難民問題

難民問題とは
難民問題とは?(What is Refugee problem)
「難民の地位に関する条約(難民条約)」では、難民を「人種や宗教、国籍、政治的意見、特定の社会集団に属するなどの理由から自国で迫害の恐れがあるために他国に逃れた」人々と規定しています。
昨今では政治的な迫害の他、紛争によって自国を追われた人々も広義に難民とみなされています。また、住まいを失ったが国内にとどまっているもしくは国境を超えずに避難生活を送る人々は「国内避難民」と呼ばれ、難民同様に支援を必要としています。
難民が生まれる背景には政治体制や歴史などが複合的に影響しており、一国だけでは解決できない世界規模の課題になっています。
難民問題に関する事実(Facts & Figures)
難民に関する数字と事実をまとめました。
- 2017年時点で、難民・国内避難民・庇護申請者の合計が6,850万人にのぼる(UNHCR Grobal Trends 2017)
- 世界の難民の約3分の2は、シリア、アフガニスタン、南スーダン、ミャンマー、ソマリアなどアジア圏で発生している(UNHCR Grobal Trends 2017)
- もっとも多く難民を受け入れている国はトルコ(3,500万人)(UNHCR Grobal Trends 2017)
- UNHCRが管轄する難民の85%を発展途上国が受け入れている(UNHCR Grobal Trends 2017)
- 先進国の中ではドイツがもっとも多く難民を受け入れている(約97万人)(UNHCR Grobal Trends 2017)
- 難民のうち52%は18歳未満の子どもが占めている(UNHCR Grobal Trends 2017)
- 2018年、日本における難民認定申請者数は10,493人(法務省入国管理局)
- 難民認定申請者のうち約0.4%(42人)が難民として日本への在留が認められた(法務省入国管理局)
難民の数は、第二次世界大戦以降もっとも高い数字を記録しています。難民の受け入れ国は発展途上国が多くを占めており、発展途上国に重い負担がかかっていることがわかります。
日本は認められる難民の数は他国と比べて少なく、難民の受け入れに消極的であると指摘されています。
難民問題が存在する理由(Causes)
難民を生む原因は様々ですが、主な原因は以下が挙げられます。
- 紛争や内戦
- 政府の脆弱化
- 生存を脅かす貧困
- 自然災害や気候変動
上記の中でも、紛争や内戦による難民の発生は深刻な問題となっています。例えば2011年から続くシリア内戦では、1,200万人が難民として国外に逃れています。

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シリアやアフガニスタン、南スーダンなどの国では人種や宗教の対立をめぐる武力紛争が相次ぎ、国の統一を保てない状態にあります。紛争により国が脆弱化し、政府が国民を守る責任を果たせないため、国民は自分や家族の身の安全を確保するため外国に逃れざるを得なくなっているのです。
また、自然災害や気候変動などの環境問題により、自国から移動を強いられる「環境難民」も存在します。環境難民は現状正式な難民の定義には当てはまらないものの、環境問題による移動が原因で紛争に繋がるケースも考えられます。そのため、環境問題と難民問題は切り離せない問題と言えるでしょう。
難民問題に関する諸問題(Impacts)
難民問題にまつわる主な問題の一例として、下記が挙げられます。
- 難民受け入れの発展途上国への負担偏り
- 自国民の安全と難民の受け入れのジレンマ
- 偽装難民の発生
現在、難民の約8割は隣国の発展途上国に避難していると報告されています。避難先の発展途上国もまた経済面、衛生面で整っていないことも多く、逃げた先でも苦しい生活が待っているケースもあります。また、難民の受け入れに関して発展途上国に大きな負担がかかっていることが指摘され、国際社会での責任の分配は急務とされています。
また、2015年は難民と欧米諸国の関係が大きく揺れた年となりました。1年に100万人もの難民が欧州に助けを求めて殺到し(「難民危機」)、難民を乗せたボートが転覆して岸に打ち上げられた男の子の写真はイギリスでの難民受け入れを大きく前進させました。ですが、2015年11月にフランス・パリで発生した同時多発テロでは、後の報道でテロの実行犯の中に難民に紛れた人物がいたことが明らかになったため、トランプ政権をはじめとした先進国の「自国第一主義」の台頭も相まって、難民への風当たりが強くなりました。難民を受け入れる側の国では、自国民に対する安全性の確保と、難民への配慮との間で揺れ動いています。
また、本来難民には当てはまらない人が難民を装い、外国に渡り在留や労働の権利を得ようとする「偽装難民」の存在も問題視されています。偽装難民による難民申請数が増加することで、本来手を差し伸べるべき難民への救済が遅れていると指摘されます。

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難民問題を解決するためにできること(What We Can Do)
難民問題を少しでも解決するために、私たちができることは何なのでしょうか?日本にいながらでも難民の人たちのためににできることは多くあります。
- 国際機関やNGO、NPOを通した難民支援
- 難民支援への寄付
- 難民に関する知識を広める
難民問題への解決に向けて活動する国際機関「UNHCR」を筆頭に、日本でも支援団体の窓口から募金や物資支援をおこなうことができます。まずは、難民問題を遠い国の問題として捉えるのではなく、自分ごととして難民問題の現状を知ることから始めましょう。難民に関して得た知識を家族や友人など身近の人に伝えてみることも立派なアクションになります。
難民問題に関する国際団体(Organization)
難民問題を解決するアイデアたち(Ideas for Good)
IDEAS FOR GOODでは、最先端のテクノロジーやユニークなデザインで難民問題に関する問題解決に取り組むプロジェクトを紹介しています。