森林火災にも。カリフォルニア発、消防士を命の危険から守る「無人消防車」

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近年、米国西海岸の街ロサンゼルスでは山火事が多発し、消防活動が頻繁に行われている。火事が起これば消防士はすぐに救出のために火災現場にやってくるが、彼らにとって消防活動は常に危険をはらむもの。火災の件数が増えれば増えるほど、身に危険が及ぶリスクは上昇する。

そんな消防士のリスクを減らすのが、ロボット消防車「Thermite RS3」だ。10月13日、ロサンゼルス市消防局(LAFD)は米国初となるロボット消防車を公開し、同日、商業用建物の火災で使用した。米国に本拠を置くTextron社が製造したこの産業用ロボット消防車は、コンパクトながらもシャーシ(全幅に該当する縦の左右のフレームに横向きのフレームを組み合わせたもの)の幅が広く、毎分2,500ガロン(約9,460リットル)の放水が可能。遠隔操作で高画質なビデオ撮影もできる。

(c)LAFD

LAFDは、消防士へのリスクを軽減しながら消防活動を強化するための技術活用に取り組んでおり、今回は寄付金でThermite RS3を購入した。Thermite RS3は都市型捜索救助用として使用され、ピックアップトラックが牽引する専用トレーラーで火災現場に運ばれる。すべての消防活動に対応できるわけではないが、大規模な商業火災や建設中の木造構造物、山火事での大型動物の救助や燃料タンカー火災など、さまざまな場面での消防活動に役立つ。

スペックは以下のとおりだ。重量は3,500ポンド(約1,580キログラム)で、サイズは幅1.67メートル、高さ1.67メートル、長さ2.13メートル。50%の勾配をのぼれ、がれきなどを押すためのフロントプラウブレードは車も押せる。36馬力のディーゼルエンジンを使用しており、給油なしで20時間稼働し、最高速度は12.8キロメートルだ。放水距離は水平方向が91メートル、垂直方向が45メートルとなっており、将来のニーズに対応する交換可能なアクセサリと互換性を持つ。

LAFDはTextron社の開発者の支援を受け、遠隔で操作をするオペレーターの訓練をすでに行っており、今後は訓練を受けた者が、複数のオペレーターを育成していく予定だ。

(c)LAFD

日本では平成26年度から、石油コンビナートにおける特殊災害の発生時など、消防隊員が現場に近づけない状況で災害の拡大抑制を行う消防ロボットシステムの研究開発を行っており、昨年、千葉県市原市に消防ロボットシステムが配備された。消防士のリスクを軽減して、消防活動を支援する。人間が知恵を結集させてつくった消防ロボットが私たちの命と社会を守る取り組みが、いま進行している。

【参照サイト】LAFD DEBUTS THE RS3: FIRST ROBOTIC FIREFIGHTING VEHICLE IN THE UNITED STATES
【参照サイト】「消防ロボットシステム部隊(仮称)」の発足式
(※画像:LAFDより引用)

Edited by Tomoko Ito

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