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修理する権利(Right to repair)とは・意味

修理する権利

修理する権利とは?

修理する権利(Right to repair)とは、パソコンやスマートフォン、自動車など、買った製品をメーカーに通さず、消費者自身で修理できるようにすることを意味する。

従来のビジネスでは、メーカー側が製品の修理を独占、あるいは限定された修理業者を指定し、そのほかのメーカー(業者)のパーツの入り込む隙間を与えることはなかった。競争相手がおらず、修理費用も自由に決めることができたため、「修理するより買った方が安い」ことが頻発し、多くの廃棄を生み出していた。

そこで、2012年に初めて、アメリカのマサチューセッツ州で「自動車所有者の修理する権利法」が制定された。この法律により、誰でも車両を修理できるようにするために、自動車メーカーは、必要な書類と情報を提供することが義務付けられたのだ。

この自動車業界の動きに触発され、電子機器業界でも2013年にDigital Right to Repair Coalition(DRRC)、後に改名しRepair Association(TRA)が発足し、「電子機器を修理する権利」に向けて働きかけるようになった。

メーカーからは反対の声も

アメリカの電子機器メーカーの筆頭ともいえるアップル(Apple)は、知的財産の保護やセキュリティーに懸念が生じるとして、「電子機器を修理する権利」の動きに反対の立場を示し、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)を根拠として、独占的に修理を行っていた。

しかし、アップルがバッテリーが古くなったiPhoneの操作が遅くなるように意図的に設定していたことが明らかになった。本来なら、バッテリーを交換すれば症状が改善するが、アップルがその情報を公開していなかったため、不具合と思い込んだ多くの消費者が、新たにデバイスを購入する結果を招いた。

これまで消費者は、製品のパッケージの保証ステッカーやシールを破ったり、サードパーティの交換部品や修理サービスを使用したりすると保証が無効になるとされていた。しかし、2018年にアメリカ連邦取引委員会(FTC)は、上記のような理由による保証の無効を消費者に通知することが、詐欺行為にあたると明確に示した。その後の2019年、アップルは独立した修理業者がアップル製品の公式の交換部品を購入できるプログラムを発表している。

欧州では環境対策という位置づけも

「修理する権利」の流れは、欧州でも広がっている。欧州議会では2017年に、欧州連合(EU)加盟国が消費者に電子機器を修理する権利を認める法律を制定すべきだという立場を明示した。デバイスの修理は、環境対策として廃棄物を削減する手段としても位置づけられている。

また、2020年3月11日には新たな「循環型経済行動計画(Circular Economy Action Plan)」が採択された。今回の計画では、「廃棄」ではなく「循環」を前提とした製品設計・デザインに重点を置き、消費者の「修理する権利」を強化。製品の修復性や耐久性などに関する情報へのアクセスを確保し、できるかぎり長期間使用できる環境を整える。欧州でのサーキュラーエコノミー(循環型経済)への移行を加速させるのが狙いだ。

行動計画を受けて欧州委員会は、法律や指令の整備に取り掛かり、欧州議会とEU加盟国に提案・承認を経て実行段階に移る。また、同行動計画は各国の法律や規制を制定する上での上位文書となるため、欧州におけるサーキュラーエコノミーの転換が加速することは必至だろう。

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