ツバルの外相が「海の中」でスピーチ。気候変動に対して私たちができる3つのこと

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2021年10月31日から11月12日にスコットランド・グラスゴーで開催された、COP26(国連気候変動枠組み条約締約国会議)。期間中に多くのメディアから注目を集め、話題となったスピーチ映像がある。

そのスピーチは、南太平洋に位置する島国ツバルから発せられた。スーツに身を包んだ同国外相であるサイモン・コフェ氏が、膝まで海に浸かった状態で、自国のような太平洋諸国に影響を与える海面上昇の緊急性について訴えかけたのだ。

人口1万2千人の同国は海抜が低く、海面上昇による水没の危機にさらされている。世界銀行の試算によれば、同国がある西太平洋地域では海面上昇が世界平均の2〜3倍早く進んでおり、21世紀末までに0.5〜1.1メートル海面が上昇するとみられている。そうなれば、ツバル全域が21世紀末までに海に沈む可能性があるとツバル政府は警告しており、すでにニュージーランドなど、隣国に移住する人々もいるのだという。

コフェ外相がスピーチの中で「私たちは気候変動と海面上昇の現実の中で生きています」と語っているように、気候変動はすでにツバル国民の日常生活を脅かしている。

日本でも昨今、夏季に発生する豪雨や猛暑による災害が顕著化しており、「この場所で暮らすことができなくなるかもしれない」と感じたことがある人々もいるだろう。ツバルの人々はそんな感覚の最たるものを日常的に感じているに違いない。

そんなツバルの現状を「遠い世界の話」として見過ごすのではなく、本記事では、私たち自身が改めて気候変動を主体的に捉え、行動を起こすきっかけとするために「私たちにできる3つのこと」を紹介したい。

ツバルの状況を今後少しでも好転させるのに必要なのは、あくまで地球市民である私たち一人ひとりの意識と行動の変化なのだ。

私たちにできる3つのこと

気候変動に対策する方法はたくさんあるが、ここでは「食事」「エネルギー」「情報」に関する3つのアクションをご紹介する。

これらは私たちの社会生活を持続させる根本的な要素であるからこそ、たとえ小さな変化でも、長期的にみれば地球環境に対して非常に大きなインパクトをもたらすことになる。

01. 肉の消費量を減らす

家畜を飼育する耕地拡大による森林伐採、畜産の過程における大量の水と資源の使用、生産・輸送で排出される大量の温室効果ガスなどは生態系へ大きく負荷をかける。このことから、気候変動を食い止める大きなアプローチの一つとして、肉食を減らすことがあげられる。

環境問題への注目が高まるにつれ、菜食主義を取る人の数は、世界中で年々増加している。かくいう筆者は完全な菜食ではないが、数年前から必須アミノ酸を損なわない形で植物性タンパク質の摂取量を増やし、肉類の消費量を減らす食生活を実践している。

環境倫理的にベジタリアン・ヴィーガンになろうとしながらも周囲の食文化や習慣から苦戦する方に対して筆者が何か申し上げられるのならば、「最初から完璧に行う必要は全くない」ということだ。

体に負荷のない形で少しずつでもあなたが食肉消費量を減らしていくだけでも、長期的なインパクトは大きい。また、そのような姿勢が周囲の人に波及することには大きな意味があるだろう。

02. 電力会社を切り替える

気候変動の緩和に向け、食事に続いて私たちができる大きな貢献は、日々使用する電力エネルギー源を見直すことだ。再生可能エネルギーの利用は、発電の過程で物理的資源を必要としないことと、従来の化石燃料のように温室効果ガスを排出しないことから、環境負荷を削減することができる。

2016年に「電力の小売り全面自由化」が行われてから、日々使用するエネルギー源は誰もが自由に選択できるようになった。自然エネルギーで発電する電力会社(「ハチドリ電力」や「みんな電力」など)は日本でも増えている。

「買い物は投票」という表現があるが、まさにその通りで、私たち個人も自然エネルギーの利用を主体的に選択することで、大げさではなく、社会を変える一端を担うことができるのだ。数時間だけ時間を取って、ぜひ検討してみてほしい。

03. 情報を知り、人へ伝える

人の体が食べるものでできているように、私たちの思考は日々見聞きする情報でできている。本メディアの読者の方々は、環境問題やその他の社会問題に対するアンテナが高いので、どうか少しでも周囲の人々とそうしたトピックについて対話する機会を増やしてみてほしい。

ある国や地域では気候アクションが盛んで別の国や地域ではそうでもない理由の一つに、伝えられ蓄積されてきた情報量の違いがあるだろう。近い思考を持った仲間がいれば、人はより自信を持って行動できるようになるし、輪が広がることで自然と影響力を増すことが可能だ。

SNSでニュース記事をシェアするなど、小さく思えるアクションからでもぜひ始めてみてはいかがだろう。

【参照サイト】How You Can Stop Global Warming

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