一滴の水もなく干上がった、水たまり。これは南米コロンビアの先住民族Wayuu(ワユー族)の子どもたちが、自らの目に見える、ありのままの様子を撮影したものだ。
いま、気候危機によって世界中の子どもたちの生活や将来、権利が脅かされている。洪水の発生によって学校へ行けない子や、食糧不足や栄養失調に陥る子どもたち──国際NGOセーブ・ザ・チルドレンによれば、気候危機の影響によって学習が中断されてしまった子どもは世界で約4,000万人にのぼる(※1)。
そうした、気候危機被害の最前線にいる途上国の子どもたちの「声」はなかなか届きにくい。そんななか、セーブ・ザ・チルドレンは、写真家Angela Ponce氏と協力してコロンビアの先住民族Wayuuの子どもたちに写真の基礎を教え、1週間にわたって身の回りの環境や文化、生活をカメラに収めるという一風変わったワークショップを開催した。
子どもたち自身は、自らの地域コミュニティのストーリーを、どのように写真に収めたのだろうか。子どもたちのレンズをのぞいてみよう。
これは、13歳の少女が写した、過酷な水不足の現状だ。池や川の水を探そうとしている人々の姿が活写される。
長年の干ばつによって、子どもたちは自分たちが飲む水を、家畜にも使う池から得るしかなくなった。当然ながら、下痢や感染症などが頻発する。ワークショップで子どもたちは次のように語っている。
「私たちは牛の池の水を飲んでいます」「Wayuuは水不足に悩まされています。天気が変わってきているので、水は、見つからない。ここにはもう、“季節”がないんです」
並んだバケツを撮る子もいる。入浴のために使う、雨水を貯めるバケツだ。
母親が料理をする様子を撮影した子もいる。
Wayuuが暮らす、コロンビア北部に位置する地域であるLa Guajiraは、国内の最貧困地域であり、人口の60パーセント以上が貧困状態にある。栄養失調による子どもの死亡率は、コロンビアの平均値の6倍に相当するという(※2)。コロンビア政府は、すでに干ばつとエルニーニョ現象によってこの地域に緊急事態宣言を出している。それだけにとどまらず、La Guajiraでは2050年までに気温は4度以上上昇し、降雨量は5分の1までに減少するというのだ(※3)。
Wayuuのアイデンティティが結びついているという、trupilloという植物(メズキートと呼ばれる)を選んで、写真に残した子どももいる。極度の干ばつでも育つメズキート。干ばつのひどいときには、その実を収穫してそのまま食べたり、粉にして家畜の餌にしたりするという。
また、ただただ、いつも見る美しい夕暮れの写真を撮る子どももいた。
Wayuuの子どもたちの「声」は、聞こえてきただろうか。気候危機はいま、最も弱い立場にある人々に、最も大きな打撃を与えている。
聞こえてきた「声」を、より大きな行動へと繋げていくために、私たちができることはなんだろう。
※1 【COP28】「私たちの声を聴いて」気候変動の影響を受ける子どもたちの声 | セーブ・ザ・チルドレン
※2 THROUGH THE LENS OF RESILIENCE: INDIGENOUS CHILDREN IN COLOMBIA PHOTOGRAPH THE CLIMATE CRISIS
※3 Indigenous children in Colombia were given cameras to capture climate change. Here are their photos
【参照サイト】THROUGH THE LENS OF RESILIENCE: INDIGENOUS CHILDREN IN COLOMBIA PHOTOGRAPH THE CLIMATE CRISIS
【参照サイト】Indigenous children in Colombia were given cameras to capture climate change. Here are their photos
【参照サイト】「私たちの声を聴いて」気候変動の影響を受ける子どもたちの声
Edited by Erika Tomiyama