靴底から紐まで。丸ごとリサイクル可能なアディダスの新シューズ「FUTURECRAFT.LOOP」

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あなたは、自分の靴が寿命を迎えたらどうする?全体重を支えながら移動するため傷みがひどく、リサイクルショップに持ち込んだり、人に譲ったりという気にはなれないかもしれない。他に使い道もなく、ゴミとして捨てるのが一般的ではないだろうか。いま、そんな常識が覆されようとしている。

スポーツ用品メーカーのアディダスがこのほど、米国ニューヨークで、使用後に素材が100%リサイクルできるランニングシューズ「FUTURECRAFT.LOOP(フューチャークラフト ループ)」のベータ版を発表した。この発表は、同社のプラスチック廃棄物に対する取り組みのさらなる強化となる。

同社は2024年までにすべての製品に100%リサイクルポリエステルを採用することを公約しており、IDEAS FOR GOODでも以前、海洋に廃棄されたプラスチックでつくるユニフォームをご紹介した。

アディダスのFuturecraft loop

これまで、シューズをつくるときにはさまざまな材料を複雑に混ぜ合わせ、貼り付ける工程では接着剤を使用せざるを得なかったため、使用後のリサイクルが困難だった。そんな中アディダスは、素材開発・製造・リサイクルのパートナーと共に10年来の研究の末、靴底から紐まですべてが単一の素材TPU(熱可塑性ポリウレタン)のシューズをつくることに成功したのだ。もちろん、トップアスリートも多く使用するアディダス製品のパフォーマンス基準をクリアしている。

役目を終えたシューズは、アディダスに戻すことで、洗浄後にペレットに粉砕されて溶かされ、また新たな製品に生まれ変わる。パーツの一部のみ廃棄されるということもなく、まったくムダがない。また、このリサイクル素材は、ボトルやトートバッグといった簡単なものだけではなく、高性能のシューズにも再生することが出来るのだ。

アディダスのFuturecraft loop

アディダスのテクノロジー・イノベーション・マネージャーのターニャラツワ・サハンガ氏は、「今回の開発は、技術としても、人間の行動パターンとしても広いビジョンであると確信しています。技術的には挫折しそうなときもありましたが、最初のステップを成し遂げたことで、状況は変わりました。」と語る。

また、同社のクリエイティブディレクション&フューチャーSVPのポール・ガウディオ氏は、「FUTURECRAFT.LOOPは、芸術・科学・技術・人類・工学・工芸の分野の交差点です。われわれが望む世界を再考していくために、豊かな創造力をつかわないといけません。」と力説。これから2021年春夏の一般販売を目指して、テストランナーからのフィードバックを収集していく予定だ。

フットウェアの製造に大きなブレークスルーを起こしたアディダス社は、今回の開発を「廃棄を終わらせることの始まり」と捉えている。スポーツシューズも丸ごとリサイクルできる時代が到来し、私たち一般消費者にも意識の変革が求められている。

【参照サイト】ADIDAS UNLOCKS A CIRCULAR FUTURE FOR SPORTS WITH FUTURECRAFT.LOOP

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