老朽化を防いで安全な道をつくる。アメリカで開発される「インテリジェントコンクリート」とは

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私たちが普段から利用している道路や橋。意識することは少ないが、人間と同様に寿命がある。実際、橋や道路の老朽化が進んでおり、国土交通省の発表によると、2029年には日本全国にある72万の橋のうち、約半分以上が建設から50年を迎える。世界でもその状況は同様で、2018年イタリア北部のジェノバの橋が崩落して多くの人が亡くなったり、2019年4月に同じくイタリアのトスカーナ州の橋が崩壊したりするなど、老朽化による事故が多発。橋や道路を早急に補修する必要性が高まっている。

そんな中、アメリカのパデュー大学で周囲の環境変化を知覚して反応できる「インテリジェント・コンクリート」の開発が進められている。

2019年、研究チームはインディアナ州運輸省と共同で、同研究室が開発したセンサーをインディアナ州にある3本の高速道路に埋め込んだ。AI(人工知能)ビッグデータを活用したこのセンサーから得られるデータにより、新しい舗装工事完了後に道路を開放するのに最適な時期を調べたり、コンクリートの状態を継続的に追跡することで、道路や橋に補修が必要な時期を正確に把握することができる。さらにこれら技術を活用すれば、交通量の少ない車線を特定し、交通を分散させることも可能。新たな車線を追加せず、今ある道路を活用した、より適切な交通制御ができるようになる。

また、寒さの厳しい冬には、気温が氷点下になり道路表面の水分子が凍結・膨張して、コンクリートのひび割れが生じることもある。同チームは、こうしたひび割れを解決する「自己治癒コンクリート」の開発も同時に進めている。彼らはコンクリートに、水を吸収して化学反応を起こす「内部硬化剤」を投入、化学反応で生成された固形物質が亀裂を封じ込めてコンクリートを修復するようにした。この治癒プロセスにより、ひびの修復が可能になるだけでなく、水がコンクリートに浸み込むことで生じる鋼や鉄筋の腐食も防ぐことができる。

(c)Purdue University images/Cihang Huang

研究チームを率いるルー教授によると、多くのデータを引き出すことで、インフラストラクチャの脆弱性を特定し、安全性と修復力を高める最善の方法を見つけられる。チームは、インテリジェントインフラストラクチャ(ハードやソフトなどeビジネスのインフラストラクチャが自身を自動的に管理できるようにすること)が人間の行動にどのように影響して、適応できるかについても検討中だ。

道路や橋をより持続可能で回復力のあるものにする「インテリジェントコンクリート」。多くの橋や道路の補修が容易になれば、老朽化対策の大きな助けになることだろう。

【参照サイト】Enabling highways and bridges to prevent their own damage
【参照サイト】老朽化対策の取組み
【参照サイト】日経XTECH
(※画像:Purdue Universityより引用)