生徒は「ホームレス」?ロンドンのアートスクール

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絵、写真、歌、料理、詩など、何かを作ることに夢中になっているとき、ネガティブな気持ちから解放されたように感じることはないだろうか。クリエイティブな作業には、私たちの心を満たすポジティブな力がある。その力を必要とする人たち全員に、クリエイティブな作業を学ぶ機会は開かれているだろうか。

ロンドンで活動するチャリティ団体の「Accumulate」は、ホームレスの人々がクリエイティブな活動に参加して前向きな気持ちになってほしいという想いから、ホームレスの人々ためのクリエイティブスクールを運営している。さらに生徒がそこで学んだことをアウトプットできるように、これまでの自らの人生経験について様々な手法で表現してもらい、それらをまとめたグラフィックノベル「The Book of Homelessness(ホームレスの本)」を出版している。

同団体によると、この本はホームレスの人々が作った世界初のグラフィックノベルなのだそうだ。この本の販売利益は参加者およびAccumulateに分けられ、スクールを続けていくための資金にもなる。ただ「与える」だけではなく、ホームレスの人々が自分で生み出したクリエイティブな作品を世に出すことで経済的な自立も後押ししている。

Image via Accumulate

Accumulateはホームレスの人々のなかでも若い人を対象に活動しており、さらに学びを深めたい人に向けた奨学金制度も用意している。学ぶ機会と資金を用意することで、彼らがやりたいことを見つけて卒業後にも自分で生きていく力を身につけることができる。

このワークショップはロンドンのホステルで開催され、参加者に写真、イラスト、映像、ファッション、彫刻などについて教えている。彼らに新しいスキルと自信を授け、学び合うコミュニティを育てることが活動の目的だ。

アート

参加者の作品 Image via Accumulate

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参加者の作品 Image via Accumulate

2013年にAccumulateを立ち上げたマリス・カンバー氏は、クリエイティブ産業や教育分野での長い経験があり、クリエイティブを学ぶ学生に向けたビジネスサポートプログラムを提供したり、アートフェスティバルの立ち上げに関わったりしてきた。また、Accumulateはデザインなどのコースを提供するレイベンズボーン大学と協力して活動しており、充実した教育プログラムが期待できそうだ。

自分の作品が、社会とつながる喜び。どんな環境にいる人も自分のやりたいことができる、そんな世界が広がっていってほしい。

【参照サイト】 Accumulate | Youth Homelessness Charity | London

Edited by Erika Tomiyama

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