誰もがヴィーガンを選択できる社会へ。ヴィーガンレシピ「ブイクック」創設者・工藤柊さんが目指すもの

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最近、日本でもよく聞かれるようになった「ヴィーガン」。ヴィーガンの発祥地でもあるイギリスでは、2014年時点で15万人だったヴィーガン人口が2018年時点で60万人となり、4年間で4倍ほどに増えているという。一方、日本では手軽にヴィーガン料理を選択できる機会が少ないのが現状だ。そこで、ローンチされたのがSNSを中心に発信されているヴィーガンレシピ「ブイクック」。ユーザーが投稿したレシピは1000件を超え、インスタグラムでも2万人を超える人がフォローしており、多くの人に支持されている。なぜ、今ヴィーガンに注目が集まっているのだろうか。今回、ブイクック代表・工藤柊さんにお話を伺った。

動物を取り巻く環境への違和感からヴィーガンへ

そもそもヴィーガンとは、「生活全体から動物由来のものを排除しよう」という「完全菜食主義」(ヴィーガニズム)の考え方と、その実践者のこと。肉や魚を食べないだけでなく、動物由来である卵、牛乳や乳製品、はちみつも口にしない。

こういったスタイルが生まれたきっかけにあるのは、主に環境問題、動物愛護といった社会問題に対する意識の高まりがあると工藤さんは話す。環境問題に関しては、牛のげっぷやおならが温室効果ガスよりも悪影響をもたらすことや、畜産に広大な土地が必要であることから森林伐採にも繋がることが問題になっている。に関しても、「コメ」1kgを作るのに必要な水が3000リットルであるのに対し、牛肉1kgを作るのには、20,000リットルの水が必要となる。

ヴィーガンの中では、畜産業自体のあり方を問題視する人も多い。狭い場所で工場のように効率よく育てられ、屠殺される。卵は雌鶏しか産めないため、雄鶏が殺処分されるケースも多い。そういった状況への違和感から工藤さんもヴィーガンを選択するようになった。

工藤さんがヴィーガンを選択するきっかけとなったのは、高校3年生のとき猫が車に轢かれているのを見たことだった。そこから動物愛護の問題に関心を持ち、調べていくうちにヴィーガンを知った。早速翌日からヴィーガンを実践する中で、作れるメニューの種類や選べるレストランなど選択肢が少ないことに気づいたそうだ。

一方、実際にイギリス、ドイツ、フィンランドなどヴィーガンフレンドリーな国を訪問したことで、ヴィーガンに対するカルチャーの違いも感じた。ヴィーガンのレストランやメニューが多いのはもちろん、スーパーでも肉や卵などが平飼いやゲージ飼いなどのレベル別に分けられ、どのように飼育されたのかがわかるようになっている。そういった畜産業の透明性だけでなく、海外ではその人自身がヴィーガンであろうがなかろうが、お互いを受け入れていく雰囲気がある。一方、日本では学校や職場でヴィーガンであると言うと不思議がられ、栄養失調を指摘されたりするなど、なかなかすっきりと伝えられない人が多いそうだ。

v-cook 工藤さん

こういった日本におけるヴィーガンの受け入れられにくさや選択肢の少なさから、もっと楽にヴィーガンを始められるように2019年7月「ブイクック」をスタートした工藤さん。ユーザーが自由にレシピを投稿でき、すでに1000件以上のレシピが投稿されている。このサービスをきっかけに、「他の利用者もヴィーガン料理を作っていることがわかり、孤独感が解消された。」「料理のレパートリーが少なく困っていた時に、ブイクックを見つけてヴィーガンを続けることができた。」といった声も聞かれるそうだ。

ヴィーガンを選択できるカルチャーを作る

実際に、外食する際ヴィーガン対応がないことが多く、友人や会社の人たちと食を通じた交流の機会を断念することもあると話す工藤さん。ヴィーガンを始めるハードルを低くするために、今後はブイクックの運営だけでなく、企業と協働してヴィーガンメニューに関するサービスや商品企画もしていきたいと言う。

Instagram liveの様子

SNSでの発信も積極的に行っており、先日は政治メディア「NO YOUTH NO JAPAN」と共にインスタグラムにてライブ配信を開催。100名を超える視聴者とともにヴィーガンを考える時間に。

実際にSNSでは「#MeetFreeMonday」という、月曜日だけ肉を食べず菜食中心に摂る動きもあるなど、自分のライフスタイルの延長から取り組む人も増えている。

現在、工藤さんはスーパーで手に入る食材で今日から作れる『世界一簡単にできるヴィーガンレシピ本』の出版に向けたクラウドファンディングを実施している。この本には、100品のヴィーガンレシピが掲載されており、レシピの他にも栄養面や商品紹介、飲食店紹介など、この1冊があればヴィーガン生活を簡単に安心して始めることができる情報を掲載するそうだ。

食のスタイル自体が多様になってきている現在。ブイクックを活用しながら自身が始めやすいタイミングや頻度で、気軽にヴィーガンライフを試してみてはいかがだろうか。