できる。そして、住宅購入者は最終的に支払い金額を取り戻せるのだ。」と、語っている。
2020年からカリフォルニア州で義務付けられる、新築住宅の太陽光パネル設置。環境への取り組みと、私たちの毎日の生活に直接関わるコストとの関係にも関心が高まるところだ。全米初となる、この試みに世界の注目が集まる。
【参照サイト】Energy Commission Adopts Standards Requiring Solar Systems for New Homes, First in Nation
【参照サイト】ゼロエネ住宅を建てよう