暗号資産業界の脱炭素化を目指すイニシアチブ「Crypto Climate Accord(暗号資産気候協定、以下CCA)」が4月9日に発足した。ConsenSysやWeb3財団、Rippleなどが参画している。
CCAは、Energy Web、ロッキーマウンテン研究所(RMI)、Alliance for Innovative Regulation(AIR)によって立ち上げられた。2015年に採択されたパリ協定の理念に基づき、暗号資産と金融業界が協力することで、グローバル金融の持続可能な未来の構築を目指すという。
イニシアチブ発足の背景にあったのは、暗号資産の需要が高まりに伴うエネルギー消費の問題だ。暗号資産の取引の承認作業である「マイニング(採掘)」には、大量の電力を消費するのだ。中国では石炭による火力発電を用いた大量のマイニングが行われてきており、環境への懸念などから、同国内モンゴル自治区ではマイニング事業を2021年4月末までにすべて終了させると発表された。
CCAの協定では、遅くとも2025年までに100%再生可能エネルギーへの移行を目指すとしている。具体的には、次の3つの取り組みを上位目標として掲げている。
- 2025年の国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)までに、世界中のブロックチェーンを100%再生可能エネルギー化
- 暗号資産業界におけるCO2排出量を測定するためのオープンソースの会計基準を策定
- 2040年までに、ブロックチェーン以外のすべての事業活動と過去の排出量を含む、暗号資産業界全体の排出量実質ゼロを達成
CCAには、暗号資産や金融、NGO、エネルギー、気候といった各分野から20以上の企業・個人が初期サポーターとして参画している。再生可能エネルギーを採用することで、持続可能性を追求した拡張性の高い業界に変革すると共に暗号資産のさらなる普及を推進することが可能だ。
今回の発表に際し、ConsenSysの創設者Joseph Lubin氏は次のようにコメントしている。
「ブロックチェーンシステムは、人類にとって信頼できる優れたインフラを提供します。今回の発表の重要なポイントは、人類が環境にとってより良い管理者になるという点です。例えば、イーサリアムは既にエネルギー効率を高めることに注力しており、近い将来にPoSによってカーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを開始します。この転換により、イーサリアムのエコシステムを大幅に効率化し、CCAの目標達成をサポートします。」
【参照サイト】Crypto Climate Accord: Home
※本記事は、ハーチ株式会社が運営する「HEDGE GUIDE」を一部編集した転載記事となります。