環境配慮と雇用創出を同時に。デンマークのグリーン燃料供給プロジェクト

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環境対策先進国として、産業や教育などのさまざまな観点から環境問題に積極的に取り組み、2017年には消費電力の43,6%が風力発電で賄った国、デンマーク。2030年までにCO2排出量を70%削減(1990年と比較)という目標を掲げており、再生可能エネルギーの開発を活発に進めている。 

そんな「環境先進国デンマーク」は新たに、デンマークの飛行機や船、バス、トラックにグリーン燃料(※1)を供給する大規模なプロジェクトを発表した。これまでの化石燃料からグリーン燃料に変わるこの試みは、地球にやさしいだけでなく、雇用を生みだし、経済を活性化させる可能性もある。

(c)Ørsted

プロジェクトには、デンマークのエネルギー関連会社や空港、航空会社、海運会社や運輸・物流会社などさまざまなアクターが参加。まずは世界最大のグリーン燃料をつくる水電解プラントを建設し、2030年までに毎年25万トン以上のグリーン燃料を輸送機械へ供給することを目標としている。

水電解プラントはコペンハーゲン都市圏に建設予定で、完成すれば約85万トン(自動車42万5千台分)のCO2を削減できる。コペンハーゲン市が運営するゼロエミッションバス(有害物質や排気ガスを出さないバス)とDSV Panalpina社が使用するトラックには水素、A.P Moller-Maersk社が運航する船にはエタノールが供給されるほか、SAS航空機(スカンジナビア航空)にはクリーンな燃料である合成燃料が供給される。必要な電力は、コペンハーゲンから南東約100kmに位置するボーンホルム島沖の洋上風力発電所RønneBankeで生成される。

プロジェクトは3段階で進められ、2023年から2030年で10メガワットから1.3ギガワットまで徐々に容量を増やす計画。上手くいけば、2027年までにコペンハーゲン空港で使用される化石燃料の約5%、2030年までに約30%がグリーン燃料に置き換えられ、雇用の創出や、グリーン燃料の輸出につながる可能性もある。

現在、航空会社をはじめ多くの企業が新型コロナウイルス感染症による経済的打撃を受けている中、プロジェクト参加企業は、この取り組みが産業の脱炭素化を進め、コロナ危機後のデンマーク経済を活性化させると考える。環境と人、経済のすべてを良い方向へ導きうる、このプロジェクト。環境問題への取り組みが急務、多くの国で失業者が増える中で、with/afterコロナの世界にとってポジティブな影響を与えるものになるかもしれない。

※1 太陽光や風力、バイオマス、地熱、天然ガスといった自然エネルギー源で、二酸化炭素や窒素酸化物といった有害物質を出さない、あるいはその排出量が極めて少ないエネルギー

【参照サイト】Ørsted ist Teil des größten dänischen Wasserstoffprojektes für grüne Treibstoffe
【参照サイト】Selectra グリーンエネルギーとは?