同意のあるセーフセックスを促す。2人で協力しないと開けられないコンドームパッケージ

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性感染症予防を目的にコンドームの使用を促す広告を目にしたことのある人は多いだろう。コンドームに関する最新のクリエイティブとして「性的同意(セクシュアルコンセント)」をテーマにしたコンドームパッケージがリリースされた。このパッケージはアルゼンチンの広告会社「BBDOアルゼンチン」が、コンドームを販売するアダルトグッズ会社の依頼の元に作成したものだ。

このパッケージが作られた背景としては、#Metoo運動に触発される形で性的同意を重視する意識が高まっていることが挙げられる。

スウェーデンでは2018年に、同意のないセックスを犯罪行為とする法律が採択されるなど、社会的な議論が法改正にもつながっている。日本でも大学生の有志グループが性的同意のガイドブックを学生向けに作成するなど、カルチャー面からのアプローチも生まれており、社会的に注目されているテーマだ。

今回のパッケージは、そのような社会的な関心の高まりに注目してコンドーム会社が作成を進めたものだ。箱の4つの側面にそれぞれ2つのボタンが設置され、合計8つのボタンを同時に押さないと箱が開かなくなっている。コンドームを取り出すためには2人同時に開ける必要があるという仕組みだ。2人が「同意」しない限り、使用できないというコンセプトを体現している。

Tulipanコンドーム

Tulipanコンドーム

今回のパッケージは限定版として、ブエノスアイレス周辺のイベントやバーで配られ、今後はオンラインで販売することを目指しているようだ。

作成を依頼したコンドームの販売会社は、「安全な快楽」を企業理念として重視している。性的な関係を持つうえで、「お互いの同意があって初めて快楽が追求できる」という同社の考えを伝えたい狙いだ。企業としての考えは、「Yesと言われなければ同意ではない」「同意がなければ快楽は生まれない」「セックスで最も重要なのは同意だ」というメッセージが込められたプロモーションビデオにも表れている。

同社としては、コンドームの普及と自社メッセージ発信の両方を狙っているようだ。HIVの治療と予防に取り組むアルゼンチンの団体が同国の30,000人を対象に調査したところ、アルゼンチンの男性の20.5%が1度もコンドームで避妊したことがないという。残りの65%もたまに使用すると回答し、常時使用するのは14.5%にとどまっているなど使用促進の余地があるなかで、性的同意の文脈も踏まえたプロモーションがパッケージの形になった。

セックスや避妊というテーマは極めてプライベートな分野で議論しにくいながら、個人のヘルスケアやライフスタイルに長期間にわたって大きな影響を与える。このテーマに近しい企業が、社会的な関心の高まりに応える形で自社のスタンスを明らかにした上でメッセージを発信することで、議論を活発化させたりユーザーの行動を変容させる可能性を持つ。

性的同意の考え方をクリエイティブを用いて発信することは、女性だけでなく男性ユーザーにカルチャーとして伝えられることが期待されるだろう。

【参照サイト】A new condom emphasizes consent by requiring four hands to open the package
【参照サイト】同意なしセックスがレイプ犯罪に、スウェーデン新法
【参照サイト】セックスの同意、確認してますか 学生らが冊子作成

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