伝わる「コミュニケーション」を再考する。ファッション、医療、広告の第一人者が語る問題解決の本質

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世の中に存在するさまざまな社会課題の多くは「コミュニケーション」に端を発している。それらの課題を、従来の「コミュニケーション」を見直すことで浮き彫りにし、根本から解決しようと取り組む人びとがいる。2019年3月、「いま必要なコミュニケーションとエデュケーション(教育)」をテーマに、横浜市・BankART SILKで開催されたトークイベントでは、ファッションデザイナーの矢内原充志氏、医師の武部貴則氏、コミュニケーションコンサルタントの伊藤剛氏が集い、それぞれの観点から話を展開した。

会場では2月から3月にかけ、矢内原氏の個展「矢内原充志展 MITSUSHI YANAIHARA 2019 EXHIBITION」が開かれ、同氏が実施したプロジェクト「KOTOBUKI INSIDE」にまつわる活動写真や衣服などの作品を中心に展示していた。「KOTOBUKI INSIDE」とは、日本の3大ドヤ街のひとつである横浜市・寿町の人々との対話をとおして、相手に合う服を制作し、ポートレイトを撮影する活動だ。

この活動は、「障害や人種、国籍、宗教等の違いを超えて創造的に課題解決を図り、あらゆる人が等しくアートに参加できる町にしていこう」との考えを掲げるアーツコミッション・ヨコハマの施策「クリエイティブ・インクルージョン」に基づいている。今回、矢内原氏がファシリテーターとなり、会は進んだ。

矢内原充志(やないはら みつし)

http://www.nibroll.jp/
1975年生まれ、愛媛県今治市出身。桑沢デザイン研究所卒業。1997年から2011年まで国際的に活躍するパフォーミングアート・グループ「ニブロール」のアートディレクター・衣装担当として活動するとともに、2002年から2009 年まで「Nibroll about Street」名義で東京コレクションを発表。2011年には東日本大震災を受け表現活動を見直したリアルクローズ のメンズブランド「Mitsushi Yanaihara」を始動し、2012 tokyo 新人デザイナーファッション大賞プロ部門を選出。現在は有限会社スタジオニブロールCEO、桑沢デザイン研究所非常勤講師を務めるほか、「物事を価値化して伝える」を目的とした国内の企業や地域のデザインコンサルティングやブランディングを手掛ける。

武部貴則(たけべ たかのり)

1986年生まれ、神奈川県出身。2011年横浜市立大学医学部医学科卒業。2018年より横浜市立大学先端医科学研究センター教授、東京医科歯科大学統合研究機構教授に就任。2013年にiPS細胞(人工多能性幹細胞)から世界で初めて「肝臓の芽(肝芽)」を創り出すことに成功。その後、臓器再生医学の研究とともに、独自の概念「広告医学」を発展させ、ヘルスケア分野のコミュニケーション課題解決を目指すクリエイティブ研究の拠点として「コミュニケーション・デザイン・センター(YCU-CDC)」を構え、センター長を務める。

伊藤剛(いとう たけし)

http://asobot.co.jp/
1975年生まれ、明治大学法学部卒(国際法専攻)。大学卒業後、外資系広告代理店を経て、2001年にデザイン・コンサルティング会社「asobot inc.」を設立。同社の代表取締役を務め、「伝えたいコトを、伝わるカタチに」をコンセプトにコミュニケーションデザインを手掛ける。東ティモールやネパールなど国際協力の分野に携わるほか、ジャーナル・タブロイド誌「GENERATION TIMES」を創刊、NPO法人「シブヤ大学」を設立する。東京外国語大学大学院「平和構築・紛争予防専修コース」では、広告PR等のコミュニケーション戦略の視点から平和構築を考える修士カリキュラム「PEACE COMMUNICATION」を担当。主な著書に「なぜ戦争は伝わりやすく 平和は伝わりにくいのか ~ピース・コミュニケーションという試み~」(光文社)等がある。

医療とクリエイティブにおけるコミュニケーション

医療の課題をデザインの力で解決する「広告医学」

武部氏が考案する「広告医学」とは、医療のコミュニケーションに関する課題を、アートやデザイン、コピーライティングなどの広告的視点を用いて、ポジティブな解決をめざす概念だ。同氏がセンター長を務めるコミュニケーション・デザイン・センターでは、ポップな色使いで食べ物の塩分量を伝える減塩ポスターや、病院の待合室のイスの背に視力回復や脳トレができる写真を掲示した「こころまちプロジェクト」など、「広告医学」に基づいたプロダクトの開発を進めている。

トークセッションではまず、武部氏がまったく異なる領域である「医学」と「広告」を掛け合わせた背景を語った。

「文系一家に生まれ、幼いころからお医者さんは何でも治してくれる神様だと親族に聞かされていた私は、医者のパワーを信じ大学の医学部に進学しました。しかし大学2年生、3年生の授業では『この病気はここが不明です、治療法がありません、だから研究しましょう』といった話をされます。私のまわりでは脳卒中で倒れる方が多いものの、それも治せないことがわかりました。倒れた場所が病院にどのぐらい近いか、倒れてから何分以内に初期治療が受けられたかなど、その後の生死を分けるのは運なのです。その事実に無力さを感じた私は大学3年生ごろ、医学部で学ばないような視点が必要なのではと考えはじめました」

「そこで興味を惹かれたのが、同期の文系の就活生の間で特に人気のあった『広告代理店』です。広告代理店のマーケティングやコミュニケーションを映像などを通じて学ぶうち、この手法が今の医療で扱えない人々を助けることができるのではと直感しました。私の父は病気になり健康診断で高血圧ですと言われても病院へ行きたがりません。ですが、病院に行きたくなるコミュニケーション、あるいは薬を飲みたくなるコミュニケーション、それに関するノウハウや技術を使うことで、これまで治療の範疇になかった方を治せるかもしれない。そう考えたことが『広告×医学』に取り組みはじめたきっかけです」

医師と患者の間にコミュニケーションがあるように、広告にも情報を伝える側と受けとる側のコミュニケーションが存在する。広告代理店の存在にヒントを得た武部氏は「広告×医療」の領域に本格的に踏み込むこととなる。

「初めて広告代理店の方にアイデアを話したとき、彼らにとっては当たり前のことでまるで興味がないという反応でした。しかし、病院はいまだ100種類ほどのパンフレットが並び、通路の動線が複雑です。一流のデザイナーやクリエイターの方であれば困惑する作りでしょう。その視点でみると医療の現場にはやるべきピースが抜けています。これまでの医療は『治療』というマイナス面を補うことにのみ注力していましたが、これからは、よりよく生きるためにプラスのことを育んでいくことが必要です。私はコミュニケーションが大きな柱になると考え『広告医学』を続けています。そして、コミュニケーション・デザイン・センターを立ち上げました」

業界ごとのコミュニケーションのとらえ方

医療に広告的視点が欠けていると話す武部氏に対し、ファッションデザイナーである矢内原氏はコミュニケーションをどのようにとらえているのだろうか。

「私はコミュニケーションの深度だと思っています。私たちデザイナーは『刺さる』『刺さらない』という表現をすることがあります。ただ『高血圧はよくない』と言われても『そうですよね』で終わってしまう。以前『KOTOBUKI INSIDE』に関して、記者の方から『寿町の人に何が伝わりましたか?』と質問を受けましたが、カメラを向けられてシャキッとなる人、照れる人、違和感のある人など反応はさまざまで、寿町の人だからと全員に同じように伝わることはありません。デザインをとおして個々を『刺す』ために何をするのか、私たちデザイナーはいつも考えています」

KOTOBUKI INSIDE冊子

また、広告代理店出身であり、現在も広告、雑誌、映像等のクリエイティブ業務等を手がける伊藤氏は、クリエイターの目線からコミュニケーションを紐解いた。

「クリエイティブを仕事にしていると、格好良いか、流行に合っているかなど、伝え方に注目されがちです。そのため私たちはコミュニケーションにはまず相手がいるという前提で話を進めます。相手がいなければ議論する必要はないし、キャンバスに自分の思いだけを表現するのであれば伝え方を考える必要もない。相手がいると考えるなら、情報のイニシアチブは相手がもっていると考えるところが、私たちのスタート地点です」

「例えば、テレビのチャンネル権をもっているのは視聴者で、テレビ局ががんばってチャンネルを変えさせないように考えても、一瞬にして変える権利は受信側にあります。みなさんも、子どもや上司、恋人と話すときは、自然とコミュニケーションを変えているでしょう。ところが、仕事上でのメッセージやお店、商品などの宣伝となると、どうしても自分の格好良さや美しさを切りとることに精一杯になり、相手に伝わりづらくなります。伝えるためには、伝えたい相手をちゃんと知り、伝わらない理由についてもあわせて考えます」

さらに同氏は、医療の領域でかねてより関心があるという医師と患者のコミュニケーションについて触れた。

「日常生活では、医師と患者ほど知識差のある2人が対話をする場面はめったにありませんよね。まったく知らない言語の人と話すのに等しいのでは。非常にアンフェアな状況下で、医師はレントゲンや検査といった目に見えるものだけでも患者に伝わると信じていますが、言葉で伝えるのはとても大事なことです。実際に、患者に症状を『ズキズキ』や『ギスギス』などのオノマトペで答えてもらい、その答えと科学的に検証した診断結果を照らし合わせ、オノマトペごとにどのような病の可能性があるか医師側が知ろうという試みがありました。このような医療のコミュニケーションに関する実験はたびたび行われています」

その意見を受け、武部氏は自身の父の身に起きたというエピソードを語った。

「先週入院した私の父は、はじめは腰痛を訴え、かかりつけの大学病院に2度行ったものの『精神的な神経痛なので2週間程度で治ります』と帰されました。しかし痛みはひかず、不審に思った私は友人の大学の先生にお願いしてCTを撮ってもらいました。すると肺全領域に影があり、大きな腫瘍が見つかりました。当時アメリカにいた私は、電話で聞いた父の声が枯れていることが気にかかっていました。本人は痛みとは関係ないと言うのですが、声が普段とまったく違い、加えて痛みもあるというと、本人は腰と言いながら、胸の下の方に何かあるのではないかと私は思いました。それが普段を知らない医師には伝わらず、大丈夫と言われてしまう」

「医師と会うときのコミュニケーションは点でしかないので、前後の変化の軸の情報はすごく重要です。うまく伝えることは難しいですが、医師には相手の変化の振れ幅がどれほど大きいか判断できません。それがわかれば、CTA、MRIを撮ろうとするでしょう。結局、父は症状が出てから10日目にして入院でき大事には至りませんでした。瞬間のコミュニケーションをよくするために患者目線で変化をどのように伝えるか、それは大きな命題なのではと思います」

(左から)武部氏、矢内原氏、伊藤氏

(左から)武部氏、矢内原氏、伊藤氏

矢内原氏はうなずき「コミュニケーションの発展のためには、相手に100%伝わらないことも含めてコミュニケーションと捉えることが必要」と言葉を添えた。

伝えることが難しい相手と対峙したとき、私たちはどのようなことを心掛けていればいいのだろうか。

コミュニケーションは「違い」を認識すること

伊藤氏が講師を務める大学の授業には、紛争国を含めさまざまな国の留学生が集う。同氏はそこで「違い」を認識させるためにある取り組みを行っているという。

「はじめに彼らがどれだけ違う認識をもっているのか気づいてもらいます。一番は平和観がどれだけ違うかを可視化させること。彼らは平和を作りに学びに来ているので、各々がピースメーカーとして共通のビジョンを持っていると思っています。ですが、例えばミャンマーの子の平和観は我々に近く、極楽浄土のようにあたたかく優しいイメージです。一方でシリアやアフガニスタンなど紛争国から来ている子にとって、平和は戦って勝ちとるもの。彼らにとって平和のための戦争はありえるのです。ここでバトルになりますが、あらかじめ違いを認識することで後々のトラブルを防ぎます」

違いを認識することの重要さは異なる領域や国においても同様だ。武部氏は医療領域の視点から語る。

「アメリカでは、カルテ記入や整理、監査への電話といった作業を分担していますが、日本ではすべて医師が担っています。医療に限らず、日本では全部をカバーするべきという強迫観念がありますが、ここから先は自分ではなくてもいいといった認知がないと、ミスが発生しやすくなります。多様な職種があり、自分の責任範囲を明確にするのは大事なことです。時代が変わり、これまでの日本のやり方では対応が追いつかないのではないでしょうか」

また、矢内原氏は「コミュニケーションはひとつのアイデンティファイ(自己を同一視する行為)なのでは」と独自の解釈を述べた。

「デザイナーの視点から、ファッションはコミュニケーションだと思っています。この会場には、ファッションをさまざまな視点で表現した言葉を展示しています。例えば『ファッションとは、他者を鏡として自分を見るための装置』という言葉は、物理的に直視することがもっとも難しい自分を、ここにいるのだと確認するための装置としてファッションがあるという意味を込めています」

矢内原充志展・会場の様子

伊藤氏は「ファッションは自分と社会の境目や、自分の体がどこまでかを確認する作業ともいえますね」と返し、「外国に行くと『こんなことが面白がられるのか』と日本の良さを発見することがあります。違いのある他者を壁打ちしながら自分自身や背負ってる文化の特徴を知り、アイデンティティが生まれます。それはファッションとコミュニケーションの共通点でしょう」とそれぞれの結びつきを伝えた。

「違い」を認識するためにはまず、自分自身を知る必要があるようだ。

医療×ファッションの可能性

矢内原氏と武部氏は、かねてより「医療×ファッション」のプロジェクトに取り組んできた。そのひとつが消臭タオルだ。今後は横浜市大と共同で販売開始を予定している。

矢内原氏は製品について「一般的にアパレルの世界では60%のにおいを2時間で消せば消臭アイテムといわれますが、私たちが制作したタオルは数秒で99%のにおいをシャットアウトするとデータが出ています。使用している棉織物用のファイバーは私たちのオリジナルです」と説明し、武部氏は「自宅介護している方にとっての悩みであるにおいを解決したい」と語った。

医療×ファッションの紹介

そして、矢内原氏は製品の打ち出し方について話題を広げた。

「アパレルの世界では15年に1回ぐらい消臭アイテムが登場しますが、出ては消えるの繰り返しです。問題はコミュニケーションです。布1枚で高い消臭効果があるというのは可視化しづらく、伝えようとすればするほど胡散臭くなるので難しいところです。医療、ファッション、アウトドア、どの視点で語るかにより伝わり方は変わります。そこで抗菌効果まで加えることや、培養実験して効果をビジュアル化するなど、お互いの領域をパスし合いながら高めていけば、世の中にとって本当にいいものだと伝わると思っています」

また、広告領域を扱う伊藤氏は、「言語的観点でいうと、においの付着している言葉の例としてトイレがあります。昔は厠や便所でしたが、口にした瞬間に言葉そのものににおいがついていきます。それを避けるために、お手洗いやレストルームといった言葉が生まれています。人間の本能に近いので嫌悪感があったり、その製品を買うことで自分はにおいがきついと言っているように感じてしまう。においのジャンルで成功しているのは、ペットやタバコなど他人に迷惑をかけないことを目的とするものが多いでしょう。自分のにおいを消すタオルというと買いづらいですが、自分の家族のためのタオルだと比較的買いやすくなるかもしれません」と製品をアピールするためのアイデアを伝えた。

トーク中には、温感素材や縫い目のないノンキルトダウンを使った冷え性向けの製品や、療養時の褥瘡を抑えるパイル素材を利用した製品などの案が登場した。矢内原氏と武部氏は今後、「医療×ファッション」の新製品を年に1回ほどのペースで打ち出したいと意欲をみせた。

成長するためのエデュケーションとは

矢内原氏と伊藤氏が関心を寄せている分野のひとつが「エデュケーション」だ。矢内原氏は以前、イタリアのアート教育であるレッジョ・エメリアを題材にした保育園の立ち上げに携わった際に教育の難しさに直面したという。現在は桑沢デザイン研究所で非常勤講師を務める同氏は、エデュケーションについて感じていることを2人に問いかけた。

まず武部氏は、コミュニケーションラボで研究員に対し実践しているマネジメントのエデュケーションについて「120%ぐらいの能力を引き出せるような無理難題をどんどん投げています。200%は無理かもしれないし、すぐできる80%の課題では面白くない」とその内容を明かした。

さらに「講演をとおして中学生や高校生のポテンシャルの高さに驚くことがある。それを引き出すことが教育上必要」とし、自身の体験談を紹介した。

「授業が終わったあと、ある女の子が『免疫疾患を患っている姉を治したい』と私に打ち明けました。彼女は『変な考え方かもしれないけど』と前置きしたうえで『人食いバクテリアの存在をテレビで知り、これが姉の悪い免疫細胞を食べたら治るのではと思った』と話しました。彼女はこのアイデアを誰にも話せずに苦しんでいました。私は研究者なので、現在ハーバード大学などが最先端でその考えのもと免疫疾患を治療していることを知っていました。そのため、それに気づいた彼女のポテンシャルの高さが医療やお姉さんに役立つことがある、それをもっと発信しなさいと伝えました」

続いて伊藤氏は、武部氏が考案する「医療×他分野」のように、例えば「コミュニケーション×防災」や「コミュニケーション×ジャーナリズム」など、「コミュニケーション」と他分野を掛け合わせることで、世の中に対して価値が最大化できるものは何か考えていると切り出した。

「エデュケーションは、コミュニケーションの一形態だと捉えています。私の時代感覚として、メッセージやコンテンツをジャーナリスティックに伝えるのではなく、『学び』があるように届けると人は振り向いてくれるのでは。現代のメディアコンテンツは消費の対象なのでひとつのサイトに5秒とどまらないこともありますが、学ぶに値すると思ったDVDやセミナーは1時間、1時間半と聞いています。情報に『学び』があるように伝えるか否かに大きな差があると私は思います」

そして同氏は「進化する人工知能に対して人間の知性をアップデートするには、教育コンテンツが不可欠。学びのコンテンツを作ることや、世の中に届けたりすることに関心がある」と、コミュニケーションと「学び」を掛け合わせることによる将来の可能性について話した。

また、会場には矢内原氏と武部氏が共同制作した温度で色が変わるTシャツが展示されていた。38度以上になると色が変わるため、着用した患者が発熱したとき、ひと目でわかるようになる。

熱で色が変わるTシャツ

使用している繊維は、摩擦熱で文字を消せるボールペン「フリクション」の「マイクロカプセル」を応用し開発したものであり、マイクロカプセルは昭和50年にパイロット社が特許を取得している。伊藤氏は、このTシャツの例を足掛かりに、情報の伝え方について言及した。

「影響力の大きい知見をアカデミックは発見しているのに、まったく到達していないことがあります。3、40年前からあった技術が到達するまで時間を要したのは繊維の世界だけではありません。環境問題は30年ほど前から問題になっていましたが、今ようやく関心が広まり、大量消費だけではいけないという風潮がでてきました。そのように、学会で発見されていても、本当の意味では翻訳されていないことはたくさんあります。それらをメディアコンテンツとしてだけではなく、エデュケーショナルなコンテンツとして広く届けることで、情報の流通が変わるように思っています」

トーク後の話者3名と娘

編集後記

ファッション、医療、広告領域のプロフェッショナルである話者3名は、これまで常識とされてきた分野の課題解決へ向け、あらゆるアイデアを形にしてきた。トーク中にも話者それぞれから新しいアイデアが次々と飛び出す。その姿からは、課題の本質と実直に向き合いつつ、楽しみながら解決を目指す柔軟性がうかがい知れた。

また、実際の会話だけでなく、デザインやクリエイティブをコミュニケーションとしてとらえたとき、見た目の格好良さだけはない「受け取り手に何が伝わるか」を考えることの重要さをあらためて実感した。これにより、発信者のアプローチ方法は大きく異なるだろう。一人ひとりが専門とする分野を飛び越え、さらに何ができるのか。すでに完成した分野が新たな可能性を広げるヒントが詰まっていた。