コロナ禍でもプラなしに。堆肥化できる検査キット「ECO-FLO」

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2019年12月初旬に、中国で第1例目の新型コロナウイルスの感染者が報告されてから、約2年半が経つ。この間、新型コロナの感染拡大は、廃棄物処理に大きな影響を及ぼしてきた。

世界保健機関(WHO)の2022年2月の発表によると、2020年3月から2021年11月の間に国連を通じて発注された、1億4,000万個以上の新型コロナの検査キットからは、2,600トンもの非感染性廃棄物が発生したという(※1)。その多くはプラスチックだそうだ。

そんななか、ロンドンに拠点を置く工業デザインのコンサルティング会社Morramaは、新型コロナの検査キットに使われる使い捨てプラスチックを削減したいという想いから、パルプと生分解性の包装用フィルムでできた、堆肥化できる検査キット「ECO-FLO」を開発した。

パルプはFSC認証を受けており、検査キットの袋にはNature Flexというフィルムを使用している。ECO-FLOは4~6週間経てば、土壌中で分解されるという。

ECO-FLOは、唾液による検査を行う。検査キットの指定の場所に唾液を貯め、カバーを閉じて裏返したら、出っ張ったボタンを押して唾液を吸水シートに移動させる。

そして15分待った後、「Result valid(結果の有効性)」と「Covid detected(ウイルスを検出)」の欄に表れる判定ラインを確認するというシンプルな仕組みだ。

リーフレットを用意せず、手順の説明を検査キットに直接書くことで、使いやすくしているという。より詳細な情報が必要な場合は、QRコードを読み取って確認できるようにすることも可能だ。

判定結果の表示部分についても、他の検査キットにある「C」「T」という科学的表記をなくし、言葉で説明することで、直感的にわかりやすくしている。また、判定ラインを太くすることで、視覚障害のある人にも見やすくしているそうだ。

鼻腔ぬぐい液ではなく唾液による検査にしている理由は、その方が痛みがなく、子どもや障害のある人が使いやすいと考えたからだ。年齢や身体の状況などにかかわらず、誰もが利用しやすい、ユニバーサルデザインを目指した検査キットだと言える。

人にも環境にも優しい感染症対策用品を使いながら、コロナ禍に立ち向かっていきたい。

※1 Tonnes of COVID-19 health care waste expose urgent need to improve waste management systems
【参照サイト】ECO-FLO — Morrama | Product Design | Industrial Design | London | Designer
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