精神発達障害のひとつである自閉症にかかっている人は、特に雇用の面で困難にぶつかることが多い。国際連合のデータによると、自閉症にかかっている成人の失業率は80%にも及ぶという。
自閉症者のなかには潜在的に高い能力を持つ人も少なくないにもかかわらず、その力を発揮できる環境が不十分なのだとしたら、それは社会にとっても大きな損失だ。そこで、ロサンゼルスにある企業Coding Autismは、自閉症者ならではの特長を伸ばすプログラミングスクールを展開し、そこから雇用につなげようと活動している。
Coding Autismは自閉症者が将来的にテクノロジー業界で活躍することを想定しており、そのために必要なスキルとしてコーディングやウェブ開発、エンジニアリングの訓練を施す。自閉症者は細かな作業や繰り返し作業に秀でる傾向があり、その性質を活かせる場を考えたうえでの方針だ。
実際の仕事で必要となるスキルの指導だけではなく、職を得るまでのサポートも手厚く行っている。例えばワークショップやキャリアカウンセリング、面接対策など、健常者の職探しと比べても遜色の無いプログラムが用意されている。
自閉症者が就業の機会を得やすくなれば、雇う側の企業にも良い影響をもたらす。ウェブ開発やプログラミングができる人材を探している企業は多いし、適切なスキルを身につけた自閉症者が多く参入すれば社内に多様性が生まれ、新たな変化がもたらされるかもしれない。現在こういった職種に就いている自閉症者の割合は1% と非常に少ないため、逆に言えば今後変化する余地がとても大きいと言える。
Coding Autismが提供するサービスは、仕事で役立つ人材を育成するための実践的な内容だ。単に自閉症者が社会参加できる場があればいいという考えではなく、彼らがいかに職業人として社会に貢献できるかという目的意識がある。その点が、キャリア志向の自閉症者達から支持を得ることになるだろう。
【参照サイト】Coding Autism