【まとめ】足元から社会を変える。サステナブルなシューズ10選
服を買う時、トレンドや価格、好みのデザインかどうかが、選ぶときの決め手になっていたこれまでとは違い、今では販売されている物が「誰の手によって、どのように作られているか」にも強いまなざしが向けられるようになってきている。
その動きはTシャツなど服だけではなく、ファッション雑貨にまで及び、最近では社会や地球環境に配慮した靴を生産するブランドが増えてきている。
ここでは、IDEAS FOR GOODでこれまで取り上げてきたサステナブルシューズをご紹介する。
アップサイクルシューズ
01.廃タイヤからサンダルへ
タイヤは長い間放置されることで環境汚染につながり、マラリヤやデング熱などの伝染病も蔓延させる。さらに、途上国などではタイヤの燃焼による有毒物質排出の問題もあり、タイヤの廃棄問題は深刻だ。
indosoleでは、タイヤを微粉に粉砕し天然ゴムとリサイクルゴムに再構築する独自の技術を利用し、廃タイヤを余すところなくソールに生まれ変わらせている。また、従来のコスト制限を無くし、環境への取り組みに貢献している。
- ブランド名:indosole(インドソール)
02.テニスボールからスニーカーへ
毎年3億個以上生産されているテニスボールだが、技術的な難しさもあり、これまでリサイクル方法が確立されず、役目を終えたボールはほとんどが廃棄処分されてきた。
オランダの三大銀行の一つ、ABN AMRO(エービーエヌ・アムロ)は、古いテニスボールを新たなものに作り変えるプロセスを一から開発し、ヨーロッパ最大級のWebマーケティング会社が主宰する「Drum Experience Award」を受賞した。ボールはテニスラケット用の振動止め、テニスの試合でボールボーイ・ボールガールが履くスニーカー、そして持続可能な屋根瓦にアップサイクルされている。
- 会社名:ABN AMRO(エービーエヌ・アムロ)
03.着物から女性用の靴へ
着物または帯でつくられている「Relier81」のスタイリッシュな靴は、デッドストック(未使用品)かヴィンテージ、またはユーズドのみをアップサイクルしており、新しく生地から生産することはしない。いつの間にか日常から離れてしまった着物だが、履けば足元を鮮やかにしてくれ、女性たちの日常的な選択に着物を復活させてくれる。同ブランドの実店舗はなく、ネットショップでの販売や百貨店などからの依頼による短期間のポップアップショップでの販売となっている。
- ブランド名:Relier81(ルリエ エイトワン)
04.コーヒーかすからスニーカーへ
フィンランドのヘルシンキに本拠を置く「Rens Original」は、ムダになってしまうコーヒーかすと廃棄プラスチックを同時に有効活用してスニーカーを作っている。エコなだけでなく機能性抜群で、軽量で防水、高い通気性も保ち、蒸れを軽減させてくれるほか、コーヒーがもつ天然の抗菌特性でイヤな臭いの発生も防いでくれる。
- ブランド名:Rens
ヴィーガンシューズ
05.エアバッグとパイナップルからできたシューズ
毎日使用できるようなモダンな靴づくりを目指すnaeが発表したのは、リサイクルしたエアバッグを素材とする世界初の靴。エアバッグに含まれるナイロンを再利用し、通常であれば長く使用できず処分される素材に新しい命を与えようという試みである。
エアバッグのほかにも、パイナップルやペットボトル、コルク、エコマイクロファイバーなどを原料とし、合成材や動物性の素材などの環境に害を与える素材は一切使っていない。また、靴の製造に使うためだけのパイナップルの不要な大量消費を防ぐため、すでに消費されたパイナップルからとれる葉だけを使っており、フィリピンの工場で働く人々の人権や労働環境も十分に配慮されている点もポイントだ。
- ブランド名:nae
06.コーヒーからできたシューズ
ユニセックスで、100%ヴィーガンのnat-2™️の靴は、表面の50%はリサイクルした豆かす、コーヒー豆、コーヒーの木から製造されている。その他の部分も徹底的に天然素材にこだわっており、靴のインソールには抗菌性の天然コルク、アウトソールには天然ゴムが使用され、接着剤はアニマルフリーである。スニーカーの原料はドイツで開発されたもので、製造はイタリアにある家族経営の工場で公正な労働環境において行われているほか、化学製品を工場で使わないことで従業員の健康にも寄与している。
- ブランド名:nat-2™️(ナットツー)
07.トウモロコシやリサイクル素材からできたシューズ
有限な資源である石油を使って毎年200憶足ものの靴が作られている上に、3億足以上が廃棄されている。そんなシューズ業界の現状を見かねて、世界的スポーツブランドのリーボックがアメリカで販売を開始した、“栽培”が可能な植物由来の素材を用いたスニーカー「Cotton+Corn」。
コットンとコーンという名前の通り、スニーカーにはコットン100%のアッパーやトウモロコシをベースとしたソールを採用。他にもインソールには唐胡麻の実の油、パッケージは100%リサイクルされた素材を使用している。スニーカーの素材である合成ゴムのために石油を使う生産方法は、環境のことを配慮すると持続生産可能ではない。そう考えた同社が、何度もテストと開発を重ねて完成させた、履き心地や性能も他のシューズに引けを取らない植物由来のシューズだ。
- ブランド名:リーボック
100%リサイクル可能なシューズ
08.丸ごとリサイクル可能なシューズ
これまで、シューズをつくるときにはさまざまな材料を複雑に混ぜ合わせ、貼り付ける工程では接着剤を使用せざるを得なかったため、使用後のリサイクルが困難だったが、アディダスは、10年来の研究の末、靴底から紐まですべてが単一の素材TPU(熱可塑性ポリウレタン)のシューズをつくることに成功した。もちろん、トップアスリートも多く使用するアディダス製品のパフォーマンス基準をクリアしている。
役目を終えたシューズは、アディダスに戻すことで、洗浄後にペレットに粉砕されて溶かされ、また新たな製品に生まれ変わる。パーツの一部のみ廃棄されるということもなく、まったくムダがない上に、このリサイクル素材は、ボトルやトートバッグといった簡単なものだけではなく、高性能のシューズにも再生することが出来る。
- ブランド名:adidas
最小限のCO2排出量でできたシューズ
09.自然素材で機能性も高いスニーカー
Allbirdsのシューズは、自然の資源を原料として製造されていること、デザインがシンプルなこと、そして何よりもはき心地の良いことが特徴。ナチュラルなデザインにこだわっており、できるかぎり自然由来の原料を使っているだけでなく、シューズの色も自然からインスパイアされてつくられている。さらに、シューズのインソールにはヒマシ油、ミッドソールにはサトウキビを活用、靴紐は全てリサイクルされたペットボトルから製造されている。自然の資源を活用して製造しながらも、はき心地の良さを追求し、洗濯機で丸洗いできる手軽さも魅力の一つ。
アパレル・靴業界の企業とともサステナブル商品の開発を目指し、自らが明示することによって他の業者もCO2排出量を含め、環境に配慮した開発や製造をするよう意識してほしいというAllbirdsは、独自開発したこの資源活用技術をすべて無償で情報公開している。技術や知識を共有することで同じような環境に配慮した製品が社会に普及することを願っている。
- ブランド名:Allbirds
10.廃棄物やゴミを使用したスニーカー
NIKE社が開発したサーキュラー型のスニーカーコレクション「Space Hippie(スペースヒッピー)」。ペットボトルや糸の切れ端、Tシャツを混合させて完全な再生素材として利用し、さらにソールには100%リサイクル素材である「Nike Grind rubber」をクッション全体の15%に採用。素材調達、製造、廃棄に至るまで全ての工程ができるだけサステナブルになるように配慮された、ナイキの製品の中でも最もカーボンフットプリントスコアの低い製品。
デザインにも一切妥協がなく、灰色を基調とした色合いにオレンジ色のナイキのロゴで、廃棄物から生まれた製品とは思えないモダンなデザインに仕上がっている。生産過程から排出された廃棄物の99%を再利用する目標を掲げるなど、「地球なくしてスポーツの未来なし」という考えのもと、取り組みを加速させている。
- ブランド名:NIKE(ナイキ)
10.不要になった衣類を再生したランニングシューズ
アシックスが不要になった衣類をリサイクルした再生ポリエステルを一部採用したランニングシューズ「メタライド」を発売。石油由来のポリエステルと比べて二酸化炭素(CO2)排出量を約25%削減できる。
発売する「メタライド」の最新モデルは、足の甲の部分に再生ポリエステルを使用している。従来、ランニングシューズに使用していた再生ポリエステルはペットボトルなどが主な原料だったが、今回は衣類をリサイクルしたものを採用した。中底には鉄鋼の約5分の1の軽さで、5倍の強度を有する植物由来の次世代素材「セルロースナノファイバー(CNF)」を使っている。つま先部分のカーブにより効率的に前に進める構造で、機能性も備えたプロダクトだ。過剰生産で環境負荷の大きいアパレル産業が循環型に転換する動きを後押しする狙いがある。
- ブランド名:アシックス
まとめ
いかがだっただろうか?これまで捨てられていた廃棄物から生まれ変わった靴、植物由来の素材で動物にやさしい靴や、履き終わったあとも他のモノにリサイクル可能な靴などが登場した。地球や動物に配慮されているだけでなく、履き心地や機能性にもこだわった商品が多いのも特徴だろう。
おしゃれは足元から。これからはもっと多くの持続可能でエシカルなシューズが登場するだろう。自分だけがわくわくする靴ではなく、他の誰かにとっても嬉しい靴選びをしてみてはどうだろうか。