生理と自分らしく向き合うヒントをくれる、国内外の生理用アイテム・サービスまとめ

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2020年、無印良品が無地の茶色い紙箱に入った生理用ナプキンの販売を開始し、話題を集めた。これまでのサニタリー用品のパッケージといえば、ピンク等のパステルカラーが使用され、リボンや花、パールなどのいわゆる「女の子らしい」とされるモチーフが描きこまれているものが主流であった。そうしたイメージを覆す無印良品のシンプルなパッケージは、TVの情報番組等でも取り上げられており、SNS上では「こういうデザインが欲しかった」「男性も買いに行きやすくなる」などと歓迎する声が上がっている。

近年、このように、多様なニーズに応える生理関連の新たな製品・サービスが増加。フェムテック(女性が抱える健康の課題をテクノロジーで解決する製品やサービスのこと)やフェムケア(テクノロジー以外の分野で女性の体や健康のケアをする製品・サービスのこと) という言葉も少しずつ世間に浸透し始めている。すべての人が、安心して快適な生理期間を過ごせるように、多様な選択肢が求められている。

今回は、新たな選択肢となりうる生理用品や、生理との向き合い方をサポートしてくれるサービスを厳選して紹介したい。

1.毎月使うものだから。生理用品のサブスクリプションサービス

①自分にも、誰かにも届くやさしさ。英国生まれの「freda」

fredaは、オーガニック素材でできた生理用品を届ける、英国生まれのサブスクリプションサービスだ 。ナプキンやタンポンなどのラインナップから必要なものを選び、必要な時期に届けてもらえるシステムなので、無駄がないのが嬉しい。

製品は生分解性の素材でできており、環境負荷が低く、肌にも優しい。さらに、サブスクリプションボックスを1つ受けとるたびに、世界のどこかで生理用品が手に入らず困っている女の子に生理用品を届けられる形になっている。自分が心地よいだけでなく、誰かの支援につながる点が素敵だ。

②カラフルなパッケージがお洒落。サステナブル&ヴィ―ガンの生理用品「TOTM」

サブスクリプション制度を実施している英国の生理用品ブランドをもう一つ紹介しよう。それが、「常に時代のタブーを打ち破り、サステナブルな製品を使用する選択肢を女性に提供すること」を企業目標に掲げるTOTMだ。TOTMはサステナブル&ヴィーガン素材でできた生理用品を展開している。

ポップな色使いのパッケージデザインは、隠すのがもったいないほど。ファッションの一部として、堂々と持ち運びしたくなってしまいそうだ。また、生理に関する役立つ情報が満載のオンラインコミュニティ運営を通じて、「生理との上手な付き合い方」をサポートしている点も魅力的である。

2.ナプキンやタンポンだけじゃない、生理用アイテム

①生理を楽にする。家計にも地球にもやさしい月経カップ

月経カップは生理中に膣内に挿入し、経血を溜めるシリコン製のカップで、欧米を中心に利用者が増えている。人によっては慣れるまでに少し時間がかかるかもしれないが、月経カップの利用には「繰り返し使えて経済的」「ナプキンを捨てずに済むので環境負荷が低い」「生理痛が軽減する」といった様々なメリットがある。

こちらの米国生まれのエヴァカップは、安全な医療用シリコン製。最長12時間使用できるので、ナプキンを取り換える手間が省け、生理中のライフスタイルを楽にしてくれる。

②捨てずに使える、吸水ショーツ「Nagi」

SNSを中心に女性のエンパワメントをしてきたBLAST Inc.が開発したNagiは、ナプキンが要らない生理用ショーツ。ショーツ本体で経血を吸収できる作りになっており、洗って繰り返し使うことができる。また、日本の生地メーカーの生地を使用し、1枚1枚丁寧に人の手で縫製されているのもNagiの魅力のひとつである。

捨てずに使う生理用品。サステナブルな下着ブランド「Nagi」

③経血が多い方に。タンポンや月経カップに代わる、第三の選択肢

ユニ・チャームの「ソフィ・シンクロフィット」は女性の不便さを見つめ、8年かけて開発された第三の生理用品。使い方は、いつものナプキンに手の平サイズのシンクロフィットをプラスするだけと簡単で、使用後、水に流せる点も便利である。経血量が多くてナプキンだけだと心配だが、月経カップやタンポンの使用には抵抗がある──そんな方にとっての新たな選択肢になりうるアイデア製品だ(※)。

シンクロフィット

Image via ランドリーボックス

3.飾っておきたくなる、ファッショナブル・デザインの生理用品

①スタイリッシュなデザインの、中国生まれのタンポン

中国で2016年に登場したタンポン「Fémme」は、そのスタイリッシュなデザインで注目を集めた。

このパッケージが登場した2016年当時、中国でタンポンを使う女性は2%。タンポンの存在自体を知らない人も多かったという。Fémmeは、「より多くの女性たちにタンポンを知り、使ってほしい」という想いから誕生。パステルカラーに、大胆な赤色の「女」という漢字のロゴマークがスタイリッシュで控えめ、エレガントな印象だ。ブランドのアイデンティティは、西洋の価値観に寄せず、中華的価値観の「モダンな解釈」に基づかせた。中国の女性の選択をより自由にしたい、という願いのこもった美しいデザインだ。

②まるでお菓子みたいな、カラフルパッケージ

次にご紹介するのは、こちら。

まるでお菓子のようにポップで可愛らしい生理用品パッケージ。こちらは、2020年にグラフィックデザイナーの松下真由美さんが卒業制作としてデザインした生理用品ブランド「DIARY」のものである。いまのところ製品化されていないのが非常に残念だ。

以前から「生理による不調に悩まされる女性を少しでも元気付けたい」と考えてきたという松下さん。「私も自分なりのやり方で女性が元気になれる方法を考えたい」──そんな想いから、卒業制作に「生理用品のブランディング」を選んだのだという。デザインについて、松下さんは「憂鬱になりやすい生理のときにも明るく過ごせるような、可愛くて華やかなイメージを意識しました」と語る。持ち歩く際にも「恥ずかしい」「隠さなければ」と思ったりせず堂々と持ち歩いてもらえるように、個包装でも可愛いデザインを心がけたそうだ。

生理用品のパッケージデザインももっと多様で良いはず──そんな声があがる近年、無印良品を筆頭に様々なブランドがモノトーンやアースカラーをベースにした落ち着いた雰囲気の生理用品パッケージを発表し、注目を集めている。そういったシンプルなデザインを好む人がいる一方で、「デザインが多様化するのは良いことだけれど、全部がミニマルデザインになるのはなんだか寂しい」「カラフルな生理用品で憂鬱な生理期間を少しでも楽しく過ごしたい」と思っている人も少なくないはずだ。「今日は甘いものが食べたい」「しょっぱいものの気分だな」──食べたいお菓子をつまみ食いするように、個々人の好みや気分によって生理用品のパッケージを手に取ることができたら……DIARYのパッケージを見ていると、思わずそんなワクワクする光景を想像してしまった。

4.相談しづらい悩みにも答えてくれる、心強いウェブサイト

①「私にあった選択肢」探しをサポートする「ランドリーボックス」

ランドリーボックスは「あらゆるワタシに選択肢を」がテーマのメディア。相談しづらいカラダやココロの悩みに特化したコンテンツを届け「個々人に合う選択肢」探しをサポートする。生理や婦人科系疾患、更年期、セクシャルウェルネス、性教育などのカテゴリが用意されており、医師や専門家の記事、様々な価値観を持つメンバーのコラムから、いろんな知識、考え方を学ぶことができる。

▷ランドリーボックス:https://laundrybox.jp/fermata
②フェムテック情報をまとめてチェックできる「fermata」

fermataは、世界中で急速に広まっている、フェムテック関連のソリューションの情報を提供しているプラットフォーム。今まで多くの女性たちがガマンしていた悩みや不安を解決しうるフェムテックを国内外からキュレーションし、アジア・日本へ提供する。サイトからは製品の購入も可能。潜在的課題の発見や新たなフェムテック創出への貢献も目指す。

自分にぴったりの生理用品で、快適に過ごそう

いかがだっただろうか?多様なニーズに応えるパッケージデザインや、フェムテック・フェムケア領域の発展に伴い登場している生理関連プロダクトやサービス。こうした選択肢の多様化は、「個々人の快適な暮らし」や「生理について話しやすい雰囲気」を形作っていくはずだ。

気になった方は、使うのが楽しみになるような「自分にしっくり馴染む」製品やサービスを選んでみてはいかがだろう。新たなソリューションを試すことで、生理期間がこれまでよりもほんの少し快適になったり……「暮らしが少しサステナブルになる」「生理痛が軽減する」「気持ちが前向きになる」……といった嬉しいおまけがついてきたりするかもしれない。

※シンクロフィットについて:環境への影響については、疑問が残る。シンクロフィットのおもな素材は「レーヨン、ポリエステル」。HPには、使用後の製品を水洗トイレに流すと、水圧で分解されるとの記載がある。これは、プラスチック由来のポリエステルがマイクロプラスチックになり、海への流出につながる可能性があるのではないか?製品使用による環境への影響についてはもう少し議論が必要かもしれない。現在の機能を保持した、完全生分解性の製品ができることを、心から願っている。

Edited by Yuka Kihara

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