アボカドそっくりな「エコバド」環境負荷の低い食料生産への一歩

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サラダなどによく使われているアボカド。美味しく栄養価も高いため、様々な国の食卓に並ぶ人気の食材だ。世界のアボカド消費量は、年間約110億ポンド(約500万トン)にのぼる。主な生産地であるメキシコから、世界中に届けられている。

しかし、消費者の元にアボカドが届けられるまでに、どれくらいの環境負荷がかかるかご存じだろうか。アボカド1個の生産・輸送に使用される水の量は、約320リットル(2リットルペットボトルで160本分)(※1)。二酸化炭素排出量は、バナナ1キロ分のカーボンフットプリントに相当する(※2)

アボカド用の農地開発に伴う森林破壊も、深刻な課題だ。アボカドの主な生産地であるメキシコ・ミチョアカン州では、近年起きた森林破壊の30%〜40%が、アボカド生産のための農地転用によるものだと言われており、失われた森林の面積は6,000から8,000ヘクタールになるという(※3)

わざわざ遠くから運ばれて来なくてもいいように、アボカドに代わる「環境に優しいアボカド」を地元で作りたい。このような思いから、イギリスの大学院生が、アボカド代替品である「エコバド(Ecovado)」を開発した。

開発者は、ロンドン芸術大学のカレッジ、セントラル・セント・マーチンズ(Central Saint Martins)の大学院生、Arina Shokouhiさん。ノッティンガム大学のフード・イノベーション・センター(Food Innovation Centre)の食品科学者、Jack Wallmanさんと共に、エコバドのレシピを開発した。

Ecovado

Ecovado

エコバドは、淡い緑色で見た目もアボカドによく似ており、クリーミーな味わいだという。主な原材料は、そら豆、ヘーゼルナッツ、リンゴ、菜種油だ。アボカドの皮によく似たエコバドの皮は、自然な色合いのワックスで作られたフェイク皮。皮は生分解性であり堆肥化可能で、中身を食べた後はキャンドルとして使用することも可能だ。種子に相当する部分はナッツでできているため食べることができ、食品廃棄物も抑えられる。

イギリス市場向けに開発されたエコバドは、輸送時の環境負荷を抑えるために、全てイギリス産の素材で作られた。しかし、将来的に様々な地域でエコバドを販売できるよう、それぞれの地域で入手できる素材でエコバドを作るレシピを、開発していく考えだという。

環境負荷の抑制や人口増加への対策として、すでに多くの企業が代替肉の開発に力を入れている。今後は動物性食品に限らず、環境や社会課題に応じて、野菜や果物など様々な食品分野での代替食品の開発が進んでいくだろう。

※1 Ecovado
※2 Avocado: the ‘green gold’ causing environment havoc(World Economic Forum)
※3 Mexico: Deforestation for avocados much higher than thought(AP News)

【参照サイト】Ecovado
【参照サイト】Ecovado could be a greener alternative to ‘green gold’(CNN)
【参照サイト】Will Mexico’s Growing Avocado Industry Harm Its Forests?(World Resources Institute)

Edited by Yuka Kihara

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