廃プラスチックで「木のデッキ」をつくる。米Trex社のアップサイクル

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昨今、世界中で様々な環境問題の要因となっている、プラスチック。グローバル企業や、各国の政府により、リユースやリサイクルなどの対策が進められているが、依然として課題は多い。プラスチックは環境や生態系への影響だけではなく、私たちの健康にも有害な影響があるとされている。特に先進国の住民である私たちは、一人当たりのプラスチック排出量が途上国よりはるかに多く、これは誰もが責任を持って対処しなければならない問題だ。

日本では2020年7月にプラスチックの買い物袋が有料化されたことが記憶に新しいが、プラスチックの中でも特に問題となっているのは袋やパッケージの類である。世界中の社会課題に関するデータを集めるOur World in Dataによると、2015年に世界で生産された一次プラスチックの量は407万トンにのぼり、そのうちの146万トンをパッケージング業界が生産している。そして、全体の生産量の約4分の3に相当する302万トンがその年のうちに廃棄されており、パッケージ業界の製品の使用期間はどの業界の製品よりも短く、生産量のほとんど全てにあたる141万トンが1年以内に廃棄されている。

今回はこの問題に対する力強いソリューションのひとつを紹介しよう。

Trexというアメリカのバージニア州に拠点を置く会社は、廃棄プラスチックから、住宅の壁や床に使用するウッドデッキを作っている。彼らの作るウッドデッキは一見本物の木のようだが、素材の95%が廃棄予定のおがくずと廃棄プラスチックなどのリサイクル素材だ。当社によると、一般的な16フィート(約490cm)のボードには2,250枚のプラバッグが使われているという。

これらのデッキは、回収したプラバッグを清掃して細かくし、おがくずと混ぜて作る。木材のデッキには耐久性や腐敗のリスクがあるが、Trezのデッキはひび割れや、カビ、シロアリなどの心配がなく、石鹸や水で洗うこともできるうえ、郵送の際に包む必要もない。デッキの色には豊富なラインナップがあり、フェンスや手すりなどの商品も揃えられている。また同社のデータによると、一般的なデッキとTrexの製造の工程を比較すると、温室効果ガスの排出が36%少なく、水質汚染が80%少なく、エネルギーは84%も削減できている。

Trexはアメリカ大手のプラスチックのリサイクル会社で、数々の建築やリフォームプロジェクトを行っている。彼らは素材となるプラスチックを調達するため、全国の店の外や地域コミュニティ、学校などに拠点を置き、独自のプラスチックリサイクルプログラムを実施し、企業からも廃棄プラスチックを買い取っている。一般的にはリサイクルが難しいとされるサンドイッチの袋や、キッチンロールのオーバーラップ、新聞のスリーブなどの薄膜のプラスチックも、Trexは製品としてリサイクルしているという。

また、Trexは専門の調査機関と協力し、定期的に第三者の目で、環境、健康、安全の面で自社に問題がないかチェックしたり、サプライチェーンにも働きかけ、環境負荷を減らす努力を行ったりするなど、環境に対する徹底した対策を行っている。そして、リサイクルとサステナビリティの大切さを若い世代に伝えるため、『TrexSchool Recycling Challenge』という学生に向けたイベントを毎年行っている。これは、どの学校がより多くの廃棄プラスチックを集められるかを競う大会で、アメリカのリサイクルデーである11月15日から、アースデイの4月22日まで行われるそうだ。

プラスチックは一度自然界に出てしまうとほとんど永久に自然界に残り続けてしまうため、こういったソリューションがあるからと言って、今までのようにプラスチックを作り続け、使い続けても大丈夫ということにはならない。買い物にはマイバッグやマイ容器を持参し、プラスチック製品の使用は減らしていくことが一番だ。

しかし、それでも出てしまった廃棄物は、Trexのようにリサイクルを行う会社のもとにスムーズに集め、再利用していくことが、より良い社会と環境の構築につながるのではないだろうか。

【参照サイト】Trex
【参照サイト】Our World in Data

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