空に向かって叫べ!「スクリームクラブ」が癒しの場に。グッドニュース5選【2026年3月前半】

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社会をもっとよくする世界のアイデアマガジン、IDEAS FOR GOODの編集部が選ぶ、今月の「ちょっと心が明るくなる世界のグッドニュース」。前回の記事では、最後の保護猫が引き取られた、長野の保健所エピソードなどを紹介した。

日々飛び交う悲しいニュースや、不安になる情報、ネガティブな感情ばかりを生む議論に疲れたあなたに。世界では同じくらい良いこともたくさん起こっているという事実に少しのあいだ心を癒し、また明日から動き出そうと思える活力になれば幸いだ。

愛に溢れた世界のグッドニュース5選

01. フランス初、LGBTQ+高齢者向けの共同住宅

年を重ね、誰かの助けが必要になったとき。それまで大切にしてきた「らしさ」をもう一度隠さなければならないとしたら、それはとても寂しいことかもしれない。

フランス・リヨンに誕生した「ラ・メゾン・ド・ラ・ディベルシテ」は、LGBTQ+の高齢者を主な対象とした国内初の共同住宅プロジェクトだ。

多くのLGBTQ+の高齢者は、高齢者住宅や介護の場で偏見を恐れ、自分の性的指向やパートナーの存在を隠して生活するケースもある。この住宅は、そうした人々が安心して暮らせる場所として設計された。

フランスではLGBTQ+のコミュニティ住宅はこれまでも存在したが、高齢者を主な対象としたインクルーシブ住宅として設計された例はほとんどなく、今回の施設はその先駆けとされている。建物には16戸の住居があり、その多くが55歳以上の入居者向け。プライベートな住まいを持ちながら、共有スペースでは住民同士が交流できる仕組みだ。

「自分を偽らなくていい」という安心感は、人生の後半を豊かにする大切な条件かもしれない。ここで育まれるコミュニティは、誰もがありのままで年を重ねられる社会のヒントを示している。

 

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【参照サイト】Le projet Maison de la Diversité

02. ネコの経済効果は約3兆円。「ネコノミクス」は万博級のインパクト

気ままに歩き、ふとした仕草で人を和ませる猫たち。そんな存在が、日本経済にも大きな影響を与えている。

関西大学の宮本勝浩名誉教授の試算によると、猫に関連する経済効果、いわゆる「ネコノミクス」は、2026年には約2兆9,488億円に達すると推計されている。この規模は、2025年大阪・関西万博の経済波及効果と同程度ともいわれる。

猫の飼育費やキャットフード、医療費だけではない。猫をモチーフにしたグッズや書籍、猫に会える観光地への旅行など、関連する消費は幅広い。SNSで人気を集める猫も、新しい市場を生み出している。

小さな生物が生み出す巨大な経済効果。その背景には、「癒やし」や「愛おしさ」といった目に見えない価値を求める人々の気持ちがあるのかもしれない。

【参照サイト】ネコの経済効果は約3兆円「ネコノミクス」は大阪・関西万博に匹敵|よろず〜ニュース
【参照サイト】2024年の「ネコノミクス」の経済波及効果|関西大学

03. 人とペットが同じおやつを楽しむ。森永製菓の新しい試み

愛犬がこちらを見つめてくるけれど、「これは人間用だから」分けてあげられない──そんな経験をしたことがある人も多いだろう。森永製菓は、人と犬が一緒に楽しめるおやつの開発に取り組んでいる。

この商品は、人間が食べられる品質で作られつつ、犬も安心して食べられる配合になっているのが特徴だ。人とペットが同じおやつを「共有する体験」に価値を見出した商品といえる。

ペットを家族と捉える価値観が広がるなか、こうした商品は人と動物の関係を見つめ直す試みとしても興味深い。「私のおやつ」と「あなたのおやつ」が、「私たちのおやつ」になる。そんな発想が、家族としての時間を少し豊かにしてくれるのかもしれない。

【参照サイト】森永製菓開発の「人とペットが一緒に食べられるおやつ」幸福効果を高める|産経ニュース

04. 自分のための義足が世界を変えた。パラアスリートの発明

2008年、スノーモービルの事故で左脚を失ったアメリカのアスリート、マイク・シュルツ。それでも彼は、「もう一度スノーボードをしたい」という思いを諦めなかった。

事故の後、彼は市販の義足を試した。しかし、ジャンプや急な着地といった激しい動きには十分に対応できなかったという。そこでシュルツは、自宅のガレージで、自ら義足を作り始めたのだ。

工具と材料をそろえ、何度も試作と改良を繰り返す。そうして完成したのが、スポーツ用義足「Moto Knee(モトニー)」だった。

Moto Kneeは、膝の関節部分にサスペンションのような構造を持ち、衝撃を吸収できるのが特徴だ。これにより、スノーボードやモトクロスなどの激しいスポーツでも、安定した動きが可能になる。

やがてこの義足は、多くのアスリートの間で注目を集めるようになった。シュルツは義足メーカー「BioDapt」を設立し、現在では世界中のパラアスリートが彼の技術を使用。実際に、この義足を使った選手たちは、パラリンピックや国際大会で数多くのメダルを獲得しているという。

「もう一度、自分の好きなスポーツをしたい」その強い思いから生まれた技術が、同じ夢を持つ人たちを支える存在になっている。

【参照サイト】Monster Mike Schultz Innovator

05. みんなで叫ぶと、少し元気になる。「スクリームクラブ」というストレス解放コミュニティ

仕事や日常生活のなかでストレスを感じたとき、「あー!」と声をあげたくなる瞬間はないだろうか。

そんな感情を思いきり外に出す場として、海外で少しユニークな集まりが広がっている。その名も「スクリームクラブ(絶叫クラブ)」だ。参加者は、公園や海辺などの開けた場所に集まり、一緒に空に向かって思いきり叫ぶ。ただそれだけのシンプルな活動をするコミュニティだ。

最初は少し照れくさそうにしていた人も、周りの人が叫び始めると、だんだん声が大きくなっていくという。叫び終わると、笑い声が起きたり、「なんだかすっきりした」と顔を見合わせたりする光景もよく見られるそうだ。

スクリームクラブでは、叫んだ後に、参加者同士で感情を共有する時間が設けられることもある。仕事のストレス、日常の悩み、小さな不安──。声を出したあとだからこそ、自然と心の内側を話せる人もいるという。

こうした集まりは、ロサンゼルスやニューヨークなどの都市で広まり、SNSでも注目を集めている。主催者のなかには、「感情を安全に解放できる場所を作りたい」と考えてイベントを開く人もいる。

毎日をきちんと生きようとするほど、私たちは感情を押し込めがちになる。だからこそ、たまには大きく息を吸って、思いきり声を出してみる。それだけで、心の荷物が少し軽くなるのかもしれない。

【参照サイト】Scream Clubs Are Helping People Release Stress and Find Community|Good Good Good

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