休み明けの月曜日がつらい人に。5月病を乗り切る、世界のメンタル回復アイデア

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連休明けの月曜日、なんだか体が重くて、仕事に気持ちが向かない──いわゆる「5月病」と呼ばれるこの状態。実は英語でも「Post-vacation Blues/Post-holiday Depression(休暇後の抑うつ状態)」と呼ばれており、世界でも割と「よくある」現象である。

休暇後に気分が沈むのは、急激な環境変化や日常への復帰に対するストレス反応とされており、これまでさまざまな著書や研究が発表されてきた(※1)。意欲の低下や不安など、心と体に影響を及ぼす5月病に対し、この記事では、世界の国々で実践されている「心のリセット方法」を紹介する。

連休後の憂うつな月曜を、少しでも軽やかに乗り越えられるヒントが見つかれば幸いだ。

5月病を乗り切るメンタル回復アイデア

01. ボーッとするのは「悪いこと」ではない

「ボーッとすれば勝ち」韓国で“何もしない”選手権が開かれた理由


毎日、何かしらに熱心に取り組み、成長することが求められている世の中。「ぼんやりしている」と言われて、褒め言葉として受け取る人は少ないだろう。そんな価値観を揺るがすイベントが、韓国・ソウルの忙しい街中で開催された。90分間いかに何もしないでいられるかを競う「Space-out competition(ぼんやりする選手権)」だ。

おしゃべりも、スマートフォンを見ることも禁止。チャンピオンに輝いた人は、トロフィーをもらって表彰されるという。ぼんやりする選手権は、「何もしないことにも価値がある」というメッセージを伝えている。いつも時間に追われて気が休まらない人や、何かしていないと不安になる人は、あえてぼんやりする時間を設けることが大切ではないだろうか。

02. 「あなたの心を救うかもしれない詩」はそばにある

疲れた人に、詩を処方。LUSHが開いたメンタルヘルスのための「薬局」


カラフルな自然派コスメで知られるLUSHが、ロンドン最大の広さを誇るオックスフォードストリートの店舗の中に、ユニークなコンセプトショップをオープンした。「詩の薬局」と呼ばれるこのお店は、さまざまな感情の不調を緩和するため、薬やサプリメントではなく、処方箋付きの詩を提供している。

詩を読むことは、瞑想のような効果があると言われている。誰かの言葉に共感することは、自分が感じていることを他の人も感じているんだという気づきに繋がり、孤独感も軽減される。バスボムをお風呂に持ち込み、詩を読みながらゆっくりお風呂に浸かって癒されるのも良いかもしれない。

03. デジタル世界から離れたい人のためのカフェ

デジタル機器はお断り。オランダのオフライン・カフェに人々が集まる理由


休み明けに溜まったメールやSlack、Teamsの連絡、そして次々と入るオンライン会議が憂鬱だと感じる人は多いだろう。「Sitting is new Smoking(座ることは、新たな喫煙だ)」という言葉があるほど、パソコンの前に長時間座っている時間は、私たちの心身を削っていく。

オランダ・アムステルダムの「Café Brecht」では、あえてスマホやパソコンを手放し、隣の人と会話したり、一人で静かに過ごしたりできるイベントが定期的に開かれている。絶えず何かが起こっているデジタルの世界から距離を置くことは、心身の回復の第一歩だ。

04. 「自然の中でゆっくり休むこと」を病院が推奨

カナダで「自然のなかで過ごす時間」を患者に処方へ


カナダのブリティッシュコロンビア州では、2020年12月から「自然の中で過ごすこと」を処方するようになった。英エクセター大学の研究者らが2019年に発表した研究では、自然の中で週に2時間以上過ごすことが、人々を良好な健康状態に導くことがわかっている(※2)

医療機関からの一風変わった処方箋として、2021年のパンデミックの際には、ベルギーで美術館や博物館のチケットを処方する取り組みも生まれた。職場とは違う、自分が癒やされると思う環境にあえて訪れることが鍵なのかもしれない。

▶️ ベルギーの医師が美術館への無料入場を「処方」

05. そもそも「1日8時間週5日勤務をやめる」発想

スペイン、週37.5時間労働へ。労働者の“時間の貧困“を解消できるか?


スペインは、2025年2月に法定の労働基準時間を週37.5時間に短縮することを決めた。これから短時間勤務が受け入れられるかどうかは、業種や会社の方針次第だが、ひとたび決定されれば、基本的に給与は維持したまま、1日あたりの労働時間が平均30分削減される見込みだ。

仕事に情熱をかけず最低限のことだけをこなす「静かな退職」などが日本でも話題になるなか、現代で当たり前とされている週40時間(1日8時間労働)を「しない」という、思い切った発想もある。

メンタルの落ち込みと付き合っていく

「休み明けがつらい」のは、あなたが弱いからではない。それは人間の脳と心が変化に適応しようとする、ごく自然な反応だ。

そして世界の事例を見て「こんな方法もあるんだ」「こう考えてもいいんだ」と知ることで、その回復プロセスを少しだけスムーズにすることはできる。5月の青空の下、もう一度、自分らしいペースで日常に戻り始めよう。

※1 Divorcing after Holidays: From Sacredness to Post-Vacation Blues SyndromeChapter 19: Returning homeBACK TO ROUTINE: DEPRESSION, RELATIONSHIPS AND READJUSTMENT AFTER THE HOLIDAYS
※2 Spending at least 120 minutes a week in nature is associated with good health and wellbeing

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