世界127か国以上がプラスチック製のレジ袋を規制。その効果は?

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近年、プラスチック製レジ袋への規制が世界中で進んでいる。国連環境計画(UNEP)の2018年の報告書によると、プラスチック製レジ袋に禁止や有料化など何らかの規制を施している国は、世界127か国にのぼるという。ご存じの通り日本でも、2020年7月からレジ袋が有料化された。

プラスチック製レジ袋は、再生不可能な資源である石油から作られ、生産の過程で温室効果ガスを発生させる。そのうえリサイクルが難しく、その大部分がごみになってしまったり、軽くて風に飛ばされやすいため、捨てられたレジ袋が河川を伝って海に流れ込み、海洋汚染につながったりなど、環境にさまざまな悪影響を及ぼしてきた。そのため多くの国で、規制が進められてきたのだ。

果たしてそうしたレジ袋の規制は、どのような効果をもたらしているのだろうか。

plastic bag

一つ目の効果として挙げられるのが、ごみの削減だ。米国カリフォルニア州の都市・サンノゼは、2012年にプラスチック製レジ袋を禁止してからの4年間で、地元の川で76%、雨水の排水口で69%、レジ袋のごみが減少したというデータを、町の公式ページで発表している。使われるレジ袋の総量が減ったことで、街や川に飛ばされるレジ袋の量も大幅に減少したのだ。

二つ目に、経済的な効果も挙げられる。買い物客が再利用可能なバッグ──いわゆるエコバッグを持参する習慣を身につけることで、小売業者はプラスチック袋や紙袋にかけていたコストを削減することができるのだ。さらに小売業者は、新たに生まれたエコバッグの需要に対し、エコバッグを顧客に販売し、収益につなげることもできる。

三つの目の効果としては、消費者に環境問題やプラスチック問題について考えるきっかけを与えたことが挙げられるだろう。日常生活のなかで使うレジ袋が有料化されたことで、エコバッグを持ち歩くようになった人、プラスチック問題を意識するようになった人は、日本でも多いはずだ。

一方で、エコバッグはその生産や輸送の際にプラスチック製レジ袋よりも多くの温室効果ガスを発生させるという指摘もある。UNEPの2020年の報告書によると、綿製のエコバッグは50回以上使用しないと、プラスチック製レジ袋よりも温室効果ガスの排出量が多く、環境負荷が高くなるという。つまりエコバッグは、継続的に利用することで初めて、本当の意味でのエコバッグになるのだ。

プラスチック製レジ袋の規制が世界的にここまで進んでいるのは、とてもポジティブなニュースだ。ただしその規制による効果をさらに拡大させる鍵は、生活者一人ひとりの行動にある。

上記のようなデータを踏まえ、ただ単にレジ袋を使わないだけでなく、「プラスチックの生産・利用はどんな影響を環境に及ぼすのか」「本当に環境負荷の低い行動とは何か」といったことにも思いを巡らせ、行動していく人が一人でも増えることを願う。

【参照サイト】 Plastic Bags and the Environment
【参照サイト】 Legal Limits on Single-Use Plastics and Microplastics
【参照サイト】 Single-use plastic bags and their alternatives
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Edited by Kimika

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