すぐ壊れる家電にNO。長く使える「時代遅れにならない」ヘッドホン

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家電量販店やメーカーの保証が切れた直後になって、電化製品が壊れる。そんな経験が、誰しも一度はあるはずだ。そんなとき、あなたはどうしているだろうか。

メーカーに修理に出す。修理コールセンターで延々と待たされた挙句、こんなことを言われることもある。「交換する部品が、もう製造されていない」。修理の費用が、新品を買うよりも高いことも少なくはない。

こうなったら、CMで見た新製品に買い替えるほうが早い──そんなあなたは、「計画的陳腐化(Planned obsolescence)」の過程に巻き込まれているかもしれない。

計画的陳腐化とは、製品の寿命を意図的に短くする仕組みを製造段階に組み込むことを指し、これにより消費者が新製品を購入したくなるよう促すマーケティング手法でもある。具体的には、製品が妙に壊れやすかったり、修理が難しかったりすること、またメーカーがモデルチェンジを早期に行い、旧モデルのサポートを次第に減らすことで消費者に「トレンドに遅れている」と感じさせることも、この計画的陳腐化の一環である。メーカー側によって、消費者は常に新しい製品に目を向け、古い製品の使用をあきらめる構造が作り出されているのだ。

今日、こうしたマーケティング手法には環境破壊につながるなどの批判が相次いでいる。そんななか、デンマークのブランドBang & Olufsen(バング & オルフセン)が製品寿命の長いヘッドホンを開発した。本製品は、ゆりかごからゆりかごまでを表すCradle to Cradleの原則に基づき設計されている。

たとえば素材は、アルミニウム、ガラス、レザーなど経年変化をも楽しめるもので作られている。また、最も磨耗や破損にさらされて壊れやすいのはヘッドホンの内側の頭や耳に直接触れる部分。こうしたインナーヘッドバンドやイヤーパッドクッションのようなパーツは、簡単に取り外すことができ、ユーザー自身による交換が可能だ。バッテリー、ドライバー、回路基板など主要部品も簡単に交換できる。

Beoplay H100

Image via Bang & Olufsen

さらに、ヘッドホンはソフトウェアをアップグレードさせることができるため、長期間にわたって機能を向上させることができる。また、優れた音質のノイズキャンセリング、サウンド調整機能などが搭載されている。デザインもシンプルで、たしかにいつまでも愛用できそうだ。

Beoplay H100

Image via Bang & Olufsen

これまでのマーケットは、「資源を採掘し、モノを作って、使って捨てる」というリニアエコノミー(直線経済)を中心に成り立ってきた。計画的陳腐化は、このようなマーケットに入り込み、私たちもいつの間にか「新しい製品」を待ち望むような考え方を持っていたかもしれない。

しかし今や、廃棄や汚染を避け、資源を循環させ続けるサーキュラーエコノミー(循環経済)への移行が不可欠とされている。こうしたヘッドホンが、私たちのメンタリティを変革する第一歩となるのかもしれない。

【参照サイト】Bang&Olufsen公式ホームページ
【参照サイト】Bang & Olufsen’s new future-proof headphones are built to last for decades
【参照サイト】いつでもいつまでも使えるヘッドホンBEOPLAY H100 発売
【参考文献】aiwo K. Aladeojebi (2013). “Planned Obsolescence”. International Journal of Scientific & Engineering Research 4 (6): 1504–1508.
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Edited by Erika Tomiyama

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