自然豊かなカナダでは、2021年までに段階的にビニール袋などの使い捨てプラスチックが禁止となる。しかしスーパーのレジ袋を有料にしても、今のところなかなか使用が減らないそうだ。そこでバンクーバーのスーパーEast West Market が、ある独創的な取り組みを始めた。
エコバッグを持参し忘れた客に渡すレジ袋を、“持ち歩きたくない”デザインに変えたのだ。「The Colon Care Co-op(コロンケア協同組合)」、「Dr. Toews Wart Ointment Wholesale(Dr. トーズいぼ軟膏卸売)」、「Into the Weird Adult Video Emporium(奇妙なアダルトビデオ店へ)」といった中から選べるようになっているが、いずれにしてもこれらの袋を持って店を出てくるのは恥ずかしい。
しかも1袋あたり5セントで購入する必要があるため、そのままレジ袋に入れずに、ぎこちなく手で抱えて持ち帰る選択肢も生まれる。この取り組みの意図は、人前で持ち歩くには恥ずかしい内容がプリントされた袋を配布し、羞恥心に訴えることで人々の習慣を改善しようというものだ。
East West Marketのオーナー、デヴィッド・リー・キーオン氏は、「お客さんがエコバッグを本当に忘れないように支援したいのです。当店の袋を持っているのを見かけた他の人にとっても、自分の袋を忘れないようにするきっかけになります。」と語る。同店は、エコバッグを忘れた買い物客へのレジ袋の提供を止める予定はないが、将来的にはレジ袋を用意する必要がなくなることを望んでいる。
ビニール袋は、世界で1分間に100万枚という凄まじいペースで消費されている。多くの地域で全面禁止や、無料提供を禁止するなどの動きがあるが、お金や法律以外にも、改善する方法があるということを今回のケースは示しているのだ。
使い捨てプラスチックの使用が地球によくないということは、理論ではわかっていても、自分の生活のことになるとつい目をそらしてしまう。実際、普段買い物をしているときにレジ袋をもらうことを恥じる人は、ほとんどいないだろう。このEast West Marketの取り組みは、環境破壊の一端を担うことが「恥ずかしいこと」だと人々に身をもって実感させる、よい機会にもなるかもしれない。
【参照サイト】Grocery store urges customers to rethink plastic with embarrassing bags