印字された農場名を入力すると、鶏の平飼い農場にVRでリモート訪問できる卵パック

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場所に関わらず、大体の都市では世界中のものが気軽に食べられるようになった昨今、食の安全や動物倫理、サプライチェーンに関わる人々の権利を守るために、食品がスーパーなどの小売店に並ぶまでの過程を追跡する取り組みの重要性は、ますます高まってきている。

IDEAS FOR GOODでは以前、水産物の透明度を高めるアプリ「Discover」や、コーヒー豆の生産過程を追跡できる「Thank My Farmer」をご紹介した。いずれも、商品パッケージに付いているQRコードをスキャンすると、産地の生育環境や輸送のプロセスが分かるようになっている。

アメリカ・テキサス州オースティンの食品会社Vital Farmsは、360度カメラで撮影された農場のリアルタイム映像を、音声付きで公開する取り組みを行っている。商品である卵のパックに表示された農場名をサイトで入力すると、オンラインで動物たちの今の様子を伺うことができるのだ。

Vital Farmsのトレーサビリティ

Image via Vital Farms

養鶏所

Image via Vital Farms

試しに「BUCKSKIN」と入力してみたところ、平飼いの鶏たちがのびのびと暮らしている様子が見られた。鶏の他に、乳牛を放牧している農場もある。農場を運営している経営者たちの顔と名前も公開されており、まさに「顔の見える商品」であることがわかる。

この試みは、農場を経営する夫婦のマットとキャサリンによって始まった。2人は、エシカルでサステナブルな食品を生み出すことを目指し、コンシャスキャピタリズム(=あらゆるステークホルダーや環境に配慮し、倫理的にビジネスを行う)の考えのもと、食品事業に着手した。今では200以上の農場と連携し、収益と倫理を両立して、業界のスタンダードを高めることを標榜している。

農場の中には、子どもたちを対象に見学を行うところも多くある。しかしVital Farmsのウェブサイトの映像であれば、遠くにいながらでも、たとえコロナの状況下でもバーチャルな農場見学が可能になるだろう。生産者と消費者の距離を近づけ、サプライチェーンの透明化を行う好例だ。

【参照サイト】Vital Farms

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