「ノーマルorミート?」バーガーキングの、植物ベースを「普通」とする社会実験

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「ノーマルorミート?」

ハンバーガー大手、バーガーキングがオーストリアのウィーンで開始した社会実験が世界で話題になっている。そこでは次のような風景がみられるのだ。

ショップを訪れた客は、いつも通り注文を始める。すると、店員は客に「ノーマル(普通)」か「ウィズ・ミート(肉入り)」か、という一風変わった質問を投げかける。客が戸惑いながらも「ノーマルで」と答えると、植物由来ミートのハンバーガーが提供されるのだ。つまり、ハンバーグのデフォルト設定が植物由来ミートとなり、わざわざ注文しなければ、肉は食べられないというわけだ。

バーガーキングの社会実験はSNSでも話題になり、「#普通か肉入りか」を表すハッシュタグ、#NormalOderMitFleischが拡散されている。バーガーキングは、今後オーストリア全店舗の定番商品を植物由来ミートでも提供することを予定している。

デフォルトを植物由来ミートにすると、それを体験しようとする人も増えるかもしれない。また、キャンペーン動画では店頭の客は「ノーマルか、肉入りか」の質問に少し戸惑った様子だった。戸惑いながらも、自らが選択して植物由来ミートもしくは肉を食べるとすれば、その背景にあるものに想いを馳せるようにもなり、さらなる議論を誘発することにもつながるだろう。

2050年に97億人、2100年には104億人にまで人口爆発が続く人類。今、人類のために大量の食糧をいかにして確保するかが問題となっている。たんぱく源として市場が爆発的に拡大しているのが、肉製品だ。2022年における世界の肉製品の生産量は3億6,100万トンと予測され、膨大な量の肉製品が生産・消費されていることがわかる(※)

一方で、食肉を生産する畜産業には厳しい目が向けられているのも事実だ。例えば、環境破壊。開墾のために森林を破壊したり、水資源を大量消費したりする。CO2排出量増加も懸念される。さらに、動物性たんぱく質の摂りすぎによる健康への悪影響。また、飼育環境や動物の大量消費という動物倫理的な側面も見逃せない。

こうした課題解決のために、大豆など植物性の原料から作られた植物由来の肉、植物由来ミートは世界でも浸透しつつあり、最近では、米国・植物由来ミート大手のビヨンド・ミート社が日本に進出するというニュースも飛び込んできている。日本でも、植物由来ミートが「ノーマル」や「スタンダード」になる日も近いのではないだろうか。

MEAT AND MEAT PRODUCTS, FAO Food outlook June 2022.
【参照サイト】UN Population Division Data Portal
【参照サイト】Food Outlook – Biannual Report on Global Food Markets
【参照サイト】“Normal or With Meat?”: All Burger King Items Are Plant-Based in Austrian Experiment, Meat Must be Requested
【参照サイト】burgerkingaustria
【参照サイト】Beyond Meat Enters Japan Through Exclusive Agreement With USMH

Edited by Erika Tomiyama

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