疲れた人に、詩を処方。LUSHが開いたメンタルヘルスのための「薬局」

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「たくさん寝ても疲れが取れない」「なぜか気分が落ち込みがち」という人は、自身の「入浴」を見直してみてはいかがだろうか。ゆっくり湯船に浸かることでストレスが軽減され、質の良い睡眠につながる。さらには生活習慣病のリスク軽減にも効果があるとも言われている(※)。自宅ですぐに始められる健康法の一つだ。

お風呂文化の根強い日本だが、全国20歳~69歳の男女を対象にした調査によると、全体の30%が「お風呂に入るのが面倒」と答えており、特に20代は約4割と他の世代より高いという。心身を癒すはずのお風呂時間がストレスになってしまっては本末転倒だ。

2024年6月、お風呂時間がもっと楽しくなるような店舗がイギリスのロンドンに登場した。自然派コスメや手作りのバスボムで人気のLUSHは、ロンドン最大の広さを誇るオックスフォードストリート店の中に、詩を通じて心の癒しを提供するユニークなコンセプトショップ「The Poetry Pharmacy(ポエトリーファーマシー)」の常設店をオープンしたのだ。

Image via LUSH HP

ポエトリーファーマシーは、詩人のデボラ・アルマによって、ロンドンから離れたビショップ・キャッスルで独立系書店としてスタートした。さまざまな感情の不調を緩和するため、薬やサプリメントではなく、処方箋付きの詩を提供している。店内では、感情別にまとめられた美しい本を読むだけではなく、併設のカフェで挽きたてのコーヒーやケーキも堪能できる。

今回LUSHの店舗内に常設店をオープンすることになったきっかけは、LUSHの現在のCEOで創設者のひとりでもあるマーク・コンスタンティン氏が詩の愛好者であり、デボラに連絡を取ったことだ。

実はこのコラボレーション企画は今回が初めてではない。常設店オープン以前に、ロンドンのSOHOで展開したポップアップストアは大成功をおさめ、コラボレーション商品として「スローダウン」、「ブロークン・ハート」などと名付けられたバスボムを販売した。このバスボムの中にはそれぞれの商品名に関連する詩が書かれた隠し紙が入っていて、それを湯船で読むことができる。今回の店舗ではバスボムに加え、その日の気分に寄り添う書籍やグッズなども見ることができる。

詩を読むことは「瞑想」のような効果があると言われている。リズムや言葉の響きに集中することで、日常のストレスや不安から一時的に離れることができるのだ。また、他者の詩に共感することで、自分が感じていることが他人にも共通することに気づき、孤独感が軽減されるというメリットもある。

知っている誰かに自分の気持ちを話すのも良いけれど、会ったことのない詩人の言葉に自分の解釈を重ねてみるのも良さそうだ。「お湯をためるのがめんどくさい」なんて言わずに、今夜は詩集を片手に、いつも頑張っている自分を労ってあげよう。

独立行政法人経済産業研究所「入浴、ストレスによるストレスの軽減・予防医療の推進で日本を元気に」

【参照サイト】The Poetry Pharmacy is coming to LUSH Oxford Street from 1st June
【参照サイト】The Poetry Pharmacy
【参照サイト】Nourished minds in clean bodies? LUSH gives The Poetry Pharmacy a home on Oxford Street
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