信頼があるから外にも出られる!?インドの「オープンすぎる」刑務所

Browse By

「オープン・プリズン(開放型刑務所)」という言葉を聞いたことはあるだろうか。

インドの国家犯罪記録局(NCRB)によると、2020年時点で全国に1,306か所の刑務所が存在し、そのうち88か所がオープン・プリズンだという。約49万人の受刑者のうち、約3千人がオープン・プリズンに収容されている(※1)

字面から大体の想像はつくかもしれないが、オープン・プリズンとは何なのだろうか。

同国最多の40か所のオープン・プリズンがあるラジャスタン州では、受刑者に小さい住まいが与えられ、受刑者は生計を立てるために職業を自由に選べる仕組みになっている。

受刑者は、朝の点呼に参加して夕方の点呼までに戻ってくるのであれば、仕事に行くために刑務所の外に出ることができる。受刑者が自分で稼ぐため、刑務所は彼らの食事を提供しないそうだ。こうすることで受刑者の自律を促し、出所後の社会復帰を後押しすることを目指している。

受刑者が脱走しないのか、不安に思う人は多いだろう。もちろん、「脱走は絶対に起きない」とは言えないが、オープン・プリズンの推進に取り組む団体Prison Aid + Action Researchによると、脱走するケースはごくわずかだという。

 

この投稿をInstagramで見る

 

openprisonvoices(@openprisonvoices)がシェアした投稿

その理由として、態度がまじめで模範的な受刑者が、通常の閉鎖型刑務所からオープン・プリズンに移送されていることが挙げられるだろう。州によっては、組織犯罪に関与した人や常習犯の移送を禁じている場合もある。また、オープン・プリズンは互いの信頼に基づく仕組みであり、受刑者は刑務所の信頼に応えようとするそうだ。

ラジャスタン州のオープン・プリズンでは、受刑者の家族が施設内で一緒に暮らすことも可能だ。こうすることで、受刑者の服役中でも家族関係を構築しやすいというメリットがある。仕事の件についても言えるが、受刑者が社会とのつながりを維持しやすい仕組みになっている。

犯罪を減らすには、受刑者の更生を支援して再犯を防止することが大切だ。そのために何をするべきなのか、考えていきたい。

※1 Prison Statistics India 2020
【参照サイト】Prison Aid + Action Research
【関連記事】刑務所×サーキュラーエコノミーの可能性を考える【イベントレポ】
【関連記事】コーヒーを通じて再犯率を減らす、英国の「刑務所」カフェ
【関連記事】【タイ特集#4】「弱み」を「強み」にしトップ店へ。元受刑者の女性たちによる大人気マッサージ店「Lila Thai Massage」

FacebookTwitter