2019年は、シンガポールにとっての「Year Towards Zero Waste(ごみゼロへの年)」。シンガポールの環境水資源大臣マサゴス・ズルキフリ氏は、タンピネスでの演説でこう発表した。彼はまた、無駄のない国家になるというビジョンを実現するためには、“私たちが普段何気なく消費している資源の使い方を見直すこと” が必要だと国民に説いている。
2018年の「Year of Climate Action(気候変動に対して行動する年)」に引き続いてシンガポール国内で行われるこのキャンペーンは、ゴミ問題や、資源の保護に対する意識の変化を目指すものだ。私たちは、マサゴス氏のスピーチから何を学べるのだろうか。
「今必要なのはパラダイムシフトです。わたしたちは循環型経済モデルを採用しなければなりません。」マサゴス氏はこう述べ、これまでの生産、使用、廃棄という、直線的に資源が流れる経済モデルから、リユース、リサイクルをできるだけ長く行う循環型の経済モデルへの転換を訴えた。「伝統的に、私たちは資源を直線的に使ってきました。循環型経済では、資源を限りなくリユース、リサイクルすることにより、ゴミを宝に変えることができるのです。」
「ゴミを宝に変える」例としてマサゴス氏が挙げたのが、地元のジュース製造企業、Australian Fruit Juiceである。この企業では、ジュースの製造の際ゴミとして排出される果物の皮を、オーガニック洗剤の原料として再利用しているのだ。
「このように、彼らは今まで捨てられていたものから、新たな経済的価値を生み出したのです。さらに、処理の過程では熟練した労働者が必要であり、新たな雇用の創出にもつながりました。」また、もう一つの例が、演説が行われた複合施設タンピネスハブだ。ここでは日々排出される700kgの食品廃棄物から、水や肥料を製造し、地域の住民に分配している。
シンガポールの2017年のゴミ排出量は770万トンに登り、40年前の7倍に達した。このままだと、シンガポール唯一の埋立場、セマカウは2035年までに満杯になってしまうという。一方で、街がゴミだらけかと思えば、そうではない。景観を保つため、ポイ捨てには厳しい罰則が科せられるのだ。
「シンガポールが無駄のない国家になるために、わたしたち一人ひとりががそれぞれのやり方で貢献できるのです。」とマサゴス氏は述べる。たとえば買い物に再利用可能なバッグを持ってくることや、使用済みの教科書を次の世代に渡すことなどは簡単にできる。
「気候変動はわたしたちの生活にますます大きな影響を与えていくでしょう。そして子供たち、孫たちにはさらに大きな影響となるのです。」次の世代の未来は、今を生きるわたしたちの行動にかかっているのだ。
【参照サイト】Singapore needs to relook way it uses resources if it’s to become a zero-waste nation: Masagos
【参照サイト】Speech by Mr Masagos Zulkifli, Minister for the Environment and Water Resources, at the Launch of the Year Towards Zero Waste, on 12 January 2019, at Our Tampines Hub