香港式サーキュラーエコノミー。ホームレスの人々を雇う古着屋カフェ「1ofaKIND」

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新型コロナウイルス感染拡大によって、ホームレスの人々がより困難な状況に置かれている。世界でも一二を争う香港の家賃の高さは、仕事の数や収入が減ってしまった・なくなってしまった人々にとって、非常に厄介な足かせだ。家賃が払えなくなり、簡単に家を失ってしまう。これは、新型コロナウイルスが流行する前から香港のホームレスの人々が直面していた問題であったが、ここにきてより多くの人々が被害を被る結果となった。

そうした状況を打開するために、香港の慈善団体ImpactHKは、1ofaKINDという独自のサーキュラーエコノミーを実践する古着屋を香港・油麻地に開店した。ImpactHKは3年前にNGOとして発足してから、街中でホームレスの人々へ食事を届け、雇用支援、住居支援などのさまざまな活動を行ってきた。ImpactHKの財源は、すべて個人からの寄付によるもの。貧困層の人々への雇用の機会を作るためにできた1ofaKINDの店員は、全員がホームレスだ。

1ofaKINDで取り扱う古着を購入することは、ホームレスの人々への支援となるだけではない。香港では毎日300tもの服が埋め立て地に廃棄されており、大きな問題となっている。埋め立て地へ捨てられる予定だったはずの服を古着として買い取ることで、洋服の廃棄を減らし、新しい服を生産するときに使われる資源を削減することもできるのだ。

1ofaKIND

Image via KINDNESS MATTERS

1ofaKIND

Image via KINDNESS MATTERS

1ofaKINDにはコミュニティカフェも併設されており、困窮している人々へ無料で食事や飲み物の提供も行っている。誰でも無料で楽しむことができるが、「pay as you feel」「pay it foward」の有料コースも選ぶことも可能だ。「pay as you feel」のコースではその名の通り、自分が感じただけの対価を出せる範囲で支払うことができる。「pay it foward」は、自分たちが支払った飲食費を未来の困っているだれかへの飲食費に充てることができるコースだ。店で提供されているコーヒー豆のオリジナルパックや、スナックはすべてこれらの方法で購入して持ち帰ることができる。

1ofaKIND coffee

Image via KINDNESS MATTERS

新型コロナウイルスについては、感染症が貧困層の人々へ与える経済的影響だけではなく、彼らへの感染リスクの大きさが世界中で問題になっている。それは、彼らが屋外をはじめとする衛生状態の良くない場所で生活しているにもかかわらず、マスクを購入する金銭的余裕がないことにも関係している。さらに、家を失って住所がなくなれば、安定した職につくことも難しくなる。食料支援や金銭支援だけではなく、実際に雇う支援までが行われる1ofaKINDは、ホームレスの人々が生活を改善するきっかけを自ら創出できる場所だ。洋服、人、そして飲食にまつわる金銭は、1ofaKINDの中で絶えず循環し、今日も香港の人々を支えている。

【参照サイト】ImpactHK
【参照サイト】KINDNESS MATTERS

 

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