「食」を守ろう。新型コロナから飲食業界を救うアイデアまとめ

IDEAS FOR GOOD コロナ対策緊急特集企画

最新情報更新日:2021年1月8日

新型コロナウイルスの現状

昨年2020年3月11日、WHO(世界保健機関)が「新型コロナウイルス感染症はパンデミックと言える」との認識を示した。そして2020年4月7日に東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、兵庫県、そして福岡県の7都府県に対して緊急事態宣言が出され、4月16日には対象が全国に拡大された。その後、対象地域を減らしながら、5月25日に全国で解除された。

2021年1月7日、日本政府は再び、東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県を対象に、緊急事態宣言を発令した。緊急事態宣言により、該当地域の飲食店は午後8時までの時短営業を求められることになった。

飲食店を取り巻く現状

新型コロナ感染拡大を防ぐための外出自粛により、強い向かい風を受けているのが飲食業界だ。店によっては営業ができなくなったり、店を開けても自粛モードにより客足がつかなかったりと、経営が苦しい店舗が多い。大手レストラン予約サービスを運営するテーブルチェック(TableCheck)によると、全国に緊急事態宣言が発令されてから初めての大型連休は、飲食店の来店件数(大型連休期間平均)が昨年比90.5%減となる大幅な落ち込みを記録したという。

さらにそうした飲食店の予約やイベントのキャンセル、全国の小中学校の休校により給食を提供できないといった事態を受け、食品製造メーカーや卸会社で行き場を失った食料品が出始め、食品廃棄も問題になっている。

新型コロナの感染も拡大し、今後ますます影響が強くなっていく中、飲食店は再び営業再開ができる日々を迎えるために、ECサイトを始めたり、テイクアウトを導入したりと、できうる限りの手段でこの苦境をなんとか乗り越えようとしている。

全ての人々にとって必要不可欠な「食」。大切な家族や、気のおけない友人たちと囲む美味しい食事は、私たちの生活に彩りと幸せを与えてくれる。そんな「食」を守るため、世界で生み出されたさまざまなアイデアをご紹介する。

飲食・食品業界を救う対応事例

01. 未来の食事を今支払う

飲食店の短期的な資金繰り支援することを目的に、多方面で「先払い」サービスがリリースされている。

自宅から食事代を先払いできる債券プログラム「DINING BONDS INITIATIVE

新型コロナで苦しむ飲食店にエール。自宅から食事代を先払いできる「DINING BONDS INITIATIVE」

顧客が飲食料を事前に支払うことができる飲食店向けの債券プログラムで、日本を含む世界中で使用可能。食事をする権利を先に販売することで、飲食店が新型コロナで集客の難しい期間もキャッシュフローをしのぐことを狙いとしている。

  • 国名:アメリカ
  • 団体(企業)名:DINING BONDS INITIATIVE
香川の讃岐うどんに先払いできるチケット

うどん屋を救う!?香川の讃岐うどんに先払いできるチケットが登場

新型コロナウイルス感染症の拡大による外出自粛要請が、多くのうどん店の経営を直撃した香川で、うどんを愛する香川の「麺バー(メンバー)」が急遽集まり、「讃岐うどんを絶対守る会」を結成した。経営危機に直面するうどん店を救うべく、複数の店舗でつかえる「うどん券」を販売するSAVE THE UDONプロジェクト。

食事を先に購入して飲食店を応援する「さきめし
さきめし

Image via さきめし

外出自粛で今は行けない自分のお気にいりのお店に、ごちめしの機能を使って、「後でたべに行くよ!」の応援の気持ちをこめて食事を先に購入して、落ち着いた後に食べにくというサービス。有効期限は6か月。

食事の回数券を先に購入できる「みらいの食券
みらいの食券

Image via みらいの食券

飲食店の食券(回数券)を発行しスマホで販売できるサービス(4月20日リリース)。事前に決済されるのでお店の収益構造改善にもつながり、回数券なので来店が促され常連化も期待できる。

未来に使える飲食チケット「#勝手に応援プロジェクト
#勝手に応援プロジェクト

Image via キッチハイク

飲食店からではなく、食べ手側が応援の声をあげて「未来に使える飲食チケット」を購入する仕組み。チケットの利用期限間近の駆け込み需要でお店が満席になり、チケットが利用できないリスクを避けるために、チケット購入時に席の予約も可能。

家にいながらボトルキープをして飲食店を支援する「Bottle Keep Tokyo
ボトルキープ

Image via Bottle Keep Tokyo

飲食店は、店舗情報、ボトルキープできるドリンクメニューに加え、現在の状況などを当サイトにて発信することが可能。ボトルキープ文化の本質的価値は、そこに思いを込められること。支援者はサイト上で「またいくね」と、思いを込めて馴染みのお店の商品をボトルキープすることができる。

02. テイクアウト/デリバリーでお店を助ける

店舗型の飲食店がテイクアウトやデリバリーを始めたり、ECサイトを始めたりするなど、業態を変更して今の状況に対応しているところも多い。

家庭への出張シェフとして、最短翌日から働けるプログラム

新型コロナで困る料理人へ。家庭への出張シェフとして、最短翌日から働けるプログラム


出張シェフのマッチングプラットフォーム「シェアダイン」が開始した、飲食業に従事する料理人向けの応援プログラム。新型コロナの感染拡大の影響により、大きな打撃を受けている飲食店での活躍の場を失いつつある料理人をサポートすることを目的とした、最短翌日から「出張シェフ」として働くことができるプログラム。

お家時間を楽しくするDIYキットのデリバリー

自宅で店のハンバーガーを再現。外出自粛中も手づくりで楽しめる、DIYキットのデリバリー


アメリカのハンバーガー屋である「Shake Shack」は4月から、自宅で同店のハンバーガーである「ShackBurger」をつくれるDIYキットのデリバリーを始めた。実店舗とは違った新たな価値を顧客に提供している。

  • 国名:アメリカ
  • 団体(企業):Shake Shack
テイクアウト可能な店の情報発信「食べログのテイクアウトアプリ
Image via 食べログ

食べログ・テイクアウト

テイクアウトに関する営業時間やメニュー情報を掲載し、当日テイクアウトが可能なお店を簡単に探すことができる。アプリで注文し、お店で待たずに受け取りができる。東京都内を中心に、対応エリアと店舗は順次拡大中。

テイクアウトできるお店を登録できる #SaveRestaurants
save restaurants

Image via #SaveRestaurants

テイクアウト可能なお店のマップ。お客さんや、Twitterでテイクアウト情報を見た人も入力可能。お店の人が入力したものには公式マークを設置予定。現在は、東京都・神奈川県・関西圏(大阪・京都・兵庫・奈良・三重・滋賀・和歌山)・長野県のお店を掲載。今後、千葉県・埼玉県・愛知県・石川県・富山県・福岡県ページの展開が決まっている。

  • 国名:日本
  • 団体(企業)名:SaveRestaurants
テイクアウトできるお店を検索できるGoogleマップ

Google map
Googleマップで、テイクアウトやデリバリーの情報が表示可能になった。近隣のテイクアウトやデリバリー店舗を検索し、営業時間やメニュー、連絡先などを確認できる。検索枠の下部に「テイクアウト」「デリバリー」のフィルタが追加されている。ただし、マップ上からの注文には対応していない。また、Googleではテイクアウトやデリバリーを開始した飲食店などに向けた無料のトレーニングプログラムを実施中。

  • 国名:日本
  • 団体(企業)名:Google
わたしの街テイクアウト「経堂テイクアウト


“地域の住民と、地域の飲食店を結ぶこと”を目的とし、経堂から始まったプロジェクト。街にあるテイクアウト可能なお店をインスタグラムアカウントでまとめている。現在、全国の街でこの活動をスタートさせようと、“わたしの街担当者”を募集している。

03. まだ食べられる廃棄食品を購入する

飲食店の予約やイベントのキャンセル、全国の小中学校の休校により給食を提供できないといった事態を受け、食品製造メーカーや卸会社で行き場を失った食料品が廃棄されていることも問題になっている。

休校で余った給食をお取り寄せ

休校で余った給食をお取り寄せ。食品ロス&給食関係者を救う「うまいもんドットコム」の試み


農林水産省の委託を受けて、給食関連事業者のところに残ってしまった手つかずの食材を「学校給食応援活動」という形で一般消費者に販売している。私たちが食べることが、食品ロスの削減と給食に関わる人々の助けになるサービス。

食品卸や外食の余った食材を買い手をつなぐ

新型コロナによる食品ロスに立ち向かう、英国発の無償プラットフォーム「FruPro」


余った生鮮食品を在庫に持つ食品卸や外食・給食などの売り手と、それらを必要としている小売などの買い手をつなぐサービス。新型コロナの蔓延により、ダメージを受ける業界を支援する目的で、利用は無償としている。

  • 国名:イギリス
  • 団体(企業)名:FruPro
ポケットマルシェ「#新型コロナで困っています
ポケットマルシェ

Image via ポケットマルシェ

新型コロナの影響で、予定していたレストランや直売所などの販路がなくなってしまい、困っている生産者と消費者を直接結ぶオンラインマルシェ。過剰在庫を抱えた生産者へ速やかに食材販売の場を提供できるよう、4月末まで生産者審査体制を強化したことにより、生産者は出店申込みの翌営業日から出品が可能となった。

クックパッドの「#おうちで楽しもう」マルシェを毎週オンライン開催
おうちでマルシェ

Image via クックパッド特設サイト

マルシェ・朝市など食に関するイベントの中止・延期を受けて、失われつつある「生産者」と「消費者」のつながりの場を構築すべく、4月17日より毎週末、生鮮食品EC「クックパッドマート」アプリ内にて、「#おうちで楽しもう」マルシェをオンライン開催。参加に際しての固定費・出店費は無料。

新型コロナ経済対策。飲食店の「在庫ロス掲示板


新型コロナの影響で、イベントの中止や自粛要請の長期化に伴う客足低減により、在庫ロスが生じてしまった企業や店舗を支援することを目的としたサイト。掲載料は完全無料。

ネット通販やお取り寄せで売上確保「SHARE BASE Matching

「ワクワクするコト・モノとめぐり合える、地域の体験プラン・イベント・商品のマッチングサイト」がコンセプトのシェアサイト。新型コロナ禍の中、生産者や飲食店が手軽にネット販売という選択肢を持つために、商品掲載機能を使い、生産者や飲食店と消費者をマッチングし、購入ができるようにした。商品の掲載は簡単な4ステップで、最短10分で掲載可能(審査あり)。登録、掲載は永年無料でサイトから実績があった際にかかるのは、販売金額の10%の手数料のみ。

04. お店を救うユニークなキャンペーン

ユニークな料理体験に先払いして飲食店を支援する

ユニークな料理体験に先払いして飲食店を支援できる! フィラデルフィア発のデジタルハブ「SavePhillyEats」


レストランが提示するサービスに対して客が今先にお金を払い、レストランやバーに収益が提供される。そしてパンデミックが終われば、客は先に購入しておいたサービスを利用することができる。日本にも、海外にも同様のシステムは存在するのだが、レストランによる飲食提供やギフトカード、割引特典だけでなく、料理レッスンやシェフによる調理のデモンストレーションなど様々な料理体験を飲食店側がオファーしているのが、このSavePhillyEatsのユニークな点だ。

店と客が協力してテイクアウトを促すキャンペーン

毎週水曜日はテイクアウトの日!カナダ発、店と客が協力して飲食店を守る取り組み


カナダの卸業者が立ち上げた、毎週水曜日を「テイクアウトの日」としてレストランからのテイクアウトを促進する取り組み。著名なミュージシャンやアスリート、俳優たちのショーをFacebook上で生配信し、テイクアウトした料理と共に、自宅での食事の時間をより盛り上げ、楽しいものにする。

営業しないでくれている飲食店を支援。寄付するとレシピをもらえるサービス

営業しないでくれている飲食店を支援。寄付するとレシピをもらえるサービス「Family Meal」


レシピ公開を通してニューヨークのローカルなスモールビジネスである飲食店を支援するプログラムとして、“Family Meal” 。このウェブサイトでは、掲載されている飲食店へ寄付をすることで、レシピをダウンロードすることができる。寄付額は利用者で決定でき、その金額は100%お店と従業員に届く。

    • 国名:アメリカ
    • 団体(企業):Family Meal
飲食店が社会的距離を保ちながら営業するための規制

街全体をカフェに。飲食店が社会的距離を保ちながら営業するための、リトアニアの工夫


リトアニアの首都ヴィリニュスは、カフェやレストランが屋外の公共スペースに椅子とテーブルを出して営業することを認めた。同国のカフェやレストランは、検疫強化の一環で屋外でしか営業できず、テーブルとテーブルの間を2メートル開けるなどソーシャルディスタンスのルールも守らなければならない。都市が公共スペースを開放すれば、その分営業できる場所が広がり、飲食店にとって大きな励みとなる。

      • 国名:リトアニア
      • 団体(企業):ヴィリニュス
有名シェフによるライブ配信

有名シェフによるライブ配信。「顔が見える」新しい繋がりと、持続可能性への挑戦


オンラインの場を活かした新しい繋がり方として、スペインでは有名シェフから料理を学ぶ無料のバーチャル・ライブ「#yomequedoencasacocinando (I stay at home cooking)」プロジェクトが注目を集めている。

卸業者と飲食店がタッグを組む「ピックマルシェ
ピックマルシェ

Image via ピックマルシェ

    • 飲食店をハブに卸売業者と消費者をつなぐサービス。行きどころを失っている、プロ向けの新鮮野菜や厳選輸入食材と、レストランがお持ち帰り専用にオリジナル開発したごちそうをセットにした「おすすめボックス」を、インターネット上から事前に注文・事前決済し、飲食店の店頭で一括ピックアップできる。

1都3県への緊急事態宣言発令を受け無償提供が開始された「favyサブスクシステム
 favy

Image via favy

「favyサブスク」は、favyが飲食店向けに提供する顧客管理ツールにて使用可能な、サブスクリプション(定額制)機能である。お客様から定額会員費をもらい、特典や割引を提供することで、集客を支援することができるサービス。飲食店はサブスクリプションを導入することで、通常の販売売上とは別のキャッシュポイントを持つことができ、一定の売上の安定化はもちろん、顧客のリピート率の向上や、会員を通じた新規顧客獲得を実現可能。

05. 「情報」でお店を救う

飲食店・レストランを応援する情報サイト
food made good

Image via 日本サステイナブル・レストラン協会

英国に本部があるSRA(SUSTAINABLE RESTAURANT ASSOCIATION)の日本支部、日本サステイナブル・レストラン協会は、新型コロナ対応の特設サイトを立ち上げた。日本の飲食店・レストラン等フードサービスに対する最新のアドバイスとサポート情報を提供している。

06. あなたの「おいしい」が、応援になる。「フードアクション特集」

IDEAS FOR GOODは、Yahoo!JAPANが運営する、人・環境・社会に配慮した商品のみを取り扱うサイト「エールマーケット」が行う「フードアクション特集」に参加している。

フードアクション特集では、新型コロナの影響により苦境にある飲食・食品業界を助ける情報を集め、インターネットを通じて「食を楽しむ」「お店を応援する」きっかけを提供する。

「食」は、全ての人々にとって必要不可欠なものだから。日々の生活を少しでも豊かに、少しでも前進させるアクションを。

07. まとめ

世界は今、誰も予測できなかったような苦境の中にいる。しかしそうした中でも、苦しむ人を救うためのアイデアが世界中で生み出され続けている。

新型コロナは私たちの日常に大きなダメージを与えているが、その中からポジティブな側面を見出すとすればそれは、世界で共通の問題に立ち向かい、乗り越えるために人と人との結びつきが強まることではないだろうか。私たちは今こそ、支え合うべきだ。

また好きな店で、気の合う仲間と、大切な家族と、美味しい食事ができる日は必ずくる。その日を迎えるために、私たち一人一人が今できることを模索していこう。

08. 新型コロナ対策に関する新着記事一覧

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