「クリスマスプレゼント、新品じゃなくていい」最新調査から見える、変わり始めた消費観

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「クリスマスプレゼントは新品であるべきか?」

この問いに対し、「イエス」と答える人は多いだろう。しかし、その前提が少しずつ変わり始めている。

世界最大級のリファービッシュ(整備済)電子機器マーケットプレイスであるBack Market(バックマーケット)は、全国の20〜60代の男女1,000人を対象に、クリスマスプレゼントとしての電子機器に関する意識調査を実施した。その結果は、従来の消費観との“ズレ”を浮かび上がらせた。

調査によれば、電子機器のクリスマスプレゼントとして「新品」を贈ったことがある人は約63%。一方で、中古品やリファービッシュ品を贈った経験がある人は1割前後にとどまった。依然として、新品がプレゼントの主流であることは間違いない。

Image via Back Market Japan株式会社

では、中古品を贈ることに対する心理的な壁はどこにあるのか。

「中古品をプレゼントに選ぶのは、なし」と答えた人は約64%にのぼり、その理由として「自分がもらう立場でも抵抗がある」「衛生面や品質への不安」「新品でこそ気持ちが伝わる」といった声が多く挙げられた。プレゼントはモノ以上に気持ちを託す行為であり、その象徴として新品が選ばれてきたことがうかがえる。

しかし、ここで興味深いのは、「中古はなし」と答えた人の中にも、リファービッシュ品であれば前向きという層が一定数存在する点だ。専門家による検査・修理を経て品質が保証された整備済製品であれば、「安心できる」「価格と品質のバランスが良い」「信頼できるメーカーなら選びやすい」と感じる人が少なくない。中古品とリファービッシュ品は、同じ括りでは語れなくなりつつある。

さらに視点を変えると、「もらう側」の意識は、贈る側よりも柔軟であることがわかる。

受け取るプレゼントとしてリファービッシュ品を「あり」と答えた人は約4割に達し、「機能が同じなら問題ない」「整備されていれば新品と変わらない」「相手の気持ちが伝われば十分」といった声が目立った。贈る側が抱く不安に対し、受け取る側は想像以上に現実的で、合理的なのだ。

Image via Back Market Japan株式会社

Image via Back Market Japan株式会社

また、「本・DVD・ゲーム・音楽」などについては、約3人に1人が「新品でなくても嬉しい」と回答している。用途や意味づけ次第で、「新品であること」の価値は相対化され始めていると言えるだろう。

Image via Back Market Japan株式会社

こうした傾向は、日本に限った話ではない。Back Marketの本拠地フランスでは、リファービッシュ品を「自信をもってプレゼントできる」と答えた人が半数を超えるという。背景には、物価高や環境意識の高まりだけでなく、「良いものを、長く使う」ことを肯定する文化の成熟がある。

リファービッシュ品は、新品と比べて製造時の資源使用量やCO2排出量を大幅に抑えられる。だが、それ以上に重要なのは、「新品でなければ価値がない」という思い込みを、私たち自身が問い直せるかどうかだ。

贈り物とは、誰かの暮らしにそっと寄り添う選択である。その選択が、少しだけ未来に優しいものであってもいい。リファービッシュ品は、消費と環境、そして気持ちのあいだに、新しい余白をつくり始めているのだ。

【参照サイト】クリスマスプレゼントに電子機器の中古品・リファービッシュ品、あり?なし?Back Market、クリスマスプレゼントに関する意識調査を発表
【関連記事】タイガー魔法瓶が整備済み再生品「タイガー リファービッシュ」を販売。家電の寿命延長へ
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