カーボンフットプリントとは・意味
カーボンフットプリントとは?
カーボンフットプリントとは、活動や製品が直接的または間接的に排出する温室効果ガス(GHG)の総量を指す。これにはCO2やメタン(CH4)、亜酸化窒素(N2O)などが含まれる。GHGの排出量は「CO2e」(二酸化炭素換算)という単位で表され、全てのガスを統一基準で比較することができる。
商品やサービスの原材料調達から製造、輸送、消費後の廃棄、リサイクルに至るまでのライフサイクル全体で排出された温室効果ガスをCO2排出量に換算して「見える化」し、商品やサービスに分かりやすく表示する仕組みだ。この数値が大きければ大きいほど、環境への負担が大きいということになる。
また、ライフサイクル全体を評価するのが特徴であり、製品の原材料の採取、製造、輸送、使用、廃棄までを含む。個人や企業、政府がその影響を把握するための重要な指標となっている。
カーボンフットプリントを把握する上で重要なのが、二酸化炭素排出量だ。二酸化炭素排出量とは、人間活動が直接または間接的に大気中に放出するCO2の量を指す。これは化石燃料の燃焼や産業活動、土地利用の変化から発生する。CO2排出は地球温暖化の主因であり、カーボンフットプリントはこの問題を解決するための測定手法である。
カーボンフットプリントを測定することで、個人や企業はどの部分で削減が必要かを把握できる。気候変動が進む中、温暖化の抑制や自然災害の予防、生態系の保全において排出量の削減が急務とされている。
カーボンフットプリントの歴史と背景
産業革命以降、化石燃料の大量消費が始まり、二酸化炭素排出量が急増した。これが地球温暖化を引き起こし、極端な気象現象や海面上昇、生態系の破壊をもたらしている。1980年代に入ると、環境問題が注目され、カーボンフットプリントという概念が生まれた。
1997年の京都議定書で先進国の排出削減目標が設定され、2015年のパリ協定では、地球の気温上昇を産業革命以前より1.5°C以内に抑えるという目標が掲げられた。持続可能な開発目標(SDGs)の中でも「気候変動への具体的対策」が重要視されている。
18世紀末の産業革命以降、世界の二酸化炭素排出量は急増している。特に20世紀後半からの人口増加と経済発展が拍車をかけた。この流れを変えるためには、再生可能エネルギーの利用や省エネ技術の導入が必要不可欠であると言われる。
カーボンフットプリントの計算方法と測定技術
カーボンフットプリントを実際に計測する上で重要なのが、ライフサイクルアセスメント(LCA)だ。LCAは、製品や活動のライフサイクル全体にわたる温室効果ガス排出量を定量化する手法。食品の場合、原材料の生産、加工、包装、輸送、廃棄などすべての段階を評価する。これにより、環境負荷の大きいプロセスが特定され、改善が可能となる。また、LCAには下記の範囲とスコープの違いがある。
スコープ2:電力や熱エネルギーの使用による間接排出
スコープ3:サプライチェーン全体での排出(例:原材料の調達や製品使用後の排出)
これらスコープの違いは、削減目標の範囲を明確にするために重要だ。
カーボンフットプリント測定ツールと最新技術
カーボンフットプリントの測定には、オンライン計算機から企業向けの専門ソリューションまで、多岐にわたるツールが利用できる。個人向けには「CoolClimate Calculator」や「Carbon Footprint Calculator」などがあり、日常生活での排出量を簡単に把握できる。企業向けには、「Greenhouse Gas Protocol」や「Carbon Trust Footprint Calculator」など、精密な測定を可能にするツールがある。
また近年では、最新技術を活用することで、測定の精度が飛躍的に向上している。AIとビッグデータを活用することで、企業は複雑なサプライチェーンの中でも迅速かつ正確に排出量を特定できる。これにより、従来の人手による計算と比較して効率的に削減ポイントを見つけられる。
そうした測定結果を示すために重要になってくるのが、認証制度や国際規格だ。ISO 14067は、製品カーボンフットプリントの測定と報告に関する国際基準を提供する。また、EUをはじめとする多くの地域では、カーボンフットプリントの認証を取得することで、製品の環境パフォーマンスを示すことが求められるようになっている。
日本での動き
日本は、2050年までにカーボンニュートラルを達成する目標を掲げ、脱炭素社会の実現に向けた多角的な政策を推進している。その中核となるのがカーボンプライシングの導入であり、これにより温室効果ガス(GHG)排出量の削減を図っている。
カーボンプライシングとは、GHGの排出に対して価格を設定し、経済的なインセンティブを通じて排出削減を促す仕組みである。日本では、炭素税や排出量取引制度(ETS)の導入が検討されてきた。2024年5月、政府は2040年を目標とした新たな脱炭素戦略の策定を発表し、産業政策と連携したカーボンプライシングの具体化を進めている。
さらに環境省は、地域脱炭素ロードマップを策定し、2030年までに少なくとも100か所以上の脱炭素先行地域を創出する目標を掲げている。これにより、地域の成長戦略と連携した脱炭素化の推進が図られている。
企業の脱炭素経営を支援するため、サプライチェーン全体でのGHG排出量算定や、科学的根拠に基づく削減目標(SBT)の設定が推奨されている。これにより、企業活動全体での排出削減が促進されている。
日本のGHG排出量は、2022年度に過去最低の11.35億トンを記録し、削減傾向が続いている。しかし、2050年のカーボンニュートラル達成には、さらなる取り組みが必要とされている。特に、カーボンプライシングの効果的な運用や、再生可能エネルギーの導入拡大、産業構造の転換など、多方面での施策強化が求められていくだろう。
【参照サイト】The Intergovernmental Panel on Climate Change
【参照サイト】環境省カーボンフットプリントコミュニケーションプログラム
【参照サイト】What is the Kyoto Protocol?
【参照サイト】The Paris Agreement
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- SaaS(Software as a Service)
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