天気と気候、何が違う?言葉から環境問題を捉え直す「気候辞書」

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カーボンフットプリント気候正義ブルーエコノミーなど、環境問題をめぐる言葉は数多く、次々と新しい言葉も生まれている。「言葉を聞いたことがない」「言葉を聞いたことはあるけれど、意味はよく知らない」という状況に直面した経験がある人もいるだろう。

「言葉を学び、環境問題をめぐる対話に積極的に参加したい」という意欲を持ったときは、言葉をわかりやすく解説することを目的とした、環境用語集を参照してみるといいかもしれない。たとえば、国連開発計画(UNDP)は、「The Climate Dictionary(気候辞書)」をインターネット上で公開している。

UNDPは、人々が気候辞書を使って学び、気候変動に対するアクションにつなげることを目指している。新しく注目されている言葉も、気候辞書に適宜追加するという。


一例として、「Weather vs. Climate(天気と気候)」について、UNDPの気候辞書では、以下のように言葉の意味を説明している。あえて、意味の違いがわかりにくい2つの言葉を並べて説明しようとする姿勢がうかがえる。

天気とは、気温、湿度、降水、雲量、風、視程など、ある場所のある時刻における、大気の状態を指します。天気は、互いに影響し合います。ある場所の天気は、ゆくゆくは、何百キロも何千キロも離れた場所の天気に影響を与えます。

気候とは、通常30年以上の長期間における、ある場所の気象パターンの平均的な状態を指し、気候システム全体の状態を示すものです。産業化の時代、特に20世紀における人間の活動は、有害な温室効果ガスの排出により、地球の気候を大きく変えています。

また他の単語の例として、「Indigenous knowledge(地域・民族固有の知)」を見てみたい。気候辞書では、気候変動のアクションを起こすヒントも説明している。

先住民族の生活様式はもともと低炭素で、人間と自然界のバランスを重視しています。彼らの伝統的な慣習は、環境への影響が少なく、環境に応答し、自律した生態系を育みます。

先住民族は気候変動にいち早く気づき、彼らの知識と実践は、気候変動の影響に対処したり、適応したりする役に立ちます。地域・民族固有の知は、世代を超えたコミュニティベースの知であり、気候変動の緩和と適応、レジリエンスの構築に取り組むための、効果的な解決策を生む大きな源です。また、気候変動のシナリオ分析に必要な、緻密なランドスケープの情報によって、科学的なデータを補うこともできます。

先住民族は、世界に残された生物多様性の約80%を保護しているにもかかわらず、気候変動に関するほぼすべての国際的な決定プロセスから除外され続けています。先住民族の集合知、貴重な洞察、先祖代々の土地・領地・資源への権利、生活様式は、気候政策および気候アクションにおいて認識され、取り入れられないといけません。

世界各地で身体・精神的により自然と近い距離で暮らす、先住民族の人たちが書いた「気候辞書」が存在したら、読んでみたい。もしかしたらそれらの辞書は、「天気」や「気候」を、UNDPの辞書とはかなり異なるかたちで説明するかもしれない。あるいは、私たちが聞いたことのない言葉が、辞書に載っているかもしれない。

UNDPの気候辞書は、英語の他に、スペイン語、アラビア語、ロシア語、トルコ語、タイ語、セルビア語など多言語展開しているのも特徴である。言語の壁などがあるなか、私たちはどうやって、複数の気候辞書を手に入れられるだろう。つまりどのように、それぞれの気候辞書で綴られる視点や知識を共有し、結集させて、踏み出すべき一歩を見つけることができるだろうか。それらの気候辞書を通して、私たちの地球との関わり方は、どのように変化するだろうか。

【参照サイト】The Climate Dictionary: An everyday guide to climate change
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