ポップコーンで部屋を暖めよう。ドイツの大学がプラスチックに代わる断熱材を開発

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ゲオルク・アウグスト大学ゲッティンゲンは、2021年11月、ポップコーンでできたボード状の断熱材を開発したと発表した。

同大学は、建築資材を取り扱うドイツの企業「Bachl Group」とライセンス契約を結んでおり、断熱材は商用化されるという。植物由来の素材が、石油由来プラスチックの代替素材になることが期待されている。

Bachl Groupによると、ポップコーンでできた断熱材は軽いため、輸送にかかるコストや環境負荷を削減できるという。また、製品寿命が長く、断熱性や防火性にも優れている。コスト効率良く工業的に生産することが可能で、来年には断熱材を生産する工場が稼働を始める予定だ。

ポップコーンでできた素材の使い道は、断熱材だけにとどまらない。同大学は2021年5月に、ポップコーンでできた商品パッケージを開発したと発表。こちらも、ドイツの穀物会社の「Nordgetreide」とライセンス契約を結んでおり、パッケージは商用化される見込みだ。

ポップコーン断熱材

Image via Göttingen University

住まいの快適性を維持するうえで重要な役割を担う、断熱材。東京都によると、断熱材には大きく分けて繊維系断熱材と発泡プラスチック系断熱材がある。繊維系断熱材には、ガラスでできたグラスウール、鉱物でできたロックウール、木材の端材や廃材でできたインシュレーションファイバーなどが含まれる。また、発泡プラスチック系断熱材には、硬質ウレタンフォームやポリエチレンフォームなどが含まれる。

ドイツのゲオルク・アウグスト大学ゲッティンゲンによると、こういった断熱材のうち、プラスチックや鉱物繊維でできた断熱材が市場の約90%を占めているという。生産性やコストなどを踏まえて重宝されているプラスチック系断熱材を、より環境に優しい素材に置き換えることを考えていかなければいけない。

「ポップコーンといえば食べるもの」と私たちは思っているが、その用途の幅広さには驚かされる。日本の木造住宅でも、グラスウールなどの無機質系断熱材や発泡プラスチック系断熱材が主流となっているなか、この新たな断熱材が注目を集めるかもしれない。

【参照サイト】 Information for the Media – Georg-August-Universität Göttingen

Edited by Erika Tomiyama

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