活気を見せるロンドンのクリスマス。その中でもひときわ賑わっているのが、流行最先端のファッションと音楽の中心地、Carnaby Street(カーナビーストリート)だ。
夜になると道行く人々が上を向いて立ち止まり、カメラのシャッターを切る。この通りのイルミネーションは、ただ街に光を灯しているだけではなく、私たちに差し迫った“ある問題”にスポットライトを当てているのだ。
装飾の中には、イルカやカメ、サメ、クジラなどを含む11匹の海の生き物たちがいる。「One Ocean One Planet(ひとつの海とひとつの地球)」というメッセージと共に街を彩る生き物たちが表すのは「海洋保護の緊急性」だ。
気候危機を緩和し、地球上の生命が生き続けられる持続可能な未来を作るために、今すぐに行動に移さなければならないということを私たちに伝えている。
今年度のクリスマスイルミネーションで、カーナビーストリートがコラボレーションしたのは海洋環境保護のチャリティ団体「Project Zero(プロジェクト・ゼロ)」だ。
力を失い始めている海に、私たちは力を与える必要があります。
プロジェクト・ゼロは2030年までに海の30%を保護することに取り組むイニシアティブです。
現在、海は全体の2%しか保護されていませんが、30%保護することができればその力を取り戻すことができます。
そして、海を保護することにより、気候危機の流れを変えることができるのです。ーProject Zero
カラフルな装飾はすべて、廃棄物をアップサイクルしてできたもの。緑色の昆布に使われているのは漁網、魚と気泡に使われているのは1500本ものペットボトルだ。その他にも、動物由来の材料を一切使っていないビーガンペイント、電力には100%再生可能エネルギーが使用されている。
そして最終的にイルミネーションの季節が終わって取り外された装飾は、プロジェクト・ゼロによって再び利用されるエコな仕組みとなっている。
特筆すべき点はイルミネーションだけではない。このカーナビーストリート沿いにある飲食店は海洋保護に賛同するお店ばかりだ。お店に掲げられるブルータートルのマークがコミットメントを示す目印となり、使い捨てプラスチックやフードロスなどの廃棄物の削減や、持続可能なシーフードの調達に取り組んでいることを表す。
また、これらのお店はマイボトルに水を補充するための給水スポットにもなるという。現在49の施設がこのブルータートルの誓約に賛同しており、カーナビーストリートがロンドンで最も海に優しい場所になることを目指している。
カーナビーストリートのユニークなイルミネーションは人々の心を彩り、その背景に隠された「海洋保護の緊急性」というメッセージと共に自然とSNSで拡散されていく。冬になると大勢の人がイルミネーションに魅了される日本でも、実行の価値があるのではないだろうか。
【関連ページ】 気候危機とは・意味
【関連ページ】 サステナブル・シーフードとは・意味
【参照サイト】 Project Zero公式サイト
【参照サイト】 CARNABY公式サイト