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クワイエット・クィッティング(静かな退職)とは・意味

リモートワーク

クワイエット・クィッティング(静かな退職)とは?

クワイエット・クィッティング(quiet quitting・静かな退職)とは、労働から心理的に遠ざかり、必要最低限の労働しかしないことを指す。積極的に熱意を持って労働に従事(エンゲージメント)するわけではないが、完全に働くのをやめるわけでもないという労働スタイルのことである。いわば、人々が労働から「半分おりる」状態といえるだろう。

従業員のエンゲージメントを調査している米国の調査・コンサルティング企業、Gallup社によれば、クワイエット・クィッティングは、エンゲージメント率の比較的高い米国においても、労働者の少なくとも半数を占めるようになったという。こうした「静かな退職」は、近年、若い世代を中心に急速に広まってきており、1つの社会現象となっている。

なぜ、今クワイエット・クィッティングが増加しているのか?

新型コロナウイルスの感染拡大は、リモートワークの増加や定着を促した一方、雇用の不安定化をも引き起こした。専門家によれば、こうした労働環境の激変によって、人々は人生において何を優先するかを大きく変化させたという。すなわち「家族や趣味の時間を大切にすること」を優先するなど、これまでの「仕事に重きを置いていた人生」を再考するようになったのである。

こうした人々の仕事に対する価値観の変化に加えて、ストレスフルな労働環境もクワイエット・クィッティングを加速させる要因の1つに挙げられる。Gallup社の調査によれば、いま世界の労働者の44パーセントが何らかのストレスを抱えているという。クワイエット・クィッティングは、ストレスによるバーンアウトを避け、糖尿病や心疾患、うつや不眠といった各種疾患のリスクを減少させるものだとして歓迎する専門家も現れている。

「マネジメントの危機」という指摘も

Gallup社は、特に若手世代において雇用主に対する満足度が低下したと分析している。「誰かが自分のことを気にかけてくれている」、「誰かが自己成長を促してくれている」、「学習し成長する機会がある」といった項目に関して若手世代は10ポイント近く低下した。パンデミック後の若手世代は、上司や同僚など周囲から大切にされ、成長できていないと認識しているのである。Gallup社は、こうした若手世代の「静かな退職」をマネジメントの危機と位置づけている。

このように、クワイエット・クィッティングは、ウェルビーイング重視の社会における個人の選択の結果という側面がある。他方、仕事での学びや成長、充実のように、労働において味わえる喜びを失ってしまった結果ともいえるだろう。いずれにしても、労働は人間の生活の多くを占めている。ウェルビーイングな社会にとって何が大きな損失につながるのかを今一度見極める必要があるだろう。

【関連記事】コロナ禍のウェルビーイングな働き方。スウェーデンの習慣「小さな土曜日」
【関連記事】スペイン、賃金を下げることなく「週休3日」の働き方検討へ
【参照サイト】「静かな退職者」が米の働き手の半数、仕事に熱意なく-最新調査
【参照サイト】‘Quiet Quitting’ Explained | World Economic Forum (weforum.org)
【参照サイト】Is Quiet Quitting Real? (gallup.com)
【参照サイト】State of the Global Workplace 2022 Report




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