森林火災を啓発する、アルゼンチンの「山火事の匂いがする」芳香剤

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お風呂の入浴剤や、お部屋でのリラックスタイムで使うお香。そんなアイテムの“森林浴の香り”が好きな人も多いのではないだろうか。フレッシュな香りで、気分転換をするとすごく気持ちが良い。

ところが、そんな森林浴の香りが変化する日が来るかもしれない。南米アルゼンチンの国際環境NGOグリーンピースは、現代の森を象徴する香りの車用芳香剤を開発した。「La aroma de la conociencia(良心の香り)」と呼ばれるその芳香剤は、「山火事の香り」なのだ。定番の松の木の形をしているが、まったく爽やかな香りはせず、煙や木の焼けた強い香りを発する。

1分強の動画では、再現された森の風景の映像が映し出され、ナレーションでは、アルゼンチンの森を「悲しいほどユニーク」にしているもの、それは「ウッディで、スモーキーで、染み入るような」火の香りであるという皮肉がきいたメッセージが発せられる。

Nuestros bosques tienen algo extraordinario.
アルゼンチンの森には、なにか特別なものがある。

No, no nos referinmos ni a su flora, y tanpoco a su fauna.
特別なのは、植物相でも動物相でもない。

Nos referimos a algo muy, muy especial y eso eso lo que los hace tan únicos.
Tristemente únicos.
それは、とてもとても特別なものであり、それがアルゼンチンの森をとてもユニークにしているのだ。
悲しいほどユニークにしている。

Nos referimos a esto, su aroma
それは、森の香りだ。

Sí, un aroma muy particular.
そう、とても特別な香りだ。

Es el típico aroma amaderado, ahumado e impregnante
ウッディで、スモーキーで、染み渡るような香りだ。

Y que ahora va a estar al alcance de tu mano para que disfrutes la fragancia de nuestra naturaleza.
そして今、とても手軽にその自然の香りを楽しむことができるようになった。

Greenpeace presenta el aroma de la conciencia.
Un elemento único que viene a acercarnos el perfume de todos nuestros bosques.
Un producto que no debería exisitir para una situación que no debería pasar.
グリーンピースは良心の香りを提案する。
森羅万象の香りをもたらすユニークな要素。
あってはならない状況のために、あってはならない製品を。

これは、グリーンピース・アルゼンチンと広告代理店The Jujuが、同国での森林破壊を批判し、2022年7月から展開している「Votá por los bosques(森のために投票しよう)」キャンペーンへの参加を促すために考案したアイデアだ。

グリーンピースの発表によると、アルゼンチンでは2分間に1ヘクタールの森林が失われており、これは1時間でサッカー場30面分に相当する。その主な原因は、農業のための森林伐採と火災(95%が人為的原因により発生)である。隣国のチリとともに、アルゼンチンが誇る大自然であるパタゴニア地方でも、過去5年間で3万5,000ヘクタールもの森林が焼失している。

「この松の木の形をした芳香剤は、森林火災のために多くの動物が死んでいるという深刻な問題を反映しているため、存在してはならない製品です。このクリエイティブ作品によって、私たちは人々の意識を高め、すべての人にメッセージを伝えたいのです」と広告代理店の担当者はプレスリリースで述べている。

パタゴニア

筆者撮影

パタゴニアの土地は壮大で、例え同じ国立公園内であったとしても、場所によって生息している動物や植物が異なるそうだ。この地区にしか生息していない貴重な動物も多くいる。

数年前、筆者がパタゴニアのトーレス・デル・パイネ国立公園(チリ)やロス・グラシアレス国立公園(アルゼンチン)を訪れた際には、その美しい自然に思わず息を飲んだ。人生観を変えるといっても過言ではない、その絶景を見て、この自然を守りたいと強く思った。

パタゴニア

筆者撮影

この「良心の香り」というインパクトのあるキャンペーンを知ったり、日々の生活の中で何かに気が付いたり、筆者のように旅をしている中で感じることがあったり──環境問題に意識を向けるきっかけは、実はとても多いのかもしれない。そのきっかけに気付き、少しずつ環境のことを知り、アクションに変えていくことで、社会は少しずつ良い方に向かっていくかもしれない。

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【参照サイト】El aroma de los incendios forestales, protagonista de la campaña para votar por los Bosques

Edited by Erika Tomiyama

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