ソーシャルディスタンスを取ると読める、フィンランドの生協による新聞広告

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新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の感染拡大を防ぐため、世界各地で呼びかけられている「ソーシャルディスタンス(社会的距離)」。厚生労働省では、新型コロナの感染経路の一つである飛沫感染を防ぐために保つべき距離を吟味し、相手との距離を2メートルほど取ることを推奨している。

これは新しい概念であるだけに、私たちの生活に浸透させるのがなかなか難しい。ロックダウンなど強硬な措置をとって、新規感染者数がいったんは減少傾向に転じても、措置が解除された途端に元通りの生活に戻っていては、また感染が急拡大してしまう。「新しい生活様式」のひとつであるソーシャルディスタンスを、具体的にイメージして実践するには、どうすればいいのだろうか。

そのひとつの方法として、フィンランドの生活協同組合である「HOK-Elanto」は、同国紙ヘルシンギン・サノマットに、ソーシャルディスタンスを取ると文字が読み取れる新聞広告を掲載した。

Image via TBWA \ Helsinki

Image via TBWA \ Helsinki

この新聞の近くで一面を見ると、判読不能な模様と「下記のメッセージを読むには、距離をとってください」という一文があるのみ。そこで紙面から6フィート(約1.8メートル)離れて見ると、その模様の中から「KEEPING IT SAFE. FROM A DISTANCE.(安全のため、これくらい離れましょう)」という文字が浮かび上がる。

この広告が優れているのは、読者が実際に動くことで、適切なソーシャルディスタンスを身体的な感覚としてとらえられる点だ。例えばこの広告を見た人がHOK-Elantoの店舗に訪れた際に、よりソーシャルディスタンスを意識しやすくなるかもしれない。

同社のマーケティングコミュニケーションディレクターであるトーマス・アホラ氏は下記のように述べている

「責任ある企業として、私たちのビジネスとも関連が深いテーマについて、かしこく伝える機会だととらえました」

顧客と従業員の安全を考えたうえで、企業としての率直なメッセージを発信している点が印象的だ。

日本では5月25日、全国で緊急事態宣言が解除された。多くの人が辛抱し、奮闘し、互いの理解と協力でひとまず危機を乗り越えたことを、日本人として誇りに思う。これからは、経済活動が活発になっていく時期だ。引き続きソーシャルディスタンス、「3密」の回避、まめに手洗いなど、感染対策を意識した生活を心がけていきたい。

【参照サイト】HOK-Elanto
【参照サイト】You Can Only Read This Ad From 6 Feet Away

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