世界のソーシャルグッドなファッション7選【2022年の最注目アイデア】

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2022年、新型コロナによる影響をいまだ受けているファッション業界。イギリスのブランド「ローラアシュレイ」が経営破綻し、国内では「セシルマクビー」が全店舗の閉鎖を決めるなど、全体的には縮小気傾向にある。しかし、コロナで物流が停滞することは、現実世界にすべてを頼らない「デジタルファッション」という新たなファッションのあり方への移行も意味する。近年は、メタバース(仮想空間)上での美容を意味する「メタビューティ」という概念も登場した。

また、ファストファッションの闇の部分も、ここ数年でだいぶ広く知られるようになってきた。最近だと、東京・原宿にショールームができた中国発の格安アパレルブランド「SHEIN(シーイン)」。その価格の安さから若者を中心に人気を博している一方で、潜入調査により製造工場での低賃金・長時間労働といった側面を明らかにされたことにも注目が集まっている(※1)

私たちは、どうファッションと向き合っていけばいいだろう。一度現実を知ってしまうと、もう純粋に「デザインの良さ」や「安さ」だけで選んでいた頃の自分には戻れそうもない。

幸い、ファッション業界の常識を変えようと動く人々が世界にはたくさん存在する。本記事では、日頃から世界のソーシャルグッド事例を配信するIDEAS FOR GOODが2022年に注目した、ユニークなアイデアをまとめてご紹介していこう。

世界のソーシャルグッドなファッションアイデア7選

01. 人の髪の毛をファッションに変身させるデザイナー

髪の毛で衣服を作るデザイナー、ゾフィアの哲学


毎日大量に切られている髪の毛。オランダ出身のデザイナーであり研究者でもあるゾフィア・コラーは、そんな髪の毛の成分に関する研究を重ね、ついに衣服として再利用する方法を編み出した。国内のさまざまな美容室を自転車で一軒一軒まわり、集めた髪の毛から折り目加工や模様のある生地を作り、セーターにして着るというアイデアだ。

衣服を作るために大量の木が伐採され、水が使われている一方で、毎年7,200万キロの髪の毛が特に何にも活用されることなく捨てられ、埋立地に送られる現状。そんなファッション製造の状況に、一石を投じるプロジェクトとなったのは間違いない。

02. 最大7万匹の魚を守る「フィッシュレザー」のスニーカー

最大7万匹の魚を守る?外来種の革を有効活用した「フィッシュレザー」のスニーカー


派手な色味で目を惹きつける、ミノカサゴ。新たな生息域での適応力と繁殖力が非常に強いミノカサゴは、新しい海域に侵入してから5週間以内にサンゴ礁の魚の79%を殺してしまうほど、侵略的な外来種である。そこで登場したのが、地元の漁師が捕獲したミノカサゴの皮を使ったレザーで作られたスニーカーのコレクションだ。

外来種の定義は、「人間の手によってもともと生息していた場所から別の場所に移送された生き物」であり、この問題のそもそもの原因は私たち人間の活動にある。そのため、問題を根本的に解決するためには、自然界の仕組みを尊重し、その破壊をこれ以上行わないような生活や経済活動のあり方を模索していくことが必要だ。

  • 国名:イタリア、アメリカ
  • 団体(企業)名:INVERSA
03. 商品は7つしか出さない拘りのファッションブランド

商品は7つだけ。「脱成長」を原則とするファッションブランド


用途の広い外出着を必要な数だけ作ることをモットーに掲げるブランド「Early Majority」。同ブランドが2022年4月に発表した服は、わずか7種類だけだった。

服はすべて、自転車に乗るときにも会議をするときにも、あるいはバーでも農村でも着られる、機能性とデザイン性を兼ね備えているという。服の系統を細分化することで引き起こされる、大量生産・大量消費を防ぐアイデアだ。

  • 国名:アメリカ、フランス
  • 団体(企業)名:Early Majority
04. 転売を積極的におすすめしてくるファッションブランド

デンマークのファッションブランドが、購入者の「転売」を支援する理由


デンマークのファッションブランド「Samsøe Samsøe」がリリースしたのは、衣服にQRコードがプリントされた「リセールタグ」。QRコードを読み込むと、その商品の画像やサイズ、 色、素材などの情報が、販売プラットフォームに自動で紐付くようになっている。あとは情報をチェックし値段を入力するだけで、プラットフォーム上に商品が出品される仕組みだ。

衣服の購入者が、服を着なくなったときに簡単に再販できるようにすることで、ごみを減らす仕組みをブランド側から仕掛けている。

05. 究極の当事者意識。ナイキの「患者がデザインする」スニーカー

誰もがユニークだと伝えよう。ナイキの「患者がデザインする」スニーカー


ナイキスニーカーの人気コレクションの一つに、小児患者がデザインしたスニーカーがある。その名も「Doernbecher Freestyle Collection(ドーレンベッカー フリースタイル コレクション)」。米国ポートランドにあるドーレンベッカーチルドレン病院への寄付を目的に、ナイキが2004年から開始したプロジェクトだ。

同コレクションのスニーカーはすべて、病院に入院する子供たちが一からデザインしたもの。毎年、多くのデザインのなかから選ばれたものが商品化され、子供ならではのユニークで斬新なデザインが人気を集めている。

06. 衣服づくりのプロセスを全て埼玉で行うブランド

素材調達からデザインまでを埼玉・秩父で行うアパレル「REINA IBUKA」


養蚕や絹織物に関して千年以上もの歴史を持つ埼玉・秩父でものづくりをする「REINA IBUKA」。

素材からテキスタイル、そしてデザインに至るまで一貫して同じ地域で行っているこのブランドは、ファッション業界では極めて珍しい。ものづくりの川上から川下に至るまで、生産背景の透明性が大きな特徴だといえる。

07. 利益の80%をアフリカに還元する、日本発エシカルアパレルブランド

利益の80%をアフリカに還元する、日本発エシカルアパレルブランド「SHIFT 80」


日本に、新たなエシカルアパレルブランド「SHIFT 80(シフトエイティ)」。ファッショナブルで品質にこだわっているだけでなく、株主に配当金として支払われる利益のうち、80%を株主ではなくアフリカに還元する仕組みを作っている点がユニークだ。

同ブランドのアイテムには利益の寄付先を投票できるQRコードがついており、購入者は月経教育・生理用品の提供をはじめとした「女性への支援」のほか、「貧困児童への学費支援」「孤児と被虐待児への生活支援」「障がい児支援」から寄付先の投票ができるという。

  • 国名:日本・ケニア
  • 団体(企業)名:SHIFT 80

まとめ:2023のファッショントレンド

経済はいつまでもこのままの状態で成長していくもの、ではない。地球の限りある資源を、いかに搾取するだけでなく再生させていくか。2022年の終わりは、それを考える段階にきている。ファッションブランドで「脱成長」をテーマに掲げるものが出てきたのは、象徴的ではないだろうか。

また、使い終わった服や、破れてしまった服はただ捨てるのではなく、便利な修理サービスに出すこともおすすめしたい。いま世界では、リサイクルの前の段階として「リペア」のブームがきている。2022年3月には、ロンドンで「Repair Week(修理週間)」が開催された。

【まとめ】ファッションの「修理サービス」世界の注目事例7選

柔軟な発想が鍵に。ヨーロッパのサステナブルファッション最新事情【欧州通信#01】

アイデア一つで、世界にインスピレーションを与えることができる。そんな世界の事例を、引き続きお届けしていきたい。

※1 イギリスのチャンネル4とThe i newspaperの潜入調査

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