世界中に照明電力をもたらす人力発電装置「nowlight」

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電力があるのとないのとでは、生活の質がまったく違う。それは工業用電力をどれだけ確保するかという話ではなく、もっと基礎的な部分の話だ。世界には日常の電力にすら恵まれない人が存在する。内戦が長く続いた国々では発電所を作る予算も人材もなく、国土の隅々にまで電力を行き渡らせる余裕がないという例だ。

建設予算は経済先進国からの融資で何とかなるだろう。問題は人材だ。子供たちに教育を受けさせ、その中から優秀な生徒をエリートとして選定し、最終的には発電所建設に携わる技術者に育てる。

だがこのためには、子供たちが勉強できる場を与えなければならない。家業を手伝いながら小学校に通い、夜も自習をすることが必要だ。しかし「夜も自習をする」ということは、その家に電力が通っているという意味でもある。照明が灯っていなければ、日没後は寝るしかない。

幕末から明治を生きた長岡藩士の小林虎三郎は、「百俵の米も食えばたちまちなくなるが、教育に充てれば明日の一万、百万俵となる」と言って、限りある予算を教育分野に振り分けた。もちろん、その言葉は現代においても大きな意味を成している。

クラウドファンディングサイトIndiegogoに、”nowlight“という製品が出展された。nowlightは人力発電の照明器具で、開発者はルワンダでの普及を目指している。

本体下部からループ状の長いベルトが垂れ下がっている。これを引っ張ってモーターを回し、電力を作る仕組み。わずか1分間の運動で、1時間分の照明電力が得られるという。

「1時間の自習時間を確保できる」と表現したほうが、より分かりやすいだろうか。夜の暗闇の中、子供たちはそれでも教科書とノートに向かい合わなければならない。だが、電力が家に届いてない以上は何も見えない。やむを得ず、ロウソクの頼りない明かりを頼りに勉強するのだ。

このnowlightにはUSBポートもついているから、スマートフォンへの充電も可能だ。3200mAhの内蔵バッテリーを満充電するために必要な運動時間は、わずか24分。ハンドル式の人力発電器よりも遥かに効率がいい。これ1台あれば、生きるために最低限必要な照明電力を確保できるのだ。

こうして夜の自習を積み重ねた子供は、10年後には国立大学に進学する。20年後にはエンジニアとして発電所建設プロジェクトに抜擢され、30年後には現場主任になる。40年には大学教授として名を馳せ、50年後には大統領に就任する。教育は「国家百年の計」である。その第一歩に欠かせないのが、暗い部屋を明るく照らす電力なのだ。

【参照サイト】nowlight: the next generation GravityLight-Indiegogo
(※画像提供:Amy Chandra from Pexels