東アジアおよび東南アジアは、海洋プラスチック問題が深刻な地域だ。環境省の資料によると、陸上から海洋に流出したプラスチックごみの発生量(2010年の推計)は、1位の中国が年間132~353万トン、2位のインドネシアが年間48~129万トン、3位のフィリピンが28~75万トン、4位のベトナムが28~73万トンとなっている。
こういったアジアの海洋プラスチック問題に挑むため、ノルウェー外務省、ノルウェー開発協力局(Norad)、国連開発計画(UNDP)、ベトナム海洋諸島局(VASI)、ベトナム天然資源・環境省は、2020年6月8日の「世界海洋デー」に合わせて2つのプロジェクトを立ち上げた。両プロジェクトは、ノルウェー外務省およびNoradの資金提供を受けて実施される。
ひとつめのプロジェクトは「5都市における家庭ごみ、プラスチック廃棄物管理のモデルの拡大(DWP5C)」というもので、ふたつめは「プラスチック汚染撲滅のためのイノベーションチャレンジ(EPPIC)」というものだ。DWP5Cはベトナムの国家プロジェクトであり、EPPICはASEAN地域のプロジェクトという位置づけになっている。
DWP5Cはクアンニン省、ダナン市、ビンディン省、ビントゥアン省、ビンズオン省において、家庭ごみおよびプラスチック廃棄物管理に関する地域モデルの構築を目指すプロジェクトだ。同プロジェクトでは農民組合や女性同盟といった地域団体と連携し、廃棄物の分別、回収、リサイクル、堆肥化を促進する。さらに企業と協力してグリーン投資を促進し、UNDPは地方自治体と連携して廃棄物規制の策定および実施に乗り出すという。
EPPICはベトナム、タイ、インドネシア、フィリピンの沿岸地域におけるプラスチック汚染問題に取り組むプロジェクトだ。同プロジェクトでは6月25日より、ASEAN諸国を対象とした革新的なソリューション提案の募集を開始。公募で選ばれたソリューションはUNDPの技術的・財政的支援を受け、スケールアップを図ることができる。
駐ベトナムノルウェー大使のグレテ・ロッヘン氏は、下記のように語る。
「沿岸国であるノルウェーとベトナムは、経済を支える海の重要性を強く理解している。私たちはベトナムおよびUNDPと協力し、ぜひとも海洋ごみ問題に取り組みたい」
海洋ごみ問題に関する国際協力の強化を呼びかけてきたノルウェーが、問題の解決に挑むASEAN地域を資金面からサポートするという、言行一致の取り組みだ。
地球温暖化など人類の生存と繁栄にとって重要な課題は他にも数多くあるが、いずれの場合においても国際的な取り組みが進展することを願いたい。
【参照サイト】 Norway, Vietnam and UNDP join forces to tackle waste and plastic pollution