エコな交通手段で報酬がもらえる「CitiCAP」フィンランドの環境先進都市によるモビリティ活用

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Lahti(ラフティ)は、ヘルシンキから車で1時間半ほど北へ行ったところにある。人口は約12万人、フィンランドで8番目に大きな街だ。2019年6月、EU内で持続可能な開発に向けて最も先進的な取り組みを行っている自治体に贈られる「欧州グリーン首都賞」を受賞した。ヨーロッパ随一の環境先進都市として注目を浴びる同市では、世界初となる試みが行われている。

プロジェクトの名前は「CitiCAP」。車移動の環境負荷に関する市民の意識を高め、自家用車での移動をなるべく控えて、よりサステナブルな移動手段の使用を奨励する狙いだ。交通によるCO2の排出量は、同市でも全体のおよそ32%を占めており、その削減は気候変動の解決に向けた大きな課題となる。

こうした取り組みはヨーロッパでも数多くの自治体で行われているが、Lahtiの「CitiCAP」の面白い点は、3つの研究機関、5つのIT企業と連携しており、登録した市民一人ひとりの移動に関するデータを自動的に計測できる専用のアプリを使っているところだ。

このアプリは、登録者の移動手段、距離、所要時間などからCO2排出量を自動で算出し、シェアカーや自転車などのエコな交通手段で排出量を抑えると、バスの割引券や自転車修理の割引クーポンなどといったさまざまな報酬を与える仕組みになっている。

フィンランドのCO2削減アプリ

つまり同市は、「環境にやさしい移動手段を用いることは、あなたのお財布にもやさしい」というアイデアをシステム化し、環境保全に対する個人の行動の動機づけをしているのだ。Personal Carbon Tradingと呼ばれるこの仕組みは、ラフティ市でも現在は実験段階にあり、本格運用に向けた改良が日々進められている。

持続可能なモビリティの改革に、いち早く乗り出したラフティには多くの資金援助が行われているが、その背景にはヨーロッパ圏の多くの中規模都市が同じ悩みを抱えていることがある。

人口10万人を超える規模の都市では、市内に地下鉄のような大量輸送機関はないため市民の主な移動方法がマイカーやバスになり、全体のCO2排出量が多くなってしまう。また、地下鉄などがある場合と比べると人の動きが分散することから、中心地では渋滞が起きやすい。

同プロジェクトで用いられるアプリは、個人の移動データだけでなく、市全体としての交通データもリアルタイムで集計するため、環境負荷に加えて、モビリティを最適化していく観点からも大きな期待が寄せられている。

日本では、2019年末から千葉・柏の葉でフィンランド発のWhim(世界初のMaasアプリ)が、実験的に導入されることが話題となっている。テクノロジーをうまく使って環境負荷を抑え、都市交通の問題を世界に先駆けて解決していこうとするラフティ市の動きから、今後も目が離せない。

【参照サイト】Lahti – the European Green Capital 2021!
【参照サイト】CitiCap – Citizen’s cap-and-trade co-created
【参照サイト】CitiCAP LAHTI- citizens’ cap and trade co-created