修理のハードルを下げる。ウェブ完結型の衣類お直しサービス「MENDED」

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環境意識の高まりから多様な素材やブランドが生まれる今、結局何が一番サステナブルな服なのだろうか。この問いに“正解”はないが、環境負荷が非常に低い選択は、今自分のクローゼットにある服を選ぶことだとも言われている。

一つの服を長く着続けるために重要となるのが「お直し」だ。長く着ていると、ボタンが外れたり、ほつれや擦れができたりと、服を手入れする必要が出てくる。

しかし、必ずしも全ての人がお直しをできるとも限らない。仕事や子育てで忙しい日々の中では、縫い物をする時間も確保しにくい。それに、セーターやジーンズを修理するにはより高度な技術が必要だろう。一方で企業も、自社製品を長く使ってもらいたくても、回収や修理のインフラを整えることは簡単ではない。

そんな企業と市民の橋渡しとなるのが、オランダのオンライン注文・郵送型の衣類お直しサービス「MENDED」だ。服のお直しをしたい人がウェブ上でリペアの内容を選択・注文し、服を郵送すると、同社の仕立てチームの元に渡り、修理された服が通常10日以内に手元に戻ってくる。

実際の注文画面。Levi’sのジーンズに穴があいて修理を依頼する場合には約4,040円(+送料)となるようだ|出典:MENDED

欧州を中心に修理する権利への注目が高まる今、アムステルダムを拠点とする同社は、さまざまなブランドとパートナーシップを締結。そのうちの一社が、ジーンズのレンタルサービスを提供する、MUD Jeansだ。これまで「レンタル開始から1年後に、自分のモノにするか、新品と交換するか、返却するかを選べる」という仕組みを構築する中で、回収・修理・返送というインフラには踏み出せなかったという。

そこにMENDEDが介入することで、MUD Jeansは独自のリペアチームや回収インフラを作ることなく、リペアサービスを実現させた。リース期間中のジーンズのお直しも可能だ。MUD Jeansはリペア費用の半額をカバーするなど、顧客がよりお直ししやすい環境づくりにも取り組んでいる。

MENDEDでは、あらゆるブランドの商品を受け入れるのではなく、あえて提携ブランドの商品のみを扱っている。これにより各ブランドは、公認の社外リペアチームを持つことができるだけではなく、購入後の商品データを収集し、より長持ちする商品の開発に生かしてもらうことができるのだ。

MENDEDユーザーのうち72%は、利用前に実店舗の仕立て屋を訪れたことがないという。つまり、MENDEDはこれまでお直しを依頼したことがなかった人たちにとってのハードルを下げたと言えるだろう。

まちの仕立て屋に行ったことのない世代も増えていく中、オンライン注文・郵便型のお直しサービスは現代の暮らしにおける新たな修理のあり方として、広がりを見せていくかもしれない。

【参照サイト】MENDED
【参照サイト】Repair | MUD Jeans
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