2030年までに、循環型およびカーボンポジティブなビジネスへの転換を目指すイケア。「イケアのサステナビリティレポートFY20」によると、2019年9月~2020年8月における、同社のカーボンフットプリント総量の4%は、製品の廃棄によるものだったという(※)。
同社は、製品の廃棄によるカーボンフットプリントの削減をさらに進めるとしており、その一環として、廃棄物を発生させないための対策を講じるという。これには、人々に再利用を促し、製品の寿命を可能な限り長く保つことが含まれる。
イケア全体でこういった大きな目標が掲げられるなか、イケア・カナダは2021年8月、人々が使い終わった同社製品を別の用途に再利用するための方法を紹介した説明書「Repurposeful Instructions」を公開した。製品をできるだけ捨てず長く使ってもらいたいという考えだ。イケアの組み立て説明書を見たことがある人にはお馴染みの、大きなイラストが載った説明書を、同社のサイトから無料でダウンロードできる。
8月現在、サイトで公開されている説明書は約10種類。皿立てを本立てとして再利用するアイデアや、引き出しの前板を靴置きに作り替える方法などが紹介されている。再利用の難易度は、工具を使う必要がないものから、スクリュードライバーやロープを使うものまで様々だ。DIYの初心者からベテランまで、幅広く楽しめる。
Repurposeful Instructionsのなかで特に注目したいのが、イケア製品を生き物の住処として生まれ変わらせるアイデアだ。買い物バッグを吊り下げ式プランターにしたり、サラダボウルで鳥の巣箱を作ったり、キャビネットを蜂の巣箱にしたりする方法が紹介されている。これまで植物や動物を育てていなかった人が、これをきっかけに自然と触れ合う機会を増やすこともあるのではないだろうか。生態系の保護や生物多様性の改善に貢献する、グッドアイデアだ。
ハーバードビジネススクールの研究によると、私たちには、自分が作ったものに高い価値を見出す「イケア効果」という心理効果があるそうだ。同社の家具が組み立てを必要とすることから、こう名付けられている。Repurposeful Instructionsを見て製品をさらに作り替えれば、より一層そのものに愛着が湧くのではないだろうか。長く愛せるものを、生活に取り入れてみたい。
(※)イケアのサステナビリティレポートFY20
【参照サイト】 Repurposeful Projects: Upcycle Your IKEA Furniture – IKEA CA
Edited by Erika Tomiyama