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Femcare(フェムケア)とは・意味

フェムケア

Femcare(フェムケア)とは?

「Feminine(女性の)」と「Care(ケア)」をかけあわせた用語で女性の体や健康のケアをする製品(商品)・サービスのこと。元々は主に月経関連や更年期の症状から起こる膣まわり(フェムゾーン)のケアなどを指す言葉だったが、最近は広く女性のQOL(Quality of Life)を向上させるためのものとして捉えられている。

たとえば以下のようなものはFemcareに当てはまる。

  • オーガニックコットンの生理ナプキン
  • ナプキンやタンポンを使用しない月経用吸水ショーツ
  • フェムゾーン専用の洗浄剤やオイル
  • 妊娠中や産後のQOL向上を目的としたアイテム
  • 更年期症状改善のためのアイテム
  • セクシャルウェルネス関連商品
  • 女性特有の症状に合わせた健康食品やサプリメントなど

Femcare(フェムケア)が広まった背景

女性の社会進出が進み、男性と同じように責任ある立場で活躍する人々も増えている。一方で、生理や妊娠、出産、更年期などライフステージごとに様々な女性特有の健康の悩みを抱えているが、まだまだ社会的には働きやすい環境が整っているとは言い難い。2019年に経済産業省が発表した「健康経営における女性の健康の取り組みについて」によると年間約4900億円の損失が女性特有の健康の問題によって生じていると試算された。生理痛やPMSに伴う体調不良や更年期障害による生産力や労働意欲の低下が原因と言われている。

また、SDGsの目標のひとつに「ジェンダー平等の実現」が掲げられていることや、使い捨ての生理用品による環境問題への懸念、生理の貧困など様々な要素が重なり、女性のエンパワーメントやウェルビーイングに注目が集まるようになった。

元々、欧米中心に盛り上がりを見せていたが、2021年にユニクロが発売したことで吸水ショーツ市場が拡大し、大手百貨店がフェムケア商品を集めた売り場を展開するなど、国内でも広がりを見せている。

最近では、丸紅、大塚製薬、花王など福利厚生として女性のサポートプログラムにFemcareを取り入れる企業も増えている。

Femcare(フェムケア)とFemtech(フェムテック)の違い

Femcareとよく似た言葉で、女性特有の課題をアプリやAI(人工知能)などのテクノロジーを使用して解決する分野はFemtech(フェムテック)と呼ばれている。FemtechとFemcareは、同じような製品に区別されず使われることも多いが、Femcareはテクノロジーに由来しない製品を指すと覚えておくとわかりやすいだろう。

Femcare(フェムケア)にまつわる問題

2020年頃より急速に認知度が高まっているFemcareだが、その裏で取り残されている課題があることも忘れてはならない。

Femcareアイテムのアクセシビリティの問題

経済的な理由やインフラの不備、教育の不足などにより、必要かつ適切な生理用品などが手に入らない人々もいる。実際にFemcareやFemtechの商品として販売されているもので比較的高額なものも少なくない。政府やNGOが無料や低価格の生理用品を提供している地域などもあるが、社会全体でこうした不公平をなくす取り組みも必要だ。

Femcareとジェンダー、セクシュアリティの多様性の関係

Femcareという言葉は「Feminine(女性の)」という意味に由来しているため、どうしても女性らしさに寄ったアプローチや、商品であることが多い。しかし、ジェンダーやセクシュアリティの多様性が広がり、トランスジェンダーやノンバイナリーなど人々にもこうしたケアが必要という声が上がっている。また、不妊などは女性の問題だけではなく、パートナーである男性と共に取り組むべきという考えもあり、ジェンダーにとらわれないケア商品の展開も求められている。

Femcareのタブーについて

世界中には様々な文化や宗教が存在し、生理やFemcareについて語ることがタブー視されているエリアも存在する。日本でもかつては生理についての授業に男子生徒が参加することはなかった。ただ、こうしたタブーによって必要な知識が制限され、健康やウェルビーイングが損なわれる機会を無くしていかなければならない。相談できずに抱えていた問題や、声に出せなかった悩みなどに耳を傾ける姿勢も大切だ。

Femcare(フェムケア)の今後

アメリカの調査会社CBインサイツによると2025年までにグローバルで5兆円規模の市場になると予測されている。国内でも矢野経済研究所の調査では、2021年時点で市場規模は642億円を超え、今後もその勢いは続くと見られている。

まだまだ成長段階の市場であり、大手企業からスタートアップまで様々な参入が予想され玉石混淆なのも確かだ。その中で、女性にとって本当のウェルビーイングを実現するには、知識の向上やお互いの理解が必要になるだろう。声に出しやすい環境づくり、セルフケアの重要性を知ること、男性側の理解や配慮、若い世代の教育など社会全体で取り組んでいくべき課題も多い。Femcareの広がりと共にすべての女性が、環境や状況に関係なく、健やかに活躍できる未来に期待したい。

Femtechについての詳細や、日本国内・海外の事例については、下記記事でも紹介しているのでぜひ読んでみてほしい。

Femtech(フェムテック)とは・意味

【参照サイト】矢野経済研究所 | フェムケア&フェムテック(消費財・サービス)市場に関する調査を実施(2022年)
【参照サイト】講談社C-station | フェムテックとは? 女性がもっと活躍するための、新たな市場の可能性
【参照サイト】日経クロストレンド | ユニクロが「フェムケア市場」開拓 吸水ショーツをどう変える?
【参照サイト】metropolitana.tokyo [メトロポリターナトーキョー] | 《フェムケア入門vol.3》フェムテックとフェムケアで創る世界
【参照サイト】Crowdcube | The future is femtech




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