車椅子がないなら、ガーデンチェアを使えばいい。米NPOの「日常を変える小さなアイデア」

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誰もが暮らしやすい社会をつくろうと、多くの人が頭をひねる昨今。だが、課題の解決につながる具体的なアクションが思い浮かばないこともあるだろう。

そんなときは想像力を膨らませて、身近なものを課題解決のために使えないか、試してみてはどうだろうか。

想像力を使って、世界中にいる足の不自由な人を支援しているのが、アメリカの非営利団体であるFree Wheelchair Missionだ。同団体は2001年から2020年まで、プラスチック製のガーデンチェアを使った車椅子を提供していた。身近なガーデンチェアの意外な使い方に驚かされる。


同団体のミッションは、発展途上国で暮らす足の不自由な人の移動を支援することだ。世界保健機関によると、世界で7,500万人が車椅子を必要としているが、それを入手できる人はわずか5~15%(※1)。金銭的な負担などさまざまな理由により、需要に対応しきれていないという課題がある。

そんななか同団体は、製造費用や輸送費用を含めて1台あたり100ドル(約1万4千円)未満で提供できる車椅子を用意。車椅子のコストも機能性も追求し、日常的に不便を感じている人々が、すぐに車椅子を入手できるよう努めている。

発展途上国の人々が長く使える車椅子にするため、ガーデンチェア以外の部分にも工夫が施されている。車椅子のタイヤが自転車のタイヤに似ているのは、発展途上国で普及している自転車のように、現地の人の手で修理しやすくするためだという。

2022年現在は、ガーデンチェアを使わない新しいバージョンの車椅子を提供しているが、「発展途上国の人々が利用しやすい製品にする」という方針は変わらない。同団体は2001年以降、世界94か国に130万台もの車椅子を提供している。

身近なガーデンチェアを新しい角度から見つめ、具体的な支援につなげてきたFree Wheelchair Mission。あなたも、身近なものを組み合わせたり分解したりして、新しい支援の形を考えてみてはどうだろうか。

※1 Assistive technology
【参照サイト】Welcome to Free Wheelchair Mission
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