上海にある40の高校で「AIを学ぶ教科書」使用。進む中国のAI教育

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AI(人工知能)は近年、飛躍的に注目を集める存在となった。従来は生身の人間でしかできなかった物事を、人と同等かそれ以上のレベルで行うことができるようになり、技術や経済などさまざまな場面で空前の可能性をもたらしている。

そんな中、2030年までにAI分野で世界をけん引することを目標に掲げる中国は、これまで行っていた大学生へのAI教育だけではなく、高校生などの若年層にも基本的なAI知識を教育する準備を急ピッチで進めている。

世界のAI先進地域との格差を埋めるために中国が発表したのが、高校生がAIをわかりやすく学べる教科書である。「人工知能の基礎」と名付けられたこの教科書ができあがったのは、中国の国務院が学校教育にAI関連の科目を含めるよう要求してから、わずかに約6ヶ月後の2018年4月のことだ。

AIは、学習、推論、自己訂正など、機械による人間の知能プロセスのシミュレーションであり、ロボット工学やバーチャルリアリティと合わせて今日のビジネスを変革する原動力となっている。IT分野の調査やコンサルティングを行う米Gartner社の見積もりによると、AIから派生するグローバルビジネスの価値は2022年までに3兆9000億米ドルに達すると予測されている。

中国のTencent調査機関の最近のレポートによると、いまAIに関連する人員の量と質の両面で米国が他の国々をリードしており、中国は短期間で人材不足を解決することができないという。中国共産党中央委員会の機関紙である人民日報の報告では、中国のAI専門家は今後数年間で500万人に急増する可能性を示している。

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教科書の主な著者は、香港中文大学の情報工学教授で、世界的なAIスタートアップSenseTime社の会長でもあるタン氏だ。華東師範大学も制作に協力したこの教科書には、AIの歴史や、顔認識システムや自律的運転などAIの主要アプリケーションの詳細が書かれている。

北京や上海などの大都市を中心に、中国全土の約40の高校が、SenseTimeと協力してAI高校教育パイロットプログラムの最初の参加者となった。SenseTimeは「高校40校はあくまで始まりに過ぎない。AI教育を中国全土の多くの学校に紹介する計画だ」としている。

経済の進境著しい中国は、AIのポテンシャルをしっかりと認識し、13億人の暮らしを豊かにすべく、爆発的な進歩の準備を進めている。

【参照サイト】Sensetime
(画像提供:祝 鹤槐 from Pexels