紅葉が街を彩る秋。夏によく伸びる草を抜くように、私たちは秋になると当たり前のように落ち葉を掃き集める。歩道に積もった落ち葉は滑りやすく、片付けずに葉が朽ちていく状態はあまり見栄えがいいとは言えないかもしれない。しかし、落ち葉をきれいに掃き集めて捨てる行為が、生態系にダメージを与える可能性があることをご存じだろうか。
ここ数年アメリカでは、「#LeaveTheLeaves(落ち葉を残そう)」のスローガンが市民に呼びかけられている。落ち葉をかき集めると芝生に生息する生物にとって貴重な生息地や餌が失われてしまう。そのため、それらの生物を保護するために落ち葉の価値を見直し、落ち葉をあえて残そうというキャンペーンが行われているのだ。
積み重なった落ち葉は、葉の中あるいは葉の下の土に生息する多くの生き物にとって、寒さを防ぐ重要な断熱材となる。また、落ち葉は腐敗すると有機物質を出して養分を土に戻し、保水性も高めてくれるため、土壌がより豊かな状態になる。
とはいえ、厚い落ち葉の層は芝生の光合成を妨げてしまう。National Wildlife Federation(米国野生生物連合)は、落ち葉を完全に捨てるのではなく、庭の花壇や木の根元などに移動させることを推奨している。落ち葉が残っていても、庭の隅に積んでおくと分解されて、豊かな堆肥になるからだ。
人間が捨ててしまう草花は、土壌だけでなく生き物にとっても重要である。ミツバチを含む一部の昆虫は、中が空洞になったドライフラワーの茎や朽ちた丸太、枝の中で越冬する。落ち葉と同様に、丸太や茎、枯れた花の頭は、何十種類もの在来の野生生物、植物、菌類にとっても格好の生息地なのだ。
米国野生生物連合は、ウェブサイト「Leave the Leaves Pledge」の中で、落ち葉を残すよう、このように支援を呼びかけている。
鳥類、小型哺乳類、両生類、爬虫類はすべて、何らかの形で落ち葉の層に依存しています。蝶や蛾、ホタルなど、多くの昆虫が、この層を越冬のための安全な場所として利用します。植物や土壌微生物でさえも、自然の肥料となる腐葉土から恩恵を受けているのです。
人間には「ごみ」とみなされてしまうことも多いかもしれないが、落ち葉は生態系で重要な役割を担っているのだ。何百万年という歳月をかけて、生物は自然の中で進化してきた。そんな自然のサイクルから遠ざかっている都市にも、人間以外の動物が暮らしていることを認識し、それらの生物の生活を尊重する方法の一つとして、今年から庭や道の落ち葉掃除を止めてみるのもいいかもしれない。
【参照サイト】Leave the Leaves for wildlife
【参照サイト】To Help Your Local Wildlife, Stop Raking and Join the ‘Leave The Leaves’ Campaign This Autumn
【参照サイト】Leave The Leaves!
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Edited by Megumi